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【daichi】発酵所

広くないアパートに住んでいる。


何の話かと思っただろう。

私もこんな小説チックな出だしにする予定ではなかったのだが、どういう訳かこうなってしまった。


半年前からサボっているPodcastを今後どうするか考えた。
どうしても私の声量がネックになる。
https://open.spotify.com/show/4YIBtQmNj6990lnRSJJeq0?si=StlLmmNXRpm6twifewJv5w


何故か。1歳に満たない娘がいるからである。


一般的(「一般的」って何だ)な社会人(「社会」って何だ)として生活を営んでいる3人が収録のために時間を合わせようとすると、ほぼ自動的に休日の夜となる。しかし、その時間、我が家には寝室ですやすや寝ている娘と、すやすや寝ている娘を寝させた妻がすやすや寝ているのだ。

寝ている娘が敏感なのか、私の声が五月蝿過ぎるのか(恐らく後者だろうが)、深夜、部屋に響き渡る私の汚声で、娘は睡眠を妨害される。それは即ち妻の睡眠も妨害することにもなる。


そんなことを私は望んでいない。「じゃあやめるか」とも考えたが、好き勝手に話せる場を保持しておきたいという極めて自己都合な欲求が勝った。それに、継続していくことで、「継続」自体に面白さが宿るような予感もする。

北向及びカタギリの都合を全く考慮していないところに、自分の人間性が出ている。


しかし、どうする。

娘が私の放つ騒音声を物ともせずに寝続けてくれるようになるまでは、まだ時間がかかるだろう。かと言って、ずっと配信をサボっている今の状況をそのままにしておくのも良い形ではないと思った。


そんな思考の結果が、ここ。

要は「話せないのなら、書き記してしまえば記録できる」ということである。


そもそも、番組は「その時の心象や思考など、記憶できないからアーカイブ化してしまう。」というコンセプトを掲げて始まった。


取っ掛かりとしてのテーマを設定し、言いたいことを言うだけの時間。世の中がこれだけ失言が許されないムードとなっている中で、「素人」「匿名性」「利用者が比較的少ないメディア」という要素を前面に出すことで、正確性の検証を放棄した(昔の深夜ラジオもこんな感じ(匿名性はないだろうけど)だったのかもしれないと想像する。今は深夜ラジオこそ、マスコミが張っていて炎上しやすくなってしまったような気がしているが…。となると、Podcastもそのうち検閲の対象となってしまうのかもしれない。)。

しかも、それは記録として残る。その時点で自分が何を考えていたのか、後から確認することが可能となる。

当然ながら、その時の感覚で話をする(それしかできない)が、後から聴いてみると、その時とは違ったことを思ったり、違ったポイントに引っかかったりして、自分の変化を自覚する。「発酵」と称してもいいかもしれない。時間をかけて、思考が変化していく。それが面白いと思うし、好きだ。


発言の前にいちいち「これは正しいのか。言ってもいいのか。」を検証しなければならないことに辟易していた私(他の2人もそうだと信じている)にとっては、ある意味で避難所的な場所と認識している。勿論、本当に言ってはいけないこと(「関係性によっては」「文脈によっては」で片付けられない言葉とか)もあるが、そんなのは元々言いたい欲望がない。


細かい社会的規制を度外視して、ただ言葉がリズミカルに積み重なっていく現象は、暫く忘れていた快感だった。(ただ、「私は雑談ができます」と力こぶを見せてくるような奴は冷めるから好きじゃない。昨今は「雑談力」なんてことを謳うビジネス書が巷に溢れかえっているが、雑談に「力」を求めだしたら雑じゃなくなる。何にも縛られないからこその「雑」だろう。)


その快感に憑かれた私は、その避難所が一時的に利用できなくなった今、別の避難所としてここを開いた。


テキストで会話してみたい。


かと言って、チャットのような使い方ではなく、思ったことを好き勝手に書く。

愛聴しているPodcast番組「奇奇怪怪」で「会話はキャッチボールではなく玉入れ」という言葉を紹介していた(確か、伊藤亜紗氏の言葉を引用していたと記憶している。)。「対面して同じボールを投げ返しているのではなく、共通の目標に向かってそれぞれボールを投げているイメージ」。これを聴いたとき、何となく思っていたことが不意打ちで言語化された喜びで脳汁が出た。


人間誰でも、生きていれば何かしら思うことはある。「ドラマに出ていたあの女優、可愛かったな」「あの角のハンバーガー屋、人気だけど味はそこまでらしい」とか。自分が認識でいていないものも含めると、恐らく無限に発生している。


そういうものを、殆どの人間が、殆どの場合、気に留めていない(というか、「気に留める」ということを自覚的にする人間なんていない。)。ただ、この場では、無理やり「気に留め」てみようと試みる。そして、いつもならそのまま去っていく「あの女優」の腕を掴んで、強引にその場に留まらせ、ジロジロ眺めて観察する。その試みによって、一瞬浮かんだだけの思考にブックマークを付けていく。で、気が向いたときにそのページにアクセスしてみる。すると、自分のその時の興味関心が反映されていて面白いのではないか(積読と同じ)、という仮説。

「自分1人でやれよ」とも思うが、他人の脳内に一瞬思い浮かんだことって、勿論把握する機会なんてないから気になる。だから2人にも参加してもらう。2人には、また私の欲望のために一役買ってもらうことになる。


番組のコンセプトは、前述の内容の後に「それがどんなにくだらなくても、時が経てばいいものになる、と信じたい」と続いている。ここに書かれる内容も、時間をかけて面白い、旨味のあるものに、発酵していってほしい。


あー、ここまで書いて、「避難所」のところを「発酵所」に変えて、構成練って書き直したらもっといい感じになりそうだと思った。でも、こんな駄文に時間をかけ過ぎるのもどうなんだろうとも思うからやめる。


とりあえず、暇な時に覗いてみてほしい。



各々、週1くらいのペースで更新したいと思っている。

毎回、こんな長文は書かない。ただ、同様に駄文にはなる。内容もその日の気分による。話すのより面倒だから手抜きになる気もする。でも継続する。継続したほうが面白そうだから継続する。



daichi

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