[レビュー]Sonnoxのボーカル系プラグインを一挙に Sonnox Vocal Production Bundle (Claro,Voca,Vox Doubler)


今回はPlugin Boutiqueでセール中のSonnox Vocal Production Bundle (Claro,Voca,Vox Doubler)についてそれぞれレビューしていきます。
現在セールで¥54964→¥9680になっています。
https://www.pluginboutique.com/product/81-Bundles/39-Effects-Bundles/13369-Sonnox-Vocal-Production-Bundle-Exclusive-?a_aid=66da97c820175

単体ではClaroのみ安くなっているようです。

先に総評から申し上げると、歌ってみたをやりたい人はとりあえず買っておけば自分でミックスできるようになる範囲がぐっと伸びるんじゃないかという感じでした。

Claro

インテリジェントEQと言えば良いのか、結構複合的な操作をワンノブでやる感じです。

まず3つに分割されたProduce | Tweak | Mixが主なメニューです。


それぞれ
Produce:EQ処理のアタリをつけていくモード、Low/Mid/Highそれぞれでアバウトに設定した周波数をもとに、ブーストとカットをすることができます。
このとき、ToneタブではEQの偏りを、Widthタブではその周波数帯のMS的な処理を行います。
そして、これをもとにいくつかのバンドが設定されたものがTweakモードでいつもの見慣れたデジタルパラメトリックEQの処理後の画面として現れます。

名前の通りここでは微調整ということで、自由にEQを設定することができます。もちろんProduceなしでTweakから入ってもOK。
最後にMixタブです。ここで複数のトラックに入っているClaroと連携することで、被っている帯域等をチェックすることができます。


と、ざっくりこんな感じです(Produceタブがいらなければ設定でTweakからスタートすることもできます。)

で、所感なわけですが、なんかProduceタブの仕様が自分には合わないようで、あまり狙ったEQにはなりませんでした。
というのも、ベースの周波数を指定してノブを上げ下げして…っていうのはもはやいつものパラメトリックEQと同じで、かつそれならもっと洗練されたアナログ系EQがあるわけですね。

いつもはThree Body TechのKirchhoff-EQとその他各種UAD、VoosteQのModel N Channelや最近はPulsar AudioのPoseidonやW495も使うわけですけど、ここに割って入ってくる雰囲気は今のところ感じないですね、高機能ではあるけどUIも同じ畑ならKirchhoff-EQのほうが僕は好みです。

ただ、この安さでこの機能性って競合のこの手のEQでは中々ないので、Pro-Q 3やKirchhoff-EQを持っていないけど高くて買えないという人にとってはかなり良いんではないでしょうか。
すでに上記のプラグインを使っている人にとってはちょっと物足りない結果になると思います。

Voca

その名の通りヴォーカルのプロセシングを目的としたプラグインです。
何がどうなっているかパット見でわからなすぎるので解説します。

まず、Inputでインプットゲインを調整します、Autoを入れるとなんとこの時点で音量を均一化してくれるようです。Optimiseを入れるとダイナミクスが破綻しないようにより細かく動いてくれます。

次にメインセクションであるコンプと歪みです。

Compression…1176系コンプ→LA-2A系コンプの順にそれぞれお互いが相関性を持って動きます。STABILISEを高めるとどちらのコンプも効きが鋭くなり、SQUISHが高いと1176優先、低ければLA-2A優先のサウンドになります。

Saturation…Saturateを上げると歪み方が強くなり、FOCUSを上げ下げすることで倍音列が変わります。飽和感の強いハードクリップ系からソフトクリップ系を選んでいる感じです。

そのあとはSoftenノブでディエッサー的処理を行います。検知した歯擦音などの周波数の音はノブの下に表示され、ノブを上げるほどその帯域がこもっていきます。

最後に所感。これは超便利だと思います、仮出しのデモとかでSynthVとかを使うときとかって結局ヴォーカルミックスをしないといけないのが億劫なんですけど、これ軸でFXチェーンのプリセットを組んでおけばプリセットに合わなくてもすぐ微調整できて良いなと思います。
ただ歪みがけっこう声を選ぶ感じがあったので、そこは注意ですね。

Vox Doubler

一本しかないヴォーカルを多重録音したように処理するプラグインです。Widenではステレオ処理でよりワイドな音像を、Thickenではリードパートをモノラルのまま二回重ねたような感じになるプラグインです。

処理としては単純で、元のヴォーカルを複製したうえでタイミングやピッチをデチューンさせてダブリングしようというものになります。それ以外は特に語ることなしって感じですね。コーラスパートを雑にWidenで広げたりするのが簡単で使いやすいと思います。

実はこれだけ発売当初ぐらいから持ってたんですが、ほぼ使っておりません…iZotopeのVocal Doublerが結構融通利くせいで積んじゃってました。
こっちのほうが自然にかかりはするので、そういう意味ではいいかもしれない。

さいごに

とまあ3つのプラグインをレビューしましたが、改めて結論としてはヴォーカルミックスが難しい初心者がとりあえず欲しい要素を詰め込んだバンドルという感じです。歌ってみたや歌もの制作を始めたけど、初心者なりにクオリティアップしたい!っていう人には結構おすすめですね。

5段階評価と良い点、悪い点については複数あるので今回は省きます。その代わり一つずつの解説をいつもより深めにしてみたので参考にしてみてね。


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