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なんて愛おしい日々。


「私、初恋の人と結婚したんです」

こんなことを言うとだいたい「へぇー、素敵ですね!」と言われる。

そうなのだ、私たちはとても素敵なのだ。
手を繋いで寝たりするし、夫が休みの日にはいつも一緒にいる。

夫は私に文句も一切言わない。更には家事も手伝ってくれる。
たまに私のことを数時間待たせたりするが「とても良くできた夫」である。


夫との出会いは5歳の時。
良くふたりでお医者さんごっことかしてたっけ。
私たちはいつも一緒にいたらしい。


夫まだ彼氏だった時、私は大きな不安を抱えていた。
それは「私は精神障害者」ということを話してなかったからだった。
フラれるかもしれない、それか偏見の目で見られるかも、と感じていた。でも、このまま隠し続けていくのも辛い。
当時、私はB型の就労支援施設に通っていた。
「じゅんこちゃんって、どこで働いているの?」とか聞かれたらどうしよう。こんなド田舎に住んでいると個人情報は全くないに等しい。


思い切って彼に「私は精神障害者なんだよ」って告白した日のことを、私はきっと一生忘れないだろう。

「障害者」という言葉が重すぎて、私は泣いていた。
こんな病気になんて、なりたくなかった。
障害者なんて、恥ずかしくてたまらない。
こんな病気になったことを、できれば誰かや社会のせいにしたかった。


彼は少し驚いたような感じだったと記憶している。そして優しい笑顔で「じゅんこちゃん、頑張って生きてきたんだね。話してくれてありがとう」

まるで優等生の模範解答のような言葉である。そして彼は続けた。「じゅんこちゃん、障害者っていうけどさ……話、できるじゃん? 僕の言っていること理解してるじゃん? それって普通なんじゃないの? じゅんこちゃんの障害って何?」



「……なんだろう?」


彼の感受性やその他の意見は私が今まで会った人たちとちょっと変わっていた。そして、その質問に私は混乱してしまった。

彼の言う通り、私ってもしかして普通の人かもしれない。



彼と結婚してもうすぐ10年。

お陰さまで、私はいつの間にか障害者ってことを忘れちゃうくらい、幸せな結婚生活を送っている。

夜、寝る時に布団をかけながら「もう~、手が掛かるなぁ~」と嬉しそうに言う夫。「はぁ!? こっちのセリフだよっ!」とふたりで笑う。「ぽんぽんしてくれないと離婚する~」と私が笑って言う。「ハイハイ、ぽんぽん。おやすみ。僕はゲームしてから寝るよ」



こんな幸せ、ずっと夢みていたんだ。
穏やかで、優しい日々。

大好きな人と暮らす愛おしい日々。



















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