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罪宝シンクロン【2025年2月 遊戯王MD】

はじめに

お久しぶりです。SSMと申します。
今回はMDの新弾で「白き森の聖徒リゼット」が登場するということで、以前公開しようとしてお蔵入りにしていたシンクロンについて紹介していきます。

前回の記事では沢山の反響をいただきました。
既にお読みいただいた方、誠にありがとうございます。
まだお読みでない方は古い記事ですが下記のリンクからどうぞ。
今回の記事では以下の記事の内容を前提としていますので、何卒よろしくお願いいたします。


現環境までのシンクロンの構築の変遷(OCG)

冬の時代

2024年1月に入ると、レガシー・オブ・デストラクションで登場した「天盃龍」が猛威を振るいました。大量の手札誘発が襲い掛かるためにまともに展開を通すことすらままならず、そのまま後攻でひき殺される始末でした。
また、他の環境デッキも天盃龍に対抗するためにサイドデッキから永続罠を採用したため、シンクロンもその巻き添えを食らい厳しい立ち位置におかれました。
それに追い打ちをかけるように、4月にはインフィニット・フォービドゥンで登場した「デモンスミス」が環境を席巻。「デモンスミスにあらずんばデッキにあらず」とまで言われ、「ジャンク・スピーダー」の制約の関係上リンクモンスターの採用が難しいシンクロンの立ち位置はより一層苦しくなりました。
この環境下でのシンクロンの構築は次のようなものでした。

スネークアイギミックを出張させ、TGギミックを経由して1枚初動でスピーダーを目指す構築です。
「スターダスト・シンクロン」で誘発を受け、「篝火」または「スモール・ワールド」で「蛇眼の炎燐」をサーチすることで誘発を貫通するプランも強力でした。
投稿主である光さん(@ars_yugioh)は、この構築で日本選手権の店舗予選を突破。シンクロン使いの意地を見せました。

しかし2024年10月施行のリミットレギュレーションにより、「黒魔女ディアベルスター」、「蛇眼の炎燐」、「篝火」が制限カードに指定。デッキの改築を余儀なくされることになりました。

一方で、2024年7月のレイジ・オブ・ジ・アビスで登場した「騎士皇プリメラ・プリムス」を採用した構築も研究されました。

このカードは「スターダスト・シンクロン」2枚の組み合わせでシンクロ召喚でき、そこからセンチュリオン展開に入ることが可能という期待のカードでしたが、どうしても純センチュリオンとの差別化が難しく、明確に形になることはありませんでした。

救世主の登場

そんな中、2024年10月10日に、スプリーム・ダークネス収録のカードが公開されました。

「白き森の聖徒リゼット」、手札から特殊召喚可能で、シンクロ素材になった場合にデッキから「罪宝」カードをサーチ可能な星2の非チューナーモンスター。界隈が騒然としました。

ここからTLのネオドミノ市民が研究を開始。様々な展開ルートや構築が考案されました。

デッキレシピ

研究の結果、私がたどり着いた構築は次のようになります。

ギミックのカードが非常にコンパクトに収まったため、後手札の枠が12枚と、シンクロンにしては多い枚数確保できました。「TG-ハイパー・ライブラリアン」(以下ライブラリアン)や「飢鰐竜アーケティス」(以下アーケティス)のドローのバリューが上昇したのも嬉しい点となります。

なお、サイドデッキは来季に向けて調整中のため、今回の記事では解説は省かせていただきます。

各採用カードの解説

新たに採用したカード

【ギミックにかかわるカード】
・白き森の聖徒リゼット
(以下アザミナリゼット)


この構築の核となるカードです。
「シンクロン」においてこのカードは、
・手札から自力でフィールドに出力可能
「罪宝の欺き」でアクセス可能
星2-4の全ての「シンクロン」チューナーとの組み合わせで「ジャンク・スピーダー」に繋がる
・シンクロ素材になった時の効果により「ジャンク・スピーダー」のシンクロ召喚時の誘発ケアが可能。
・「調律」のトップ落としの期待値が上昇する。
など強みが沢山あります。

このカードを絡めた詳細な展開ルートは後述します。

・罪宝の欺き(以下欺き)


「黒魔女ディアベルスター(以下ディアベルスター)」からアクセス可能なカード。このカードを採用することによってディアベルスターからアザミナリゼットにアクセスすることが可能となります。また、ディアベルスターや「原罪宝-スネークアイ(以下原罪宝)」のコスト要因としても優秀です。

【後手札】
・マルチャミー・フワロス
(以下フワロス)×1


ジェネリック「増殖するG」ともいわれるマルチャミーシリーズのうち1体、先攻においても欺きのコストになるほか、罪宝ギミックからフィールドに特殊召喚されるジェットと合わせてスピーダーのシンクロ召喚も狙えます。

・幽鬼うさぎ
×2


欺きやアポロウーサ、後に登場するライゼオルのデュオドライブにチェーンして打つことができる誘発で、このデッキではさらにリゼットとの組み合わせで「アクセル・シンクロン」(以下アクセロン)経由でスピーダーにつながること、「抹殺の指名者)」で宣言されにくいことを評価して採用しています。

・エフェクト・ヴェーラー
×1


ほぼ「抹殺の指名者」で指名するための採用となります。一応「ジャンク・シンクロン」や「アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン」(以下アクスタ)の効果で墓地から釣り上げることができるという強みが存在します。

・無限泡影
(以下泡影、前回から2枚追加)×2


環境で流行しているライゼオルで採用される「ライゼオル・デッドネーダー」や「No.41 泥睡魔獣バグースカ」などに抗うことができるという点で、1枚で複数枚の妨害を踏める「禁じられた一滴」と悩みましたが、無効系誘発としても優秀であるほか、ライブラリアンのドローで重ね引きしても複数回妨害として使用できる点を評価して泡影の3枚採用に至りました。

【エクストラデッキ】
・帯刃龍 カイベルト
(以下カイベルト)


展開の中継地点としての星7非チューナーシンクロの採用です。「スターダスト・トレイル」(以下トレイル)やフワロスと、「レボリューション・シンクロン」(以下レボシン)との組み合わせでシンクロ召喚可能なドラゴン族シンクロを採用しました。「シューティング・ライザー・ドラゴン」(以下ライザー)と「妖精伝姫-シラユキ」(以下シラユキ)との組み合わせで相手ターンにシンクロ召喚して除去効果を飛ばせるのも強力です。

・飢鰐竜アーケティス


展開の中継地点にも着地点にもなれる星9非チューナーシンクロ。ライブラリアンによる大量ドローがあるため手札コストに困ることはなく、また誘発をはじいた後の「フルール・ド・バロネス」の効果による蘇生先としても優秀です。
シラユキと素のアクセロンとの組み合わせで相手ターンにシンクロ召喚することも可能です。

不採用となったカード

・ドッペル・ウォリアー

長年ジャンド及びシンクロンを支えてきたカードですが、
・ニビルなどの誘発に対する貫通札としての役割
・スピーダーの素材になった時の誘発・妨害のケア

これらの役割をアザミナリゼットにとって代わられたことに加え、強く使おうとするとEX枠を消費することから今回は採用を見送りました。
よりコンパクトに扱えるギミックが出た場合、復権もあり得ます。

・輪廻の三弦猫、ルイ・キューピッド、キャシーイヴ・L2

ドッペル・ウォリアーの相方として採用していたカード達です。上記理由により不採用としました。

・スネークアイ・エクセル、蛇眼の炎燐、篝火


篝火の制限カード化により、ポプルス素引きのリスクに対するリターンが見合わなくなったこと、また召喚権を「シンクロン」モンスター達に裂きたいという理由から不採用といたしました。

展開例

ここからは展開例を紹介します。 

基本の展開(スピーダー成立)

ジャンク・スピーダーで、デッキから「ホイール・シンクロン」(以下ホイール)、「スターダスト・シンクロン」(以下スタロン)、レボシン、アサルト・シンクロン(以下アサルト)、ジェットをリクルート。スタロン特殊召喚時の効果で「スターダスト・イルミネイト」(以下イルミネイト)をサーチ。


スピーダーとスタロンでアーケティスをシンクロ召喚。効果で1ドロー。

アーケティスとジェットでバロネスをシンクロ召喚。ジェット効果で「ジャンク・コンバーター」(以下コンバーター)をサーチ。

ホイール効果でコンバーターを追加召喚。

レボシンとコンバーターでライブラリアンをシンクロ召喚。コンバーター効果でレボシンを蘇生。(以後ライブラリアンのドローは省略)

ホイールとレボシンでアクスタをシンクロ召喚。効果でジェットを蘇生。

イルミネイトを発動しトレイルをリクルート。

イルミネイトの墓地効果でアクスタを星7に

ジェットトレイルアクセル・シンクロンをシンクロ召喚。
トレイルの効果で星1トークン生成。

アクセロンアクスタ赤き竜をシンクロ召喚。
赤き竜
ランブルサーチ。


赤き竜
効果をバロネスを対象に発動。自身を戻し「深淵の神獣ディス・パテル」(以下パテル)をシンクロ召喚扱いで特殊召喚。

ランブル発動しホイールを蘇生。

ホイールとアサルトでライザーをシンクロ召喚。効果でシラユキを墓地に落として星3に変更。

トークンをリリースしてスタロンの墓地効果を発動し自身を特殊召喚。これに反応してトレイルの墓地効果を発動し自身を特殊召喚。

スタロンとトレイルで「PSYフレーム・ロード・Ω」(以下Ω)をシンクロ召喚。

Ωの効果で自身除外して1ハンデス。

パテルの効果でΩ帰還

Ωの効果で自身除外して1ハンデス。

墓地のレボシン効果を発動し自身を星1として蘇生。

ホイールの墓地効果発動しライブラリアンを星3に変更。

レボシンとライブラリアンで「虹光の宣告者」をシンクロ召喚。

最終盤面:
6ドロー、2ハンデス、バロネス、パテル、ライザー(星3)、虹光、墓地シラユキ、相手ターンカイベルト

これまでと変わらず、スピーダーさえ通ってしまえば凶悪な盤面を作り上げることができます。

コンバーター初動の場合は前回の記事をご参照ください。


罪宝ギミックを用いた展開

アザミナリゼットの登場でアップデートされた展開を紹介します。

・ディアベルスター+星3シンクロン+コスト1
手札1枚墓地へ送ってディアベルスター特殊召喚。効果でデッキから欺きをセット。

欺き発動。効果でディアベルスターをコストにアザミナリゼットをサーチ。

アザミナリゼットを自身の効果で特殊召喚。

星3シンクロンを通常召喚。

アザミナリゼットと星3シンクロンでスピーダーをシンクロ召喚。
チェーン1スピーダー、チェーン2アザミナリゼットで発動。
アザミナリゼットで原罪宝をサーチ。
スピーダーでホイールスタロンレボシンorジャンク・シンクロン(以下ジャンクロン)、アサルトジェットをリクルート。
スタロン着地時効果でイルミネイトサーチ。

スピーダーと星3シンクロンでΩシンクロ召喚。

Ωとアサルトでバロネスシンクロ召喚。

欺きコストに原罪宝発動。効果でブースト・ウォリアー(以下ブースト)リクルート。

ジェットとブーストで天輪の双星道志(以下天輪)シンクロ召喚。
チェーン1天輪、チェーン2ジェット発動。
ジェットコンバーターサーチ。
天輪でアザミナリゼットコンバーター特殊召喚。

天輪とアザミナリゼットで虹光シンクロ召喚。

スタロン虹光でアクスタシンクロ召喚。
アクスタジェット蘇生

イルミネイト発動。トレイルリクルート

ジェットトレイルでライブラリアンシンクロ召喚。

ホイールとコンバーターでライザー
チェーン1ライブラチェーン2ライザーチェーン3コンバーター
コンバータースタロン蘇生
ライザーシラユキ落として自身星3に


アクスタ効果でスタダ経由してスタロンと合わせて赤き竜シンクロ召喚。
(ライブラの2ドロー)
赤き竜ランブルサーチ。
アサルトアクスタ蘇生。

墓地のレボシン効果を発動し自身を星1として蘇生。

レボシンとアクスタでアーケティスシンクロ召喚。
(ライブラとアーケティスで計2ドロー)

赤き竜でアーケティス対象にトリシューラシンクロ召喚。
トリシューラで1ハンデス。

ランブルジェット蘇生

ジェットとトリシューラでパテルシンクロ召喚。

ライブラリリースしてスタロン蘇生、反応してトレイル蘇生

Ω墓地効果でで任意のカードと自身回収

スタロンとトレイルでΩシンクロ召喚。

Ωパテルで2ハンデス。

最終盤面:
7ドロー、2ハンデス、バロネス、パテル、アーケティス、ライザー(星3)、墓地シラユキ、相手ターンカイベルト

・アザミナリゼット+星3シンクロン+コスト1

アザミナリゼットと星3シンクロンでスピーダーシンクロ召喚。
チェーン1スピーダーチェーン2アザミナリゼット。
アザミナリゼット罪宝狩りサーチ
スピーダーでホイールスタロンレボシンorジャンクロンアサルトジェットリクルート。
スタロンイルミネイトサーチ。

スピーダーと星3シンクロンでΩシンクロ召喚。

アサルトとΩでバロネスシンクロ召喚。

罪宝狩りディアベルスターサーチ。

手札1枚切ってディアベルスター特殊召喚。
ディアベルスター原罪宝セット。

ジェットとディアベルスターでアクスタシンクロ召喚。
ジェットコンバーターサーチ。
アクスタジェット蘇生。

イルミネイト発動してトレイルリクルート。


バロネスで原罪宝破壊。
原罪宝墓地効果でディアベルスター戻してブーストサーチ。

ジェットとトレイルでアクセロンシンクロ召喚。
トレイルで星1トークン生成。

スタロンとトークンでライブラリアンシンクロ召喚。

イルミネイト墓地効果でアクスタ星7に
アクセロンとアクスタで赤き竜
赤き竜ランブルサーチ。

ホイールコンバーター追加召喚。

ホイールとコンバーターでライザーシンクロ召喚。
コンバーターホイール蘇生。
ライザーシラユキ落として自身星3に。

ブースト特殊召喚。

ライザーホイールブーストでトリシューラシンクロ召喚。
トリシューラで1ハンデス。

レボシン効果で自己蘇生。

レボシンとトリシューラでパテルシンクロ召喚。

ランブルスタロン蘇生。

スタロンとライブラでアーケティスシンクロ召喚。
効果で1ドロー。

Ω墓地効果で自身とトリシューラ回収。
赤き竜でアーケティス対象にしてトリシューラシンクロ召喚。
トリシューラで1ハンデス。

トリシューラリリースしてスタロン蘇生、反応してトレイル蘇生。

スタロンとトレイルでΩシンクロ召喚。
Ωパテルで2ハンデス。


罪宝狩り墓地効果で原罪宝戻して1ドロー。

最終盤面:
6ドロー+4ハンデス+バロネス+パテル+アーケティス+墓地シラユキ

戦績

この構築で12/18開催のネクストプレイ杯に出ましたが、1-3と散々な結果でした。
特にジェムナイト戦の3本目展開ミスして負けたので悔しいです。


終わりに

いかがでしたでしょうか。
アザミナリゼットの登場によりシンクロンは安定感、誘発貫通力が共に上昇し、誘発スロットも増えました。
また、EXの自由枠が増えたことで以前より多彩な戦術を取ることも可能になりました。

一方で、1枚初動を用意するのが難しく、Gやマルチャミーなどのドロー系誘発の受けが悪いという課題は残ったままです。
またMDにこれからアザミナリゼットと一緒に実装される「デモンスミス」や「アザミナ」達、更には同じシンクロデッキである「白き森」、今後実装されるであろう「ライゼオル」や「M∀LICE」と比べるとどうしても力不足かもしれません。

しかしシンクロ、は更なる進化をします。

OCGでは、先月発売されたアライアンス・インサイトに収録される「精霊の世界」関連のカードの登場により、「妖精獣レグルス」1枚初動で動けるようにもなりました。同パック収録の新たな汎用星12シンクロである蛇眼の断罪龍」も、盤面強度の底上げに寄与しつつ、赤き竜で対象に取れる星12シンクロであることから、シンクロデッキを象徴するモンスターである「コズミック・ブレイザー・ドラゴン」の本家本元での召喚を実戦レベルにまで引き上げてくれました。
なんとなく上げた構築ポストが想像以上に伸びておりびっくりしていると共に、シンクロンモチベが爆発しております。
https://x.com/DRforYGO/status/1885716769345831346

現在私は、一緒にシンクロンの構築を考えたいという人を募集しております。
私はDiscordにて、「不動性ソリティア理論学会会場」というサーバーを運営しています。遊戯王の他のデッキテーマのサーバーと比較すると活発とは言えないかもしれませんが、定期的な意見交換が行われています。
前回の記事とこの記事でシンクロンに興味を持ち、サーバー参加を希望される方はSSM(@DRforYGO)にDMお願いいたします。

今回の記事は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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