#11.限界突破レッスン!リサイタルに向けての日々。
引き続き、
倉敷美観地区にある新渓園にて。
5月25日、26日、6月2日の3日間にわたって行ったリサイタルについて書いていきます。
会場と日時が決まり、本格的な準備が始まりました。
会場の雰囲気やわたしの声のことなどを考え、先生たちが曲のアイデアを出してくれました。全く趣の違う多彩な曲の数々。面白いプログラムになると確信しました。
その中から、わたしがピンと来たもの11曲を選びました。
11曲の譜読みをし、言葉を読む。一度にそれだけの譜読みをするのも実は初めてのことでした。初めてのスペイン語…
今までなんとなく縁がなかったフランス語…
焦っていました。
レッスンの日。
先生たちと顔を合わすとイリヤン先生は、
「順子。緊張してるのか?
なんで緊張するんだ。何も緊張することなんかないよ。」
路子先生は、
「一緒にやっていけばいいんだから。1人でしようと思わなくていいのよ。」
と言ってくれました。
"あ、またやってるな。
また自分の首を自分で締めている。
できてないけど、もういいや、
できることをすればいい。"
気づきと諦め。笑
気持ちが緩んだところで発声が始まりました。
発声は、低音から中音域、中音域から高音域へ、そしてまた中音域から低音へ。一音一音丁寧に、先生がわたしの声を聴きながら、細かな指示を出し調整をしていきます。毎日体調が変化するのと同じように声も毎日少しずつ変化しています。
その日の声の状態によって発声内容は変わります。
声がよりのびのびと健やかに出していけるよう、筋肉をストレッチしていきます。先生の指示を聞いて、先生の声を頼りに、自分の感覚を研ぎ澄ませて、その時のベストなバランスを探ります。
喉のセッティング、舌の位置、息の量とスピードと方向性、筋肉の引っ張り具合を探っていきます。そのちょっとしたバランスでサウンドは全く変わってきます。
バランスがいいところで、
「そう!そこ!」
と先生は必ず良い瞬間を教えてくれます。
その瞬間どんな動きになっているかを観察し感じ取ります。これがいいサウンドなんだな、このバランスなんだな、とインプットします。
バランスの取れるところを見つけて、心地よく安心していると、隣の部屋にいるイリヤン先生がやってきて、
「順子!もっとやれ!!もっとだ!!
思いっきりやれ!」
と言うのです。
その時は、正直何をどう、もっとやればいいのかよくわかりませんでした。精一杯やっているつもりでした。
すると路子先生が、
「安心してしまうのではなく、そこから発展させていってごらん!」
新たなバランスに慣れないうちは、綱渡りのように繊細だったりします。心も体も踏ん張り続けながら、探りながら出していくと、今まで聴いたことのない声が出ているのがわかりました。
"全然違う。
まだあったんだ。
こんな声がわたしの中にあるんだ。"
イリヤン先生の言う "もっとやれ!"の意味が少しわかった瞬間でした。
その日は、発声技術のことだけで約2時間のレッスン。レッスンが終わるとそれはもう抜け殻。出し切って放心状態でした。
それから毎日レッスンに通う日々が始まりました。自分1人で練習するにはまだ不安定な状態。毎日先生たちと正しい方向で練習することが重要でした。しばらくは発声技術を細かいところまで念入りに発展させていくレッスンが続きました。
毎日、"全然違う" を体験し、終わると放心状態になり、どんどん変化していくのが自分でもわかりました。
掘って掘って掘り下げる。
未知のわたしを知りたい。
どんなことになるかわからないけれど、
とにかくどこまでいけるかやってみよう。
いけるところまでいってみよう。
路子先生も書いてくださっています。
ぜひ読んでみてください。
続きは次回に。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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