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何かしないと本当に何も変わらない現実が痛すぎる『D.P.-脱走兵追跡官-』
こんにちは、J.P.ことじゅんぷうです。
『D.P.-脱走兵追跡官-』シーズン2配信を前にこんなつぶやきをして、その後何をどうしたかというと。
シーズン2を一気見して、さらにシーズン1から通しでもう一度リピートしてしまいました。D.P.に大事なのは睡眠なのに…!
D.P.とはDeserter Pursuit…脱走兵+追跡のイニシャルで、軍からの脱走兵を逮捕する憲兵、それが〈D.P.〉
シーズン2で何人か新キャラも登場しますが、シーズン1のメインキャラは基本そのままです。
D.P.に抜擢された主人公アン・ジュノ二等兵(演チョン・ヘイン)
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D.P.の班長でジュノとバディを組むハン・ホヨル上等兵(演ク・ギョファン)
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D.P.の担当官、パク・ボムグ中士(演キム・ソンギュン)
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新任の大将補佐官イム・ジゾプ大尉(演ソン・ソック)
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ジュノとホヨルのコンビが脱走兵を追跡しながら、背景にある軍隊の不条理や隠蔽、人権問題を描く『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン1は2021年にNetflixで配信されました。それから約2年を経てのシーズン2です。
シーズン2ではドラマを見ながらどれだけ絶望しても、ジュノとホヨル、ボムグとジソプ、この4人の関係性が希望でした。
この「約2年」てところもまた作り手のメッセージであると勝手にわたしは受け止めています。シーズン1はアン・ジュノが入隊するところから始まり、5週間の新兵訓練を乗り越えて本格的な軍生活のスタート=「除隊まで601日」。
軍隊ものの映画は別として、ラブコメとか青春ものの韓国ドラマで男子が兵役に行くくだりがあっても、大体しれっと「2年後」が描かれるじゃないですか。もちろんドラマのテーマが違うから追求はしませんが、その「2年」を彼らがどう生きているか、いや「2年」過ごす場所がどんなところなのか、『D.P.』が考えるきっかけをくれました。わたしたちは甘かった。これだけ韓国ドラマやエンタメの世界を見ていて、韓国社会と兵役は切っても切れない関係だとわかってはいたけど、そんな認識は甘いと。
シーズン2のストーリーは、シーズン1のソクポンの事件の続き、その3ヵ月後から始まります。ソクポンの同期だったキム・ルリが銃を構えたシーンでシーズン1は終わりましたが、そのエピソードはシーズン2の時系列で起きたことになっています。
ここで時間も人物も整理する必要があるなと思い、いったんシーズン2を完走して、シーズン1からおさらいして2周した次第。まだ2年たっていなかったんだ、と。
さてあらためて。シーズン1の冒頭は2014年〈国軍の日〉記念式典での当時のパク・クネ大統領の実際の演説シーン。
「兵士の人格が尊重され人権が守られる兵営を作ることから始めます」
そして写されるニュースの見出しは”死亡した兵士を放置した疑い”
これもシーズン2につながっていたことがわかります。リピートしてよかった。
実際に2014年に起きた江原道高城郡兵長銃乱射事件で、現場は南北の軍事境界線に近い前線基地だったためドクターヘリが到着したのは要請の2時間後だった
1作目のストーリーはジュノが入隊前日、ピザ店の配達のバイトを辞めるところから始まります。配達用バイクで逃げるジュノ。彼は毒親や生きにくい社会から逃げるように軍隊に入ったわけです。それがボクシング経験と洞察力を見込まれてD.P.兵に抜擢され、逃げた兵士を追う立場になるという見せ方。
思えばジュノという名前。「ジュンホ」が呼ぶとき「ジュノ」になるんですが、朝鮮時代の逃亡した奴婢を捕まえる職業を「推奴(チュノ)」というじゃないですか!そこまで設計していたかどうかはわかりませんが、兵士の置かれる立場=奴婢と考えただけでわたしも脱走しそうです。
シーズン1・2とも各6話の構成で、ジュノとホヨルが何人もの脱走兵と出会い、彼らの物語を見せながら、その背後にはひとつの核心的テーマが横たわっています。
一般社会でも不条理なことやハラスメントはもちろん多いわけで、ジュノの毒親やバイトしていたピザ店。シーズン1で除隊したいじめ加害者ファン・ジャンスのバイトするコンビニ。そしてシーズン2に登場するトランスジェンダーのニーナ。このニーナの場合、一般社会が「生きにくかった」とすれば軍隊は「生きられない」地獄。涙なくしては見られないニーナのエピソード「カーテンコール」は1本の映画のようでした。これぞ喝采。
大事な場面でいつも渋滞にハマるホヨルとボムグ。
ドラマチックすぎるKTXとムグンファ号。
ソクポンの事件もルリの事件もジュンソクの事件も、そして都市伝説のような「プルコギ怪談」も、現実が変わらないかぎり、いつでも誰でも起こしうるということ。
(「プルコギ怪談」でのキーパーソン、シン・アフィを演じたチェ・ヒョヌク、彼にユ・アインに似た狂気を感じたの収穫!!)
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まだまだ書き足りないですが最後に。
これまで見た韓国ドラマのセリフの中でも『二十五、二十一』で、これほど泣ける「アンニョン」があろうか!?と思いましたが、『D.P.』シーズン2の「アンニョン、ジュノヤ」で熱い涙を流したことをお伝えします。
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