寝ても覚めても韓ドラで歴史の渦にぐるぐる巻かれてます
こんにちは、じゅんぷうです。私、また始まっちゃってます。
『哲仁王后~俺がクイーン!?』にドハマりしたのが先月。
すかさずドラマ2周目に突入、哲宗の時代…朝鮮王朝末期のできごとや人物を調べながら、寝ても覚めても朝鮮時代。あらためて自分のために整理すると…
朝鮮は1392~1910年まで存続した統一王朝。ただし1897年に国号は〈大韓帝国〉となっています。哲宗の在位は1849~1863年。日本は黒船来航のころ。
前にも書いていますが、哲宗は何代かさかのぼって王族の血をひいているものの中央から追いやられた一族の、いわば生き残りの生き残り。にもかかわらず王家の外戚・安東金氏にいいように担ぎ上げられた悲劇の人物。ここにいたるまでにも燕山君とか光海君とか廃位になった王もいるし、何かあると徹底的に断罪する、現代までつづくなんとも根深い歴史を感じます。
それで哲宗自身も32歳で、10人以上いた子どもたちももれなく幼くして亡くなるという、誰かの思惑で徹底して血を絶やされたことは明白。安東金氏出身の哲仁王后は40歳ぐらいまでは生きたけど、そこで終わりです。と考えると『哲仁王后~俺がクイーン!?』も悲しくなってきます。いないんだもの、彼らの子孫が。
その哲宗の次の代、高宗は実質的に最後の〈朝鮮〉の王で、この人も時代に翻弄されまくった人なんですね。もちろん先代の哲宗との直接的なつながりはなく、5代さかのぼった英祖の世子の三男の養子(元は誰かの何世か)のそのまた四男の次男…って一体なんなん?
11歳で即位したため父・大院君が実権を握り、王妃の閔妃と大院君が対立して板挟み。父の失脚後は諸外国の干渉に拍車がかかり、閔妃は引っ掻き回したあげく暗殺され自身も暗殺を恐れてロシア公使館に身を寄せ…まったく安定した国政ができなかった人です。
ここらへんは3年前に『ミスター・サンシャイン』にハマったときにも勉強しましたが、今あらためておさらいすると、この高宗の父・大院君という人は哲宗の1代前の憲宗が後継を遺さずに亡くなったとき、王位継承の候補だった人物。ところが安東金氏が江華島から連れてきた哲宗を即位させて大院君(当時は興宣君)を排除した。それで興宣君は保身のため、わざとポンコツを演じて安東金氏を油断させていたというじゃないですか。それが『哲仁王后~俺がクイーン!?』の哲宗の設定に使われたんですね!
大院君について整理するだけで軽く2000文字ぐらいいっちゃいそうなのでやめますけど、単なるヴィランじゃない気がしてきて思わず『ミスター・サンシャイン』も3年越し2周目に突入。24年ぶりの『シュリ』がそうだったように今ならもっと理解度もアップしている気がして。大院君は最初のほうしか出てこないしヴィランとしてもドラマ上の役割は小さかったですが、私は案の定、寝ても覚めても大韓帝国時代です。2周目だっていうのにラスト何話かでしゃくりあげるほど泣いてしまってお恥ずかしい。
物語上、朝鮮を苦しめる装置としての日本が酷すぎる問題のことを3年前の記事でも書いてるんですが…自分で〈必要悪として割り切る〉と書いておきながら2周目でも絶望的に憂鬱でした。日本人役の日本語気になる問題も乗り越えるの難しいし。韓国語勉強中の今だから前にも増して気になっちゃうのもあるけど、生粋の帝国主義者の将校が「軍人」を「グンニン」と発音していたの致命的。これ吹替で見てたら全体の印象違ったのかな。「ちょっとそうじゃない」日本語での台詞によって、より歪な悪行に感じる。という演出だったらどうしましょう。
ともかくやっぱり『ミスター・サンシャイン』の主人公は名もなき義兵たちの信念でありました。そういえばヒロインのエシン(キム・テリ)が最初に覚えた英単語のひとつが「Glory」で、同じ脚本家キム・ウンスクによる『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』との共通する信条を感じさせられるのですが、今回見て思い出したけど『ミスター・サンシャイン』での重要な舞台のひとつが〈GLORY HOTEL〉でした!
ドラマにもあるけど朝鮮の主権のため必死の高宗は〈ハーグ密使事件〉を機に八方塞がりになって子の純宗に譲位します。この純宗は暗殺された閔妃が生んだ子で、純宗も毒殺されそうになりそれが心身に大きく影響し、子どもはいません。1910年に日韓併合、純宗は皇帝ではなくなり「李王」と称され日本の皇族に準じる扱いだったとか。ちなみに高宗は明治天皇と生年が一緒、純宗は大正天皇と年齢は違うものの同じ1926(大正15)年に亡くなっています。日本では大衆文化が花開いた浪漫の時代、はいからさんの時代。
純宗の異母弟で大韓帝国最後の皇太子だった李垠に嫁いだのが日本の皇族、梨本宮方子という方なんですが、戦後は韓国に帰化され1989年、87歳で生を全うされました。この方についてもあと軽く2000文字必要。1989年なんて、当時ニュースにもなっただろうしいくらでもお勉強できたのに、ひたすらバンドに夢中でいろんなことを知らずに過ごしていたんですねえ。
漢城の外国人墓地にあった墓碑〈ベンジャミン・ヘンリー・フィッシャー〉、大韓帝国の内閣総理大臣〈イ・ワンヨ〉…あれこれ検索しながらの『ミスター・サンシャイン』2周目も花火のように熱く輝き散りました。
「智異山」も『ミスター・サンシャイン』で義兵たちの会話に出てきた!
次は新しいドラマ見よっと。