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仕事や生活を通じて、一人のなかに多様性を作ったほうが組織や社会が良くなるんじゃないか。

先日、仕事で中小企業の方たちに研修でマーケティングについてお話をした。

マーケティングで大切なのは、究極にシンプルにいえば、お客さまの立場にたって考えること。
当たり前すぎるけど、これが深いし難しいし、そして面白い。

わたしがこれまで、マーケティングの世界で仕事していて、このお客さまの立場で考えることが割と出来ていたかなあと思うのは、自分に何より生活感があったからだと思う。

BtoBなら、ビジネスの現場がわかっていれば何とかなる。ただBtoCは、生活感があるなしで、土台が全然違う。

田舎で育ち、都会で働き、大家族も知り核家族も知る。主婦の目、ママ友、地域の活動、保育園や学校や部活や先生、塾や受験、何より小さい子から成人までの子どものこと、介護、親戚付き合い、これらを実体験しているから、そこから分かる生活者視点だけでも、ビジネスの世界でむちゃくちゃ役に立った。

もちろん、ぼーっと生活しているわけではなく、それは仕事柄、色々観察や考察して生活しているわけで。
そうすると、クライアントが調査で読み解いたり想像で言っていることのピントのズレを瞬時に指摘できたりする。

実際、仕事も子育てや家庭もというのは大変ではあったけど、
生活実感を持ってビジネスの世界にいることは相当使える、という点だけでも実はお釣りが来るぐらい得だと感じていた。

そんな実感が、浜田敬子さんの著書「男性中心企業の終焉」を読んで、自分のなかで繋がった。

本のなかに出てくるある上場企業の役員が、「育休を取りたくない男性もいる」という意見に対して発したこんな言葉が紹介されている。

「育休を取らない権利ではなく、僕たちは取りたくなるように仕向けなくてはいけない。育休を取る男性を増やすのが、僕ら役員の仕事ではないのか。そういう組織風土にして、一人の人間の中に多様性を作るということが、これからの世の中にどれだけ大切か考えた方がいいのではないか」

「男性中心企業の終焉」(文春新書)


一人の人間の中に多様性を作る
、ってとっても良い言葉だと思った。

そうだよなあ、ビジネスと実生活と両方分かってるほうが、ビジネスにも実生活にも良いんだよなあ。

人材育成だって、子ども育てたり学校と関わっている過程で身に染みて学んだことがしっかり職場でも土台になるし。

そして逆の「ビジネス経験→生活」では、ビジネス経験をもって子どもに接することだって、ものの見方を教えたり進路を考える時に役立つ。

部活や学校や地域活動に関われば、ビジネス経験を生かして、たくさんある非効率をもっと良くすることができる。

そう考えると、
男性が仕事中心、女性が家庭中心でやってきた時代、実はビジネスにおいても、社会や暮らしにおいても、実はものすごく損なことをしてきたんじゃなかろうか


様々なビジネスの経験も、家庭や子育ての実経験も、1人のなかで混ぜあわせる。そしてさらに、そういう人達が、社会で、会社で、家庭で混ざり合ったほうが、それぞれの世界をより良くできるような気がする。

自分の中に多様性を持つ。
そのために、たくさんの世界の経験をする。男も女もなく、ね。

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