驚異的コスパで楽曲制作のいろはを網羅 IK Multimedia Total Studio MAX 4 T-RackS 5 MAX+総評編


今回はIK Multimedia Total Studio 4 MAXをレビューしていきます。
たくさんの製品がバンドルされているので、今回はT-RackS 5(MAX)について解説します。

はじめに本製品を一言で表すと「3万円でほぼほぼプロレベルのバンド曲製作+ミックス・マスタリング環境が揃う」みたいな雰囲気です。
ちまちま数千円のプラグインを集めるぐらいなら本当にこれ買っといたほうがいいと思ってます。

楽曲制作ソフトのバンドルとして非常に高機能・高品質で、普段の製作でもガンガン使用しているので、この度ちょっと魅力を伝えたいなと思い記事を書きました。
ブラックフライデーセールで全体的に半額以下になっています。
今回解説するバンドルはMAXですが、下位バージョンも一応紹介しておきます。
リバーブ関連がMAXで充実することと、後述するAmplitubeやTONEXがMAXであることのアドバンテージが高いので、基本的には僕からはMAXをおすすめしておきます。(詳しくは公式サイトの比較表を見てみてください)
Total Studio 4 MAX $659.99→$219.99
Total Studio 4 Pro $439.99→$164.99
Total Studio 4 $329.99→$108.90
T-RackS 6 ※単体で購入する場合6を買うことになります

T-RackS 5 MAX

T-RackS 5 MAXは、ミキシングとマスタリングに必要なあらゆるツールを備えた、プロフェッショナル仕様のプラグインスイートです。Total Studio 4 MAXには、T-RackS 5のすべてのモジュールが含まれており、合計90種類以上のプロセッサーを自由に使用できます。

T-RackS 6が最近リリースされましたが、僕は持っていないのでひとまずバンドル内の5を解説します。

僕のおすすめを下記に列挙していきます。

ダイナミクス系

  • Black 76: 知らない人はいないであろう1176(Rev Eかな?)のモデリングです。ベースやドラム、ヴォーカルなど様々なサウンドの迫力をぐっと押し出します。

  • White 2A: 光学式コンプレッサー、Teletronix LA-2Aをエミュレート。スムーズにかかるので、ダイナミクスレンジを自然にまとめたいときに重宝します。

  • Dyna-Mu: Manley Variable Mu®コンプレッサーのリミッターセクションをモデリング。独特なパーカッシブな鳴り方のコンプです。

  • Bus Compressor: SSL Gシリーズのバスコンプレッサーを再現。ミックス全体にパンチとまとまりを与えることができます。ドラムのバスやマスターに最適。

EQ系

  • EQP-1A: PultecのEQP-1Aのモデリング。ハイエンドとローエンドをブースト/カットしてなんとも言えないいい感じのサウンドが作れます。

  • EQ-73: Neve 1073のモデリング。個人的には思い切ってかけてもさらっと上がってくれるハイシェルビングや3.2kHzのブーストがおすすめ。

  • EQual: 最大10バンドのノードを追加できるデジタルパラメトリックEQ。Pro-QやKirchhoffEQなどがない方は代用として。

その他

  • リミッター・マキシマイザー: 瞬間的なピークをカットするリミッターとしてBrickwall Limiter、ドラムや生録りの楽器のダイナミクスに困っている際に。Stealth Limiterはマスタリングでしっかりと音圧を上げてくれます。

  • Linear Phase EQ: 位相歪みを最小限に抑えたリニアフェイズEQ。これもPro-QやKirchhoffがあれば良いのですがついてくるのが嬉しい。マスタリング時の最後の一押しに。

  • テープ系: コンプやクリッパーよりマイルドにサウンド全体を持ち上げることができます。この手のソフトもひとつひとつは結構高いので、バンドルでたくさん試せるのが素晴らしい。

  • リバーブ: CSRシリーズのコンボリューションリバーブ、Sunset Sound Studio、Farm Stone Roomなど、音源の鳴り方自体をぐっとよくするリバーブが多数収録されています。

他にもAPIシリーズや、サチュレータにディエッサーなど、とにかくこの価格で手に入る汎用性ではないレベルの製品群が一挙に手に入ります。

MAXを買っても日本円で3万円ちょっとなので、後述のAmplitube 5 MAXとTONEX MAXとT-RackS 5 MAXがそれぞれ1万円ぐらいとしてもSyntronikやSampleTank 4やPhilharmonikなどの音源が全部無料でついてくるぐらいの物量です。

総評

競合製品の比較をするのもあまり良くない話ではあるのですが、DAWソフトを買って付属音源以外に何買えば良い?って言われたら僕としてはKOMPLETEよりTotal Studio MAX派です。Kontaktが入っている時点でKOMPLETEにも大きなアドバンテージがあるので比較対象としてもはや別軸なのですが、最初にKontakt音源を買い漁るわけではないと思うので、やはりこっちかなあという感じです。特にバンドサウンドを中心に製作される方は絶対こっちだと思います。T-RackSのみならずAmplitubeやTONEX、MODO BASS 2なんかは現代の製作でプロもこぞって使うようなものですからね。
サンプリング音源の類は正直、ガチガチのプロユースと言うには少し時代遅れ感のあるものが多いですが…それでもDAW標準搭載のものと比較すると十分すぎる物量と品質でしょう。

他にもスピーカーの出音を調整してくれるARC 3(※測定用マイクは別売り)、マスタリングチェーンを高精度なプリセットにして簡単なモジュールにしたLurssen Mastering Console、ハモンドオルガンのHammond B-3X、メロトロンのサンプリングであるSampleTron2、物理モデリングのハイブリッドのMODO DRUMなど…挙げるときりがないですが、一つずつ紹介していきます。

今後は「アンプシミュレータ(Amplitube/TONEX編)」「サンプリング音源編(Philharmonik2/Sampletank)」「MODO BASS/DRUM編」「キーボード編(Syntronik/SampleTron/Hammond B-3X)」「その他」について解説していきます。


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