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Q&A:読点「、」は、結局どこに打てばいいの?
こんにちは、小田順子です。
今日はAさんからのご質問にお答えします。
一文に「読点が多い」と指摘され、モヤモヤしています。
読点「、」は、結局どこに打てば読みやすくなるのでしょうか?
はい、よくあるお悩みですよね。
では、順を追って解説していきます!
読点の打ち方3パターン
突然ですが、質問です。
次の三つの例文のうち、どの読点(、)の打ち方が、読みやすいですか?
例文1:文と文とのつなぎ目だけに打つ
個人大工は一人ですべての工程を担当することはできないので、普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。
例文2:主語の後にだけ打つ
個人大工は、一人ですべての工程を担当することはできないので普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。
例文3:主語の後と文のつなぎ目と両方に打つ
個人大工は、一人ですべての工程を担当することはできないので、普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。
読点だけでは解決しないのが、読点問題
上に、例文を3つあげましたが、実は小田の場合、どれでもありません。
読点をどこに打つか? いくつ打つか? だけでは、読みやすさは解決しないからです。
「一文一義」とか「1文1トピック」って、よく言いますよね。
文と文とを、接続詞や読点でつなぐのではなく、文を分割して、一文を短文化するのが小田流です。
例文4:小田の改善案=2文に分けて、さらに読点を増やす!
個人大工は、一人ですべての工程を担当することはできません。そのため、普段から付き合いのある専門業者に、それぞれ声をかけることになります。
次にあげるのは、小田の「読点ポリシー」です。
小説などの文学作品はともかく、ビジネス文書では、「読点が少ないと読みづらい」と私は考えます。
読点を打つ目安
主語・主題の提示直後
日時や場所(「誰に」も含む)の提示直後
ひらがなや漢字表記が続くとき
例)例文1の「業者にそれぞれ」動詞の連用形の後
対になる句の場合は接続のところだけに打つ
接続詞(句)の後
ただし、文中に接続詞を使うと1文が長くなるので、接続詞は文頭だけにする文中に長い句を挿入する場合?!
文中に長い句を挿入する場合は、その前後に「、」を打つというルールもあります。でも、文中に長い句を挿入すると、文を理解しづらくなります。そのため、私は、長い句は注記にして、別の文にします。
※それぞれの例文や解説は、『令和時代の公用文 書き方のルール―70年ぶりの大改定に対応』(学陽書房)P.48・49をお読みくださいませ。
Aさんへの回答
では、まとめます。
一文に「読点が多い」と指摘され、モヤモヤしています。
読点「、」は、結局どこに打てば読みやすくなるのでしょうか?
1.読点は、多い少ないではなく、読みやすさを重視する
2.読点が多いと感じるときは、文を分けられないか、再考する
Aさんと同じように、読点をどこに打てばいいのか、読点が多すぎないか、迷っている方は、参考にしてみてください。
参考:適切な読点の数は?
Just Systems のサポートFAQに、「読みやすさの基準」が示されています。
そこには、「平均句読点間隔」として、以下の文字数が明記されています。
社説:15文字
教科書:11文字
マニュアル:8文字
雑誌:13文字
さきほどの例文で数えてみると、以下のようになりました。
句読点間の平均文字数
例文1:30字
例文2:30字
例文3:20字
例文4(小田の改善案):12.6字
(Microsoft Word で測定)
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この例文は、Just Systems の「読みやすさの基準」で言えば、「雑誌」に分類されるでしょうか。
したがって、句読点間隔の平均値としては、「13文字」程度が読みやすい……
と考えると、例文1~3は、「句読点が少なすぎる」ことになろうかと思います。
おまけ
ちなみに、Microsoft Word の「読みやすさの評価」では、「句点の間の平均文字数」と表示されます。
でも、それでは「平均文長」と同じになってしまうのでは……
「句点の間」ではなく、「句読点の間」ではないかと思います。
このような、言葉に対する「違和感」、「モヤモヤ」、ありませんか。
ご質問、お寄せください♪
出張中とか、お仕事の〆切が迫っているとかでなければ、ソッコーでお答えします(笑)