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ファッションショーで泣く。60周年、ブランドやそのスピリットはこれからも生き続ける。「ジュン アシダ」&「タエ アシダ」初の合同アニバーサリーショーの全貌。歴史の重みを託されるとはどういうことなのか。
終わりの無い マラソンランナー
ブランド発足60周年を記念する、「ジュン アシダ」と「タエ アシダ」初の合同ファッションショーにお招き頂いた。
伺った19時の会は、インスタグラムでリアル配信されていて、↓
私の姿まで見つけた!という隅々まで見るファンの方も多々。汗、笑。
永年にわたり、ショーは欠かさず拝見してきたが、2ブランドが同じ会場、同じ場所で同時に行われたのは初めてのことだった。
インビテーションを頂いたときから、なぜか少し緊張。そして大期待!
芦田淳先生のラストコレクションをなぜか物凄く思い出したりしていた。
職業柄、沢山のブランドのショーを今まで見てきた中でも、目と心に焼きつく崇高なショーの思い出。
そして、新時代を創造してこられた多恵さんの輝かしいお姿も、この10年ほどになるのでしょうか、ずっと追い続け応援してきた。
亡きお父様のブランドを引き継がれ、自身のブランドも発展させてこられたその道は、想像を超えるご苦労もおありだったことでしょう。それは 2日前、多恵さんがFBに投稿されたこちらのメッセージから、深く読み取れます。
31年前、私のデビューコレクションの日に、父が贈ってくれた言葉を思い出していました…。
「コレクションなんて、2回や3回だったら誰だって出来るんだよ。いかに長く愛していただけるかが重要なんだ。
それは簡単なことではないけれど、ここからはマラソンと思ってしっかりやりなさいね。」
父はもうこの世にはいませんが、ブランドやそのスピリットは生き続けることが出来る。
後を託された者として、このコレクションは責任重大の大きなチャレンジでしたが、会場の溢れんばかりのお客様、インスタライブを見てくださった多くの皆様、そして一日経っても今も尚、SNSに写真や感動のコメントをアップしてくださる皆様に励まされ、次に向けて進む勇気と確信を得ることができました。
会場は、新宿住友ビルの三角広場。
今回は、この11月で30歳になる息子と共に。いつもはだいたい、ファッション業界の友人をお誘いしてファッション談義に花を咲かせながら、という具合なのだが、今回の60周年は、クリエーターである息子に、大切なことを見て感じてほしかった、という理由。
そう、彼はアニメ業界で、一応作画監督も務めるクリエーターなのだが、今少し将来を模索している面もあり、新たな作品を生み出すためにも、いつも自分がいる世界から飛び出て 職種を越えて、本物、本質に触れることは重要だろう。
そして彼にも、私の仕事を少し手伝って貰うことになったので、その景気づけでもあった。
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ショーの演出は?
小室哲哉さんと大平修蔵さんによる豪華でスペクタクルなパフォーマンス。
小室さんと言えば、バブル時代に数々のヒット曲を生んだ華やかなミュージシャンの印象が今だ強いと思うが、いつだったか 故・高田賢三氏のレセプションでご挨拶をされる姿を拝見してから、そのイメージは私の中にはなくなった。とてもシャイで静かなオーラ、を放ち 職人気質を感じる方だと。
今回の音楽について、
「今回は、クラシカルとコンテンポラリーのちょうど真ん中くらいのものを目指しました。波のように時が止まったり動いたり、過去へ行ったり未来へ行ったりするような感覚を、JUN ASHIDAのデザインとともに楽しんでいただけたら」と、ある取材でコメントされている。
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あぁたしかに、、そんな不思議な感覚に包まれながら、音は大音量なのに心地よい音楽が心に沁みてくる。そしてやはり、この方はいつも、いつだって「新しい」。
そしてもうお一方、TAE ASHIDAの音楽を担当したのが、今と未来を感じさせるモデル・俳優・DJの大平修蔵(SHUZO)さん。
まずこの3ピースの着こなし。
ベストの下にシャツはナシ。胸元ではなく腰にジュエリー。音楽もCoolですが装いも格好良かった。
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ファッションと音楽の関係性を追求し、ショーサウンドという新しいジャンルを開拓しているというセンス、産み出そうとする力に今後も目が話せない。
作品に魅了され続ける理由。
ショーの解説自体は、SNSで多く上がっている、その専門のプロたちのエデュケーションをチェックするのが一番学びになるとは思う。
しかし スタイリストとして、私なりの思いはしっかりと綴りたい。
私が魅了され釘付けになる理由は、その安定したクオリティーと品格の高さがベースにあること。
そしてその土台の上に立ち、引き継ぐだけでは衰退していくであろう現実を、見事に超えていくクリエーションは、多くの人が支持し胸をときめかせ、大切に長く愛用しているという真実。
ファンに支えられて、と言葉にすることは誰にでもできる。しかし「本当に」人々の人生の中で脈々と母から娘へ、というような歴史を紡いでこられた功績は、この日本で他に類を見ないのではないか。
なんちゃってファン、気分のファン、ではなく真の支持者を持つ強さ。
見せ付けるファッションではなく、その人の人生と共に息づく服。
そんなことを感じさせるラストのシーンに感動。
ショーをご覧になっていた芦田友子さんの元に多恵さんが駆けつけられ
涙腺崩壊。
おこがましいですが、勝手に私も娘のことを思い出したりもして、私が愛用する芦田メゾンの服は、娘へと伝承するんだなぁ、とも。
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こちらの感動的なお写真は TAE ASHIDAのメンズファッションプロデューサーを務める トガッチさんこと、戸賀敬城さんのブログからお借りしました。
トガッチさんに 会場でお目にかかれるかな~と思っていましたが、思っていた以上に凄い人、コンサート会場のようでなかなかお知り合いの方を見つけること自体が困難でした。(このこと自体が凄い~)
パーソナルスタイリストが自信を持って選び切れる服。
実際に 私自身パーソナルスタイリストという職業を世に創った経験から、顧客様に服をお勧めするにあたって、どれほど芦田メゾンに助けられてきたことだろう。
それは 数という以上に精神的なものも大きい。
顧客様の満足度、安心安全に包まれているだけでは得られないスペシャルな感情、新しい自分になっていく、そして服に自分が大切にされている感覚、、。
スタイリストとしては、「いざ」を制す服として、そこに存在してくれているというだけで心に火が灯る。
いざを制する「晴れの日」はもちろん 「穢れ(日常)」の日も満たしていくその力量には 毎シーズン驚かされているわけで。
世の中は沢山の服やデザインにあふれてはいるが、プラティカル+未来
プラクティカルフューチャー(実践的未来)を実現しているブランドは類を見ませんから。
私がいったい何を言っているかは、こちらのリンクで感じてみてください。芦田友子さんとの対話が聞けたりと、宝が詰まっていますよ。↓
伝統と確かな技術に支えられたラインナップ と
プラクティカルフューチャーを満たす作品たち。
ショーで印象に残った作品は数知れず、というほどありましたが、やはりラストを飾っ冨永愛さんご着用のドレスは溜息がでるほどの美しさ。
ゴールドの華やかさ以上に心を奪われたデザインの繊細さ、同時に感じる大胆さとの絶妙なバランスは、「上質」「伝統」+「進化」「革新」。
政近がそう感じた作品のラインナップを続けます。
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プラクティカルフューチャーな作品たち。
そしてこちらは、シックでモダンな tae ashida ショーのスタートシーン。真ん中が冨永愛さん。先ほど書きました、まさにプラクティカルフューチャー代表格。
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この背中のデザインを見よ!という感じですね
一見ベーシックなラインナップに見えて、伝承と技術、センスの更新あってこその奇をてらわずともインパクト大な作品の威力を。
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ラストに、あぁもうこれ 着たい、と思った一着を。
いつも顧客の顔を思い出しながら見るのですが、もちろん、自分が着たい、は存在します。
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私のための服? という大いなる勘違い(思い込み)もファッションには重要。笑
この遊び心と抜け。しかし品格を失わない空気感は多恵さんならでは。
曇りない伝統と技術に支えられたうえで 新しさ、現代の香りが加わる、わくわく感。
あぁ まだまだ頑張ろうと思わせてくれる瞬間です。
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ショーが終わってもなお、感動の余韻収まらぬ会場で、マット君と。
いつも、いつだって、本当にお優しく紳士でキュートなお方。
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最後に
息子、耀(よう)と伺った記念すべきショーは、生涯忘れられないものとなりました。
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会場では、なぜか「モデルさんですか?」とお声掛けいただいたり、お写真是非ご一緒に!!と興味を抱いてくださった皆様にも、この場を借りてお礼を。笑
彼と私の母息子ファッションにも多々ご質問を頂いたことにもびっくり。♪
会場でお写真に収めてくださった皆様、もしご連絡が付くならば、画像いただきたいなぁ。笑
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これからも創造者としての道を歩む息子ですが、良い刺激になったようです。またファッションの仕事にも着手するので、彼の可能性を存分拡張していく時期に入るのでしょう。
彼がまだ、赤ちゃんの頃から関わってきた芦田淳先生の世界。
その軌跡のご紹介動画にもウルウルしてしまった私。
そして確実に未来につないでおられる多恵さんのご活躍を、これからも永遠に応援しています。
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最後は息子が収めてくれていた私の画像で、締め! ではなく(笑)
こちらも 戸賀さんがポストされていた ショーの会場全貌のお写真をご拝借。
(私と息子は 右に並ぶお席の最前列に。)
目と心の保養であることはもちろん、これからを生き生きと生きていくぞ!という希望を沢山浴びた時間でした。
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プレスの熊井さん、本店の堀江さんをはじめとする、いつもお世話になっているメゾンの皆様方にも、心からの感謝とお礼を。
※ 過去の 芦田メゾン関連記事。
※ 登場人物 息子についても触れています。
私も彼も、アスペルガーなんですよね。