『イカゲーム』じゃない人生で生きたい
「人生はゲームです。みんなは必死に戦って生き残る、価値のある大人になりましょう」…『バトル・ロワイアル』のたけし先生のセリフが忘れられないじゅんぷうです。
「ねえ、『イカゲーム』見てる?」
中2の息子に最初にそう聞かれたとき、てっきり河崎実監督の新作だと思い「中学生も知ってるんだな~」と話を聞いていたらどうも様子が違いました笑
河崎監督の『イカレスラー』の続編でも『ロバマン』のスピンオフでもない、れっきとした韓国ドラマ。TikTokでも流行ってるし同級生が見ているそうです。すでに『イカゲーム』を再現したマップがあるゲームもあるとか。
「ねえ、『イカゲーム』見た?」
次に聞いてきたのは高2の娘です。この子の場合、駄菓子の「型抜きカルメ焼き」情報経由でやってきました。そのうち作りそう。それとHey!Say!JUMPの『狼青年』的なあの衣装ね、わかる。
『イカゲーム』は、借金などで人生崖っぷちのわけあり人間たちが、謎の組織によって無人島に隔離され、456億ウォンの賞金をめぐってデスゲームを繰り広げていくというストーリーで、そのゲームの内容が「だるまさんがころんだ」だったり「型抜きカルメ焼き」だったりという子どもの遊びなのです。ただそれがゲームの脱落=死という文字通り命がけの遊びなんだけど。タイトルの「イカゲーム」も韓国独自の陣取り遊び。
そんなわけで珍しくわが家の中高生たちにいざなわれて視聴開始したのですが、1話の「だるまさんがころんだ」の時点で緊張感でどっと疲れ、いったん自分を癒そうとBTSが「だるまさんがころんだ」するタリョラバンタンの神回を見て回復、そのあとはもう緊張感ぶっ続きでも止めるタイミングがわからぬまま、全9話だったので2日で完走しました。
わたしは河崎監督作品だと思っていたぐらい出遅れていたので、すでに各所で考察もされている本作。たしかに衝撃作ではありますが、いったい誰が何のために?という不可解な状況での、でも生きて出るために必然となるサバイバルは『カイジ』『CUBE』や『バトル・ロワイアル』を思わせる既視感のある設定で、言ってみればごくベーシックな土台です。
だけど、
・1話につき1ゲームという単調な構成ではないところに引き込まれる
・ビジュアルによってキャラや役割を識別しやすく、その分ストーリーに没入できる(ゲーム場や施設のゲーム感もいい)
・人間の欲望と本性の描き方、それを見せる演技力
これにつきます。極限状況で人はこんな行動をとるというイラつくほどのパターンもだし、はからずも「フロントマン」と呼ばれるゲームマスターが言うのが「ゲームではみんなが平等なのだ。参加者全員が同じ条件のもとで競う。不平等と差別に苦しんできた人々に公平に競える最後のチャンスを与えるのだ」。
そしてカメオも豪華。フロントマンもまさかの方。個人的には1話でコン・ユもだけど「チョン社長~~~!!」と叫んだよね。
ク・スンジュンと名コンビ…『愛の不時着』のチョン社長
ジャージが似合う主人公ギフンを演じたイ・ジョンジュは『イルマーレ』のこの人。
いい感じで年を重ねた彼が演じたギフンは、ギャンブルに溺れる借金まみれのダメ人間。1話、2話でそのダメ父親・ダメ息子・ダメ夫っぷりが徹底的に描かれますが3話以降、生き残りゲームの世界でリスタートした彼は仲間思いで義理がたい、よくいる「いい人」に。でもね、いい人だってずるい。それが世の中というもの…。
6話で行われるゲームでは、何人かの人物がそれまで語ることのなかった自分の人生を語り、自分で残りの人生を選ぶ。それが夕暮れのセットによって一層せつなく演出されていました。このゲームは心理的ダメージ大きい。
ところどころけっこうグロいし大人の表現もあるので、せっかくだけど中高生には見せないほうがよさそう…って待って息子の同級生大丈夫?