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トニー・レオンの愛と悲しみがじんわり。マーベル作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

 シャンチーと言おうとするたびもれなくシンチーと言ってしまう香港映画ファン、じゅんぷうです。

 わたしにとって永遠に雨の日の子犬、永遠に白ブリーフ青年、香港の宝トニー・レオンの現在のイケオジぶりを拝もうと『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を見に行ってきました。ここでのトニーは伝説の武器である10本の腕輪―テン・リングスを手に入れて、腕輪の力で世界を操るという悪に染まったヴィランなのです。

 まず、わたしはマーベル作品を初めて見たということをお断りしておきます。一覧チェックしてみたけど、見事に1本も見ていませんでした。

 MCU初のアジア人ヒーロー映画であるということ以外(パク・ソジュンもMCU作品に出るそうですね!)…マーベルらしさとは? 王道なのか異色なのか、マーベル的味つけとかマーベルヒーローの基準のようなものがあるのかどうなのか、作品世界につながりがあるのかとか、何ひとつわかっていません。

 ただ香港映画が好き、カンフーアクションが好き、トニーが好き、ミシェル・ヨーが好き、シンチー(一応無関係)が好きっっというスペックで観賞したところ、純粋に「面白かった。映画館で見てよかった!」。これがわたしの初マーベルの感想です。ネタバレに気をつけつつ、じゅんぷう的見どころを挙げてみます。

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見たことのない平凡なヒーローという点

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 主人公シャン・チーは父の組織「テン・リングス」から逃れてアメリカでショーンという名でホテルマンとして働く青年。マーベルに限らず「ふだんは平凡な青年」というのはヒーローものの定番かもしれません。が!! 彼の何がずば抜けて平凡かというと、やっぱりルックス。

 演じたのは中国系カナダ人俳優のシム・リウ。トニーやミシェル・ヨーと並んじゃうとスターっぽくなさがきわだっちゃうのですが、逆にそれがリアルな強さにも映る。本格的アクションの経験もなかったという彼がトレーニングを積んで仕上げたあの肉体はもう「非凡」だし、その日々はシャン・チーが子どものころから父に受けてきた殺人訓練の壮絶さに匹敵するものだったのではないでしょうか。彼は精神的にも相当研磨してシャン・チーをものにしたんでしょう。だからこそ、平凡な青年として自分の能力と過去に背を向けるシャン・チーを、オーバーでなく演じられたのだと思います。

 そうそう、シャン・チーの戦闘服に関しては、初心者ながらに「なんかマーベルっぽい!」と思いました。

伝説の村ター・ローのジブリ感

 シャン・チーの母リーの故郷、神秘の村ター・ロー。魔物がうごめく異次元と人間界との境界を守るといった役割の村なんですが、そこへのアプローチは『千と千尋の神隠し』だし、村の様子は『もののけ姫』のアシタカの村+タタラ場。言うならミシェル・ヨーはエボシ御前ですね、ああまで好戦的ではないけれど。シャン・チーが平凡な日常を送っていたサンフランシスコのリアリティに対して、そこは不思議な獣たちと人間たちが共存するファンタジー世界。だけど神秘な力を操れても、失った命はもどることはないというシビアな設定。

湖上バトルの平成ガメラ感

 ター・ローの村でのバトルシーンは平成ガメラシリーズを思い出しました。『ガメラ2』の草体レギオンと群体レギオンの関係性、『ガメラ3』のイリスの造形、そして「大怪獣空中決戦」…これ以上はやめておきます。

香港映画ファンへの惜しみないファンサービス

 サンフランシスコのバスでのバトルはジャッキー・チェンを思わせるし、マカオの高層ビルの外壁でのバトルでは、外壁に組まれている足場が竹製というのがポイント! 伝説の武器テン・リングスも原作では指輪だったそうですが、腕輪を使った戦いといえば『カンフー・ハッスル』『西遊記~はじまりのはじまり~』…これぐらいにしておきます!

 ミシェル・ヨーの型が美しかったとか、ケイティの生き方だとか、ほかにもいろいろあるんですが…やっぱり、

Tony Leungはいつまでも偉仔(ワイジャイ)だ!

 稀代のヴィランを演じたトニーでしたが、シャン・チーの母と愛が芽生えるくだりで見せてくれたのは、あのころのトニーそのままでした。

 トニーへの想いの一端はこちら。


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