男の髭、と時計には口出しするな。といいながらアテンドした日の、報告。
え!?髭のデザインまでアテンドするの?
と驚かれるけれど 、、、。
個人的には ひげが似合う男性、とても好きなんです。どこかシャドーなイメージを持ち合わせている ひげの神秘。
その反面、その人の持ち味が滲み出ていて、どこか自信があるように見え、存在感があります。
気をてらうか、馴染んでいるのか、ワイルドにも、物静かにも見える男のひげは 女性の私が不可能なものだからこその どこか、憧れがある。
だから私は髭が似合う男性、好きなのかも。
でも、ヒゲ ありか なしか? ここ 人によって大きく分かれますね。
大阪の名だたる企業の社長様、60代前半。若い新入社員から見ても格好いい社長でいたい、という思いもおありで、約半年をかけてのファッション改造は、沢山の方へのギフトになったようです。
その最後が 髭のデザイン。もちろん 髭OKなお方様。
お髭の前に、時計のアテンドをと依頼され 表参道の石田時計店へGO。
男の時計の世界、、。
男性にとって時計は、価値観や生きざまを表す特別なアイテムです。
権力を誇示するもの、というわけでもないとは思うが、女性たちの会話でよく聞くのは「男性の時計を、気にしてみる、ちら見する。」という話。もちろん男性同士でも、互いの時計のチョイスは気になるところでしょう。
↓ 披露したい画像は沢山あるけれど、私の顧客様方は、ネットでホイホイご紹介できない(よい意味で)方が多く、お顔隠しになりますゆえ、雰囲気で感じ取ってくだされば。この画像は 手のみ。
そう、男の時計については、よく相談されるものの一つでありながら、内心は、言及してはならないもの、と考えているんです。そう、それは、私が「女」だから。
私が男性の時計を見て思うのは 高級かどうかではなく、その人の価値観やライフスタイルを感じるもの。そして、髪型から服装に至る、トータルなバランスの中で、センスを感じるものかどうか?。
そもそも、男性が持つ時計への思いと、女性のマインドは相性が余りよくないんです。例えばデートで、頑張って買ったのであろう時計の話を値段も含めて延々とされたことで ふった、という友人がいます。
素晴らしい時計をしていたとしても、そのすべての思いを共有するのは無理な動物、といえるかもしれないですね。スタイリストの私でさえ、そうなのだから。
私の顧客は、男女比半々くらいなので、スタイリングの経験は多々あるわけです。だからこそ 踏み入れるのはここまで、と「わきまえる」境界線がわかる。
下手に判ったようなことを話せるような、そんな世界ではないということ、わきまえる謙虚さを持ち得た上で、さてどうするか、をスタートとすべきだと、毎回自分に言い聞かせているわけで。
大げさではなく人生を共に歩む相棒であり、自分自身であり、ロマンでもある。時に芸術でもある、と捉えられる男の時計。今回の場合は特に
「ビジネスで使う人生最後の時計」だと申されては「はい、私が選びますとも!」などとは軽々しく言えるものではない。それでもお断りしないのは、そんな程度な私であっても、信用してくださる顧客様の思いには お応えしたいという愛情があるから。
スタイリングを積み上げていけば 最終的にたどり着く「時計」という難題。メンズの時計は、愛情だけで何とかなるものではないので、プロの経験は大きな見方。
このたびお世話になったのは、表参道の石田時計店様。
購入したのは、フランクミュラーではないが、特に品揃えが多いブランドですね。担当者と、ブランドの歴史やデザイナーについて会話するのは至福のひとときであるが、聞けば聞くほど 「男の時計の流儀」についての奥深さに、素人が薄っぺらく関わるものではない、と思うわけです。もちろん 時計に限らず、もうそんな 自分を自分以上に見せる行為など、意味がないことを知り尽くした年齢でもありますけれど~。
購入した時計は、これが決定と特定してのご紹介はNGですが、このイメージ動画のブランドです。私自身も大好きでメンズのオメガを2種類愛用しています。かれこれ愛用暦も30年近くなりますね。
そして この日は 銀座のテーラーの大西慎哉氏も、一緒でした。彼に託したチェスターコートが仕上がったので、社長様に引き渡す日でもあり、「時計とお髭のアテンドも致しますよ」と伝えると、だったら石田さんでコートの仕上がりも確認しましょう!と。
前回のアテンドで購入した靴も、ずいぶん馴染んでいらっしゃり、数年前に弊社でお仕立てしたスーツ+大西テーラーに託したコートを羽織って。ゼニアの青みがかった生地の色合いが華やかで、色気があってとてもお似合いです。
ジョンロブでの様子や、コートを仕立てに伺った際の画像。
一流ほど 自分の領域をわきまえる。
こんな風に大切に時間をかけて、ブランディングをしていくわけですが、一番大事なことは、自分だけで仕事が完結しているなんて思わないことでしょう。こうした信頼できる協力者あってこそのものであり、プロ同士の技の鬩ぎ合いがあってこそ、また、感性を統合するからこそ サービスはよりよいものになるのだから。
一流ほど、自身の領域をきちんと 極めていますから、力を寄せ合うことはほんとうに気持ちがよいことです。
もちろん 折角なので大西氏にも、時計についてのご意見は伺いました。
お店の担当者、大西氏、顧客様、私の意見が一致して、私が思う、「男性の時計のチョイスの流儀を果たしながら選ぶことができ、大西氏にも感謝です。
女性用の時計は、思い出せなくなるほどの数を選んできたのですけれどね。
画像は オメガレディースの品々。
この日の顧客様からのご感想は。。
「メガネを変えて、会う人会う人に若々しく素敵になったといわれ、自分自身も気が引き締まり、いい調子で毎日が生き返ったようだ。最初、政近さんが迷わず「これ」といわれたとき、「自分がこれを?大丈夫かな」と思ったけれど、今は不思議と馴染んで、こっちでいるときの自分のほうが自分らしいという気がしている。さっき、トイレに行った時、全身鏡の前を通る自分が 格好良くて あれ! とびっくりしたんですよ。
選んで頂いたジャケットやスーツも評判がよくて、ドイツの出張でも褒められました。今日のネクタイも色が綺麗で、会社のイメージカラーとピッタリリンクして気持ちがいい。
新しいコートは冬がくるのが楽しみだし、コートって脱いで誰かに渡したりするとき、しまった、ってことがあるでしょう?なんか、これじゃないんだろうなと思いながら、、そういう自信がなかった。でももう 困りませんね。時計については満足しています。しばらく経ったらまた 感想を伝えますね。」
そして 時計店から向かったのは 髭のデザインを託した染谷氏のサロンへ。
染谷さんとは、あるテレビでのビフォーアフター番組で知り合い、服→政近 ヘア→染谷太氏 メイク→嶋田ちあき氏にて、担当したことが運命の始まり。
ほれ込んだ私は、自身がNHK きわめびとで特集して頂いた際にも、絶対染谷さん、と指名させていただき、長年「この方こそは」という顧客を担当して頂いてきたひと。
↓ 剃刀での処理は、河野さんが担当。所作がスマートですねぇ
髭についての知識やアドバイスも やはり素晴らしかった。
髭に対する、私自身の経験値は ゼロである。生まれてこの方、産毛は剃っても髭が生えてきたことはない。
そして 髭を蓄えた友人たちは多いけれど、なぜか彼氏に髭男はいなかった。→ 誰も聞いてないよな。
しかし、友人たちは 誰を思い浮かべても、どこか神秘的で魅力的。顔の一部になっていて、逆に清潔感もある。
手入れを含め、具体的な経験がない私(女性たち)が、髭についてとやかく言えるわけがない、というシンプルな理由から、口出しをしないと決めている。しかし 選んだ服を中心に、時計と同じく、全体バランスにその髭のデザインは合っているのか?こうした感覚だけはあると思うので、その道のプロの力にゆだねながら、その様子を見極めていくことは可能だ。
染谷さんはこういった。
「女性のメイクアップと同じなのかもしれないですよね。毎日ちゃんとメイクする、気にかける、手を加える、やり直す、じゃないですけれど、それくらい手間も神経も使うものだと思う」と。
女性のメイクアップと近い感覚で、髭を毎日手入れする男性たち。見え方としてはワイルドなものであっても 中身は繊細。そんなイメージが女心をくすぐるのかも。
↓ こんな風に、ひげのデザインについて、手描きで形を説明してくださいましたわ。顧客様のこうしたご要望にも、ささっと対応。
髭の男は信じてはいけない?
もちろん 髭は嫌い、という女性たちも多いし、髭の男は信じてはいけないという友人もいる。笑
何か拘りが強く、癖がある、という評価も多い。自分のことにしか興味がないと言い切る女友達もいる。笑
でもその彼女は最後にこう言った。
「信じちゃいけないのよ、髭の男は。だって、別れても忘れられないから、、。」
なんだ 大好きなんじゃないか。
一通りのブランディングを終えて。未来をどう、プロデュースしていくのかが、一生続く私のお役目。
お髭のアテンドを終えて、お帰りになる社長を見送り、最後に伝えてくださったこと。
「政近さん、一応、全部のお願いは叶えてもらいました。でも、これからもよろしくお願いします! あぁそうだ、今日ね、お2人と表参道を歩いていて、思ったんですよ。
お2人が歩く姿が格好いいなと。帽子を自分のものとして被るお姿から、以前は帽子なんて、と思う気持ちがありましたが、私も被ってみたいなぁと思いました。今度は帽子もお願いします。」
サービスは、ぜひ、ぜひと言うものではなく、こうした自らの在り方から、また次へと感じてくださったり。まだまだ素敵になる可能性に、ご自身が気づくような導きを、自然にしていくことだと、私は心得ています。
そして、無事 時計と髭のアテンドが終わったあとは、ファッションショーへGOだったのですが、最後にその様子を。
昼間は顧客アテンド、夜はファッションショー。そのスタイリングをどう考えたのか。
もちろん、サービスが終わったら、ファッションシーに行くのですよ、なんてことは伝えませんし、時計をチラチラ見たりもしません。
なので、その日のスケジュールが 多いときで4件とか被ることがあっても、すべての案件にてお会いする人やその場に相応しいように考えています。
パーティー等、どうしても着替えなくてはならない日もありますが、朝から晩まで一つの装いであっても太刀打ちでき、ギフトになるようにはしたいもの。鞄に小物などを忍ばせておいて、小さな工夫をすることもしばしば。
伺ったのは JUN ASHIDAのショーです。芦田多恵氏と、大西氏と一緒に。
どちらのシーンでも、スマートに、その場のギフトを考えて装いたいものですね。
こんな素敵なトップ、リーダーで溢れる日本にしたいよなぁ。
今日も私は、人々の真の価値が世の中に全うに伝わるように奔走しています。
男の髭と時計には、口出ししないけど、アテンドをした日の、報告でした。
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