服とアイデンティティーの関係。「アイデンティティーとは指紋である。最終的に一つあればいいんだ。」
と 三島由紀夫はいっている。
器用貧乏という言葉もあるけれど 自分を他者と差別化できる個性(アイデンティティー)は数ではない。
いくつも必死でかき集めて、あるいは それを見つけるために、うろうろすると、かえって他者との違いが、まるでわかりづらくなる。
それは見る側からはもちろん、自分自身が自分をわからなくなるのではないでしょうか。
ファッションを通じて、多くの方をカウンセリングするなか
【自分がわからない】という人がとてつもなく多いことを
私はこの20年間 感じてきた。
だから、それを見つけようと必死になった結果、より自分から離れてしまう人をたくさん見てきました。その【自分を見つける】過程で、私にたどり着自分探しをやめた人はたくさんいます。
▼ 私は服とアイデンティティーの関係性について書いているが
そもそも アイデンティティーって、何? この説明が一番わかりやすいな、と思ったので貼っておこう。
カムカムエブリバディーはアイデンティティーの話でもある。
カムカムエブリバディー♪ 見ていますか?
いやぁ 私昔から、必ず見てますね、時代のファッションの考察にももってこいでもあるし、15分という時間の積み重ねで、これだけ泣いたり笑ったり、温かい気持ちになれたり、は日々の癒しなのよ。
で、実はアイデンティティーについて、ちょっと書き留めておこうと思ったのがカムカムを見ながら、思ったことなんです。
カムカムエブリーバディーのストーリー全体がアイデンティティー直結なんだけど、私のアイデンティティーを揺さぶったのが・・
世良正則ですよ、あんたのバラード。
若い人には【誰?】の世界かもですが、ぜひご両親に聞いてみてください。
これ絶対 このジャケットの衣装、再現したでしょ、スタイリストさん!!
再現とまではいかないけど、これ意識してましたよね~
福山は私の故郷 アイデンティティーである。
ドラマの舞台は岡山の話で、岡山のすぐとなり、福山出身の世良正則が地元方言でナチュラルに出演。そう、福山は私の故郷なんです。
世良さんの実家は、私の実家に近く。
あんたのバラードで鮮烈なデビューをしたころ、福山は大いに沸いたのだった。今見ても、独特、格好いい。唯一無二のシンガーだと思う。
カムカムでの音楽シーンは、さすがだったし 年齢を経てもその存在感は
ロックなアイデンティティーが滲み出てる。
また、世良さんのシーンではないが、イサムおじさん夫婦が、高校野球を見るシーンで、孫の世代に値する桃太郎とが、8月6日の原爆投下時刻の サイレンに黙祷する姿に涙してしまった。
私の故郷に近い岡山・戦争・こうしたシーンが
自分のアイデンティティーとつながり、心に沁みる。世良さんを懐かしく思いながら、故郷を感じ、福山出身の私と、父親の職業。その影響からのファッションへの道。。。DNAが繋がっていく感じ。
▼中国新聞(中国地方版)月一度、2年間・ファッション連載を担当した。
そのラスト記事は、やはりデニム。
自身のアイデンティティーを最後のテーマとした。
福山は日本一のデニムの産地で、デニムを扱っていた父親のアパレル会社は工場も営んでいたから、たくさんの従業員さんも働いていた。父も母も、おでかけや旅行に行くとなると小奇麗にし、幼心に「おしゃまさん」でいることの背筋が伸びる感じや、嬉しい気持ちが、装いの力、ギフトを伝えるこの職業の原点になっている。
パーソナルスタイリストという世の中になかった職業を創るという
先が見えない商売に突き進んだのも、やはりアイデンティティーからだろう。
父の会社が倒産し、お手伝いさんもいる、お金持ち生活から一気に転落。
夫婦二人で立ち直るために、お嬢様育ちだった母も死ぬ気で働いて、府中(父の出身地)より都会だった福山に移り住み、長屋生活を経て、一軒屋を構え、立ち直ったというDNAを引き継いでいるのかもしれないと思う。
そう、やればなんとかなる、やってやれないわけがない、という理由なき
挑戦。ハングリーも経験したからこそのアウトローでもあった。
そして、デニムなしで自分のアイデンティティーは語れない、という結びつきがある。父は、家庭がどういう状況のときも、私を売り場に連れて行き
自分の目で良い物を見定めては、ちょっとこれ着てみ、と言っていた。
そのほとんどがデニムで、父が作るもの、父と買うものは、ある意味福山で最先端だったと思う。
小学校1年生で、チューリップハット&パンタロン、ビートルズのマッシュルームカットで田んぼを駆け抜ける子供だった。
自分に素直になればなるほど、どうしようもなく血が騒ぐアイデンティティー。昨年 福山の デニム最大企業、カイハラデニムを訪問したことは、別投稿にて、しっかり纏め上げます。
▼運命の出会い、についてもnoteに書いている。出逢いには2種類あるという話。
アイデンティティーといえば、今日のジョーさんとトミーさん。
うちの夫も家族のために、かなり本格的にやってた音楽をあきらめ
仕事がんばってやってきた人でもある。途中から、私の起業に引きずりこまれ(笑)今は事業を一緒にやっているが、子育ても本当によく手伝ってくれた。
なので、少しジョーさんとかぶる。
私は夫に、自分がない人、などと思ったことは一度もない。
何をしていてもアイデンティティーを感じてきた。むしろ 自分がありすぎて苦労している人だ。笑 そのアイデンティティーは強烈なものがあって もはや音楽でなくてもいいのだろう。
生き方を、占いに頼ってみたり、ファッションでも、診断に頼る。
それは悪いことではないし、その過程も何かしらの心の救いになっているのなら意味もある。ただ アイデンティティーは、そうしたものからは導き出されない。自己の真実、育ち、経験、という超現実の中にあるものだから。
そして大事なことは、過去の現実がどうであれ、腐らず、今と未来を
変えていくこともできるということ。どうしたいのか、どう生きたいのかを
あらゆる表現で一歩一歩。その過程も、その人のアイデンティティーになる。
結局は、マインドとアクションの上にしか 服は着せられないので
自身のアイデンティティー(人との違い)に立ち返ってもらい
たくさんくっつけてしまった マインドレスな思考をそぎ落としてもらっています。
そうすると、似合うのレヴェルが外装ではなく、内面からになり
張りぼてではなくなってくるんですよね。
服選びにもマインドフル、マインドレス状態、という雲泥の差があり
80%の人が知らないうちに マインドレスに陥っています。
結果 量産型の見え方、人と同じほうが安心。変に見られたくない。
そこに自分がないわけです。
あるいは 個性的なものを着ても、服に負ける、目立っているだけで
味に欠ける といったことが起きる。いわゆる雰囲気や唯一無二なオーラはないという状態。
個性(アイデンティティー)は まず一つあれば
その一つから自分を掘り下げていくことができる。
老けるかスタイルを持つか
アイデンティティーがあって 日々のマインドがある。そういう服の基本を知らないで表層に頼ると、あなた誰?な服装で一生を過ごすことになる。若いうちはそれでもいいけど、スタイルを持たない大人はやはり 老けていくしかないのだ。
何でも浅く あれもこれも手をつけ、服もすぐに捨てるようなものばかりに埋もれている。服の見え方は正直、洗練からは程遠く、かといって遊びや余裕もない。
先日のお客様のショッピングで、彼女が仰っていたことだが
【自分で 百貨店とかで これかなと思って着てみても、なんかどんよりしてピンとこない。スタイルも悪く見えるし、テンションもあがらないのに
なぜこんなにしっくりくるのか。スタイルもよく見える!】と
驚愕されていました。
ショッピングに行く前に、彼女とは3時間ほど時間をかけ、彼女のアイデンティティーを肝に、TPPOSM(政近メソッドです)をじっくり検証していきます。
▼TPPOSMについて
▼ドレスコードも関係する
彼女の個性の肝になるところを3つほどに絞り、最終的にはその軸、の一つから幹が出ているようなイメージで、私はその方を構築します。
結果、これが似合うの一体のスタイリングを決めて伝えるのですが 画像で見せた瞬間「あ、これは自分だ、絶対に似合う」と思ったそうだ。
お店には早速取り置きをお願いし、その一点を最初に着せるのではなく
そのお店の顔であるようなものからトライし、途中に その「この一点」を
着ていただく。
「あぁほんとうに これだわ、ほんとうに いい。」と。
結果的に、そのほかにも数パターンのアイテムをお買い上げ。
日本を代表するような企業の社外取締役も勤める彼女のアイデンティティーは、キャリアのように感じますが(もちろん、その実績やキャリアに沿った服選びをします)私に見えていたものはもっと壮大で、実はナチュラルなもの。
先日も書いた キャリアだけにシフトしない暮らしぶりのなかから
感じとったものがあり、スタイリングには。キャリア服を選びながらも
その背景をじんわり奥に滲ませるスタイリングにしたのだ。
社外取締役を務める会社での会議や祭典などを意識したTPPOSM
母親としての 優しい顔をそぐのではなく、
彼女の思い入れあるご自宅と、たくさんの自然。めでる花や植物たち、、
それも生きるアイデンティティー。
素敵なご家族との時間。
私は、顧客のアイデンティティーをもっとも重視している。
そして、彼ら、彼女らと関わる人たちにとって、ファッションがギフトになるとはどういうラインナップなのか?
そしていまや、サステナブルは欠かせない。
購入する服の出元、どう地球問題に取り組んでいるのか、しっかりご説明できなければ、と考えている。もちろん だからといってファストファッションはだめなの?とか、そういうイメージに捉えないでほしい。
実は ファストファッション、すすんでいるんですよ。ブランドによってはね。
私の顧客さんは、なかなかお顔だしできない立場の方が多いので
ここにご本人と服を並べるわけにはいかないのですが
そんな深い【服とアイデンティティー】や 真のパーソナルスタイリングサービスについて想像しながら、読んでいただけるとうれしい。
そういえばまだnoteには顧客さん達のスタイリングについて
掲載はしていなかったなぁと思いながら、顔出しOKの方もいらっしゃるので 徐々に、その全貌も残していきたいなと思ってます。
全貌とは ビフォーアフターではなく「なぜそれを着るのか」の解明。そこに着る人のアイデンティティーは、欠かせないものなのです。
まぁだから 診断やるとしても、それはこうした軸があってこそのもの。
私が作ったファッションテイスト診断は、ここまでのことを書いてはいませんが、書いていないからこそ、noteでフォロー。
しかし、その前にもっと重要なことがある、その一つが、アイデンティティー。
そして、その深さがあれば、ファッションテイストも変幻自在に扱える、すべてのテイストをマインドに沿って(その日の気分)操作でき、そこにTPPOSMを考えた服装を表現すれば、それが「自分」ということになるのです。
って最後のほうなに言ってるか、まるでわからん!という方のために
サービス以外に学校をやっているのです。
こんなことを学ぶのはプロの卵たち?いいえ、今は時代が変わりました。
プロは学んでもなお、更に奥深く知りたいという方々のためには必要ですが、私の願いは すべてのひとにこうしたスキルを身につけて頂きたいのです。(大マジ)
最後に
服とアイデンティティーについて、深いつながりがあること、その醸し出すものや存在感は、いつもお金では買えないと私はいっています。
目に見えないもの、お金では買えないもの、ファッションとは、本来そうしたものが映し出されるものなのです。
結婚式に参列してくれた敬愛する上司から(息子の靴)&
今は亡き、母の母、おばぁちゃんから贈られたもの。(娘のライオン)
今も大事に保管してあります。
子供たちの世界への一歩、大地を踏みしめた瞬間を、捨てたりするはずはない。それは彼らが人生の何かに迷ったとき、
アイデンティティーに立ち返れますように、と。