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27:地方自治体のアドバイザーとして働く

月に1回投稿している「Life is Journey-女性のキャリアは旅のよう。山あり谷あり。飛行機が飛ばなかったり、思わぬ出会いがあったり」ですが、ここからしばらくは、セカンドキャリアに突入した私の色々な活動についてお話ししたいと思います。

まず私のセカンドキャリアですが、社会課題に貢献するキャリアを歩みたいと思い、独立して、

① 企業のESGやCSR、Diversityの観点での社外取締役やアドバイザリー
② 地方自治体の活性化や少子高齢化対策などでのDX活用のアドバイザリー
③ 働く女性、若いSocial系のStart UpやNPOのサポートやコラボレーション

を行っていこうと思い、この3か月少しずつ動き始めています。息子が来年から海外に移住するので、私もそのころから2拠点生活にして、年の1/4海外で勉強して、年の3/4は日本で企業や地方自治体や次世代の方たちに関わるのがその次の目標です。息子が大学を卒業し親としての務めを一定果たした何年か前からこういったことを考えていましたが、2022年に前職の外資系コンサルティング会社のAIチームの大きな展開を皆で成し遂げた後、昨年はNY大学でCSR(企業の社会的責任)を学びながら考えていました。またそのタイミングで癌が見つかり無事手術を終えたことも少し人生観やキャリア観に影響しました。微力でも社会のために人生の時間を使いたい。あと、やりたいことはゼロからでも全部やろうと思うようになりました。

「何のために働くか」でもご紹介したリンダ・グラットン博士の「LIFE SHIFT」でも書かれているように、「人生100年時代、マルチステージのキャリアになっていくべきだ」という話しにも励まされています。
https://note.com/junko_hata/n/ndabfc85849ad

きっかけは?

外資系コンサルティング会社時代ヨーロッパ出張に向かう飛行機で、機内だとお酒の回りが早い私は1杯目に頂いたシャンパンでお肉までチビチビ飲んでいたところ、隣に座る方が「お肉を召し上がるなら、是非あの赤ワインを頼んでいただきたい」と話しかけてくれたのです。その方が、のちに私がアドバイザーを務める富山県の産学官コンソーシアムの副事業責任者になる方でした。その方は製薬業界で長らく研究開発領域やM&A領域で経験を積まれた方で、コンサルティングやDX、AI活用といった私の領域とは異なる領域のエキスパートでいらっしゃるのですが、製薬業界のDXやAI改革の相談をして頂いたり、私が講師を務める自分の大学院での授業にゲスト講師として来て頂いたり、お互いの専門性で助け合っていました。その方が富山県の産学官くすりのコンソーシアムを立上げ副事業責任者として色々な取り組みを立ち上げる中で、DXやAIの改革が進んでいないところのアドバイザーを務めてもらえないかというご相談を頂いたのが経緯です。後で分かったことですが、その方はワインの資格を持たれてサイエンティストに結構いらっしゃる凝り性の方で、私が合わないワインで食事をしているのがどうしても気になって仕方なかったようです。

どのような活動

富山県の医薬品産業は、300年を超える歴史と伝統を有する県の基幹産業です。県内には、新薬開発型メーカー、ジェネリックメーカー、原薬メーカー、大衆薬メーカーなど医薬品製造業が集積し、中でも内服固形剤や特殊製剤について高い製造技術を有しています。この強みを活かし、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムは、産学官が連携し、医薬品分野における研究開発や専門人材の育成を通じて、富山県医薬品産業の振興や「くすりの富山」を支える人材の輩出を目指して活動しています。コンソーシアムは、県内大学や研究機関、そして県内医薬品産業界の連携・協力のもと、医薬品産業界で活躍する人材を育てるとともに、富山で創出された医薬品分野(創薬から製薬まで)のアカデミア発シーズの実用化を推進します。私は2023年4月からコンソーシアムのアドバイザーに着任し、富山大学と富山県立大学と共にDXを活用した臨床試験や製造のシーズを開発し、富山県の医薬品産業に活かしていくことを目指しています。

どのようなスキルが求められるか

地方自治体のアドバイザーに求められるスキルは、まずその地方自治体の取組で不足していて必要なハードスキルが求められます。私ならDXやデータ活用のノウハウです。その業界の各領域にはどのような技術が活用され変革がされているのか、また実際にそれを進めようとしたときに、どのようなテクノロジー企業とパートナーシップを組むべきか、どのように選定やプロジェクトを進めるべきか、そのためのプロジェクトメソッドや体制、収支計画、法的な手立てはどのようにしておくべきか、など。
一方で、ハードスキルだけあればできるかというと、そういうことでもないように思います。私の仕事の流儀として、人でも会社でも地域でも「好きになる」ということを自分で心がけています。もっとビジネスライクにお仕事をする人もいて良いと思いますが、これは私の好みというか仕事の個性です。好きになるということは、その地域やその組織の良さや挑戦を知り、そこで働く人たちの良さや挑戦を知り、異なるバックグラウンドを持つお互いが信頼関係を築いて一緒に同じ方向に向かって進んでいこうと思える関係を作っていくこと。地方自治体のアドバイザーのお仕事は、出身ごった煮の東京や大阪などの大都市で働くよりも、多様性という観点ではお互いが大きな違いを乗り越えていく必要がありますので、こうやってお互いを理解して信頼関係を築いていくことが、より重要だと感じています。富山県について言えば、北アルプスと富山湾に挟まれた美しく水や農水産物に恵まれた土地、その立地や地理的条件に培われた粘り強く誠実な県民性、そして教育熱心で科学や技術の発展に昔から熱心な歴史的背景から、化学賞の田中耕一さん(富山市)、医学生理学賞の利根川進さん(富山市(旧大沢野町))、物理学賞の梶田隆章さん(富山市と飛騨市神岡町)らのノーベル賞受賞者をはじめ多くの科学者、研究者を産んできた風土が古くから薬産業やその関連産業を発展させてきました。一方で世界的な産業構造の変化による多くのチャレンジにも直面しているのです。こういったことを私もこの1年皆さんの対話の中で少しずつ理解しながら仕事を進めてきました。

『ぶり・ノーベル出世街道』のご紹介 | 富山市の観光公式サイト | 富山市観光協会 (toyamashi-kankoukyoukai.jp)

何が難しいか

経営コンサルタント時代から共通する悩みですが、「どこまで厳しい理想を語り、どこまで寄り添うか」のバランスに一番悩みます。今やれていないことを忖度無くはっきり言わないことには私をわざわざ呼んでもらっている意味がない。しかしながら、どんなに素晴らしい企業でも、どんなに素晴らしい自治体でも、情報だったり、人材だったり、予算だったり、その他色々な制約だったりで、分かっていてもやれない理由は沢山あります。そういった障害も理解して一つ一つ取り除いていかなければ前に進まない。私の前職の外資系コンサルティング会社は、いくら理想を言ったって、実現しなければ意味ない。成果を生むところまで実現することにこだわる会社でした。私の中にはその考えが強く残っていて、きっと仕事をし続ける限りはこの想いは消えないと思います。
私なりの解決策というかこの悩みへの今の段階での答えは、アドバイザリーボードや取締役会などの事業責任者や事業推進者の皆さんがいる場では、できるだけ忖度無く厳しい理想を語れるように心がけます。もちろん、現実とのはざまで色々な議論になることはありますが、コンソーシアムや大学、企業の皆さんは真摯に私の意見を尊重し耳を傾けて議論してくださいます。
一方で、アドバイザーや社外取締役としての役割を超えてしまっているかもしれませんが、成果を生むところまで実現にこだわる「アクセンチュアイムズ」の体現として、新しいことをやる時のコンソーシアム内での企画会議や、産学官が同じ方向を向いて進めるように提案会議や定例会議には出て、情報量の問題、人の問題、お金の問題、その他それぞれのやり方の違いで、この後壁にぶつかるだろうなと思うことは、こちらも遠慮なく論点として議論に上げて皆さんと解決していくように心がけています。

どのような想いで

日本は四季に恵まれ様々な個性を持つ地域によって成り立っている国です。これによって富山の薬やガラス製品や鋳物製品やミネラルたっぷりの日本酒のような産業の多様性、文化の多様性が生まれてきました。これらは一朝一夕には作れない日本の財産だと思うのです。また一方で、気候も変われば、経済環境や社会環境も変わるので、同じところに留まっていては良いものも通用しなくなって廃れていってしまう。現代に生きる私たちは、歴史を経て人が作り上げてきた素晴らしい産業や文化に、新しい視点を組み込んで、より良いものを作っていかなければいけないのではないかと思うのです。これは私の会社のビジョンそのものでもあります。富山の人が歴史の中で培ってきた英知を尊び、Digital、Data、Design、Diversity、、新たな英知をかけ合わせ、富山の人や地域、企業がより一層サステナブルに輝き続ける姿を目指す一助になれるように頑張りたいと思っています。

執筆にあたりご協力頂きました「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムの副事業責任者にこの場をお借りして感謝申し上げます。

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私の名刺の裏に書かれた会社のビジョンです

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