言葉にできない想いを伝える
母が亡くなって20年ほど。
20年前といったら、ひと昔もふた昔も前。
スマホなんてこんなに普及してなかったし
携帯電話だってまだまだ一部の人しか持っていなかったんじゃないかな・・・
母が急死した。もちろん心の準備なんてできてない。
母も自分の母親を突然なくしている。
突然いなくなってしまうのは、残された側には酷だと思った。
疑いなく存在するであろう明日が、急に閉ざされる。
その時は深い悲しみに突き落とされた。
私たち家族、私も父も弟も。
母と不仲だった父は自分を責めた。
自分が幸せにしてあげられず、病気にして殺したようなもんだと。
母はメモ帳や家計簿に短い日記のようなものを遺していた。
遺された私たち家族に、その日記は突然亡くなってしまったショックを
より酷なものにしたと思う。
いろいろ書いていた。
もう晩年は気持ちが天国の両親に向いていたようで、
そう感じさせることをつらつら綴っていた。
「お父ちゃん、お母ちゃん、幸せになれなかったよ」
そう遺して母は旅立った。
父は私に毎日電話をして、自分が悪かったんだと話した。
ちっとも悪くないのに。
夫婦はごぶごぶ。夫婦じゃなくてもそうか・・・
私も母を亡くして辛いのに、父は自分の辛さを吐露したくて
よく電話を私にしてきた。
いつだったか、私も本当につらくて「私だってつらい!!」と
強く気持ちをぶつけたことがある。
「ごめんな」と父は言った。
気持ちを強くぶつけてしまって悪かったな・・・と後悔した。
みんな辛かったんだよね。
今までプレゼントするなんて考えたことさえなかったのに
その年の父の日にプレゼントしたくなったのは
いろいろな想いを父に伝えたかったんだ。
強くぶつけたときのこと
今まで自分が自分自身の目で父を見てこなかったことの後悔
逃げずに母の死に向かっていることへの尊敬
今まで育ててくれた感謝
これからは残された家族仲良くしていこうよ
いろいろ。
想いを伝えることは大切だ。
父に対して心から心の内を伝えたい。
そして父の日というイベントを借りた。