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【daichi】予期せぬ再会
年の瀬である。
だからと言って特別なことをするわけでもなく、寒いだの眠いだの言いながら残り少ない2024年を過ごしていたのだが、先日、予想もしない再会があった。
娘の保育園をどうするかあーだこーだ考えていて、その関係で保育園に書類を出しに行った。
秋に見学に行ったところで、その時は割と好印象だった。強いて気になったところを挙げるとすれば、入口に程近いデスクに保育士ではなさそうな雰囲気、簡単に言うと不愛想な男性が座っていたことくらい。でもそれも別に取り立てて気にするほどのことでもなかった。
園舎に入るとあの男性が以前と同じように気怠そうにパソコンで作業をしていた。入口に一番近いのがその人だったため、その人に書類を渡し、そそくさと帰ろうとしたところ、背後から
「daichi?」
と呼び止められた。
声がした位置からしてあの男が発したと思われた。「なんか絡まれちゃったな。いや、書類に不備でもあったかな。」なんてことを一瞬のうちに考えながら(たぶん、人間は自分のした行動に後から合理的な理由を付けているのだろうから、この表現は正確ではないけど、こんなことを今エクスキューズすること自体が「ふてほど」なのだろう。流行りの(いや、流行っていないけど)言葉を使ってみたかっただけである。とにかく、理由後付け説はもはや説ではなくおそらく科学的見地からアプローチした文献とかがありそうなので今度漁ってみることにしよう。)振り返ると、やはりあの男が
「daichiだよね?」
と重ねてくるではないか。どれどれこうなったら仕方ない、と初めて男の顔を凝視して、、、
なんとエースはないか!!!
「エース」といっても、M-1で一気にその名を売った今巷で話題のバッテリィズの「エース」ではなく、あくまでも本名をここに書くのはよろしくないという私の常識的判断に基づき拵えた呼称である。小・中学で一緒に野球をしていてバッテリーを組んでいたそいつが、何故かそこに立っていた。
あまりに想定していなかった事態に戸惑いつつも、人間、というより心を許した相手に対する人間というのはすごいもので、いくらでも話したいことが浮かんできた。が、私は帰って娘と風呂に入らなければならないし、そいつは仕事中だ。適当なところで話を切り上げて園を後にした。
帰ってからも、衝撃というかなんというか、余韻的なものが身体に残っていて、妻に今あった出来事を話していたら「嬉しかったんでしょ」と言われてしまった。滲み出ていたらしい。
いや、だって何年振りよ。少なくとも5年は会っていない気がする。
そいつが県外に出てからは当たり前だが会う機会は減り、戻ってきたと連絡をもらった時も、お互いその時の環境やコミュニティ、状況があるから学生時代のように遊んでもいられなかった。その後、お互い就職、結婚して子どももいて、なかなか会わなくなっていた。別に特別な話じゃなくて、何かの理由があるとかじゃなくて、あるよねこういうこと。
関係性が変わったとかそういうことではなくて、ただ会っていない人。でも結構自分の中では大切な人。文章にするとなんか気持ち悪い(あれ、こういうのすらダメなんだっけ今。もうわからんな。)けど、そういうの、あるよね。
だってそいつ、高校はタバコで試合出られなくなって、大学も中退して、何故か料亭で鳥を捌きだして、急に結婚して帰ってきて、子どもができてって、おもしろい人生過ぎるでしょ。そんなやつが保育園で事務してるんだぜ。おれだってかなりいい人生だと自負しているけどさ。とにかくテンションが上がるね。
月並みだけど「みんな頑張っているんだなー」みたいなことを思った。
自分の大切な人たちが、それぞれの場所でそれぞれ頑張っているという事実に今更ながら触れて、それって素晴らしいことだなと。
もうね、感動した。人生だなって感じ。偶然会うっていうね。最高だね。語彙力を喪失しているけど今はいいや。2024年、最後まで良いことあった。来年もいい年になりそうだなー。
いやー、そのうち飲みにでもいきたいね。いや、行こう。楽しみだ。
daichi
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