イ・ジェフンの七変化を楽しむサイダードラマ『復讐代行人~模範タクシー~』
♪純情愛情過剰に異常~~七変化といえば小泉今日子「ヤマトナデシコ七変化」のじゅんぷうです、こんにちは。
2021年の韓国ドラマ『復讐代行人~模範タクシー~』では主演イ・ジェフンが七変化しています。ダークヒーローが被害者や遺族に代わり法で裁けない悪に復讐する、痛快なサイダードラマ。
見始めてすぐの感想は
イ・ジェフン、大人になったなあ~
に、尽きました。やはり『シグナル』の印象が強くて!この作品自体もう3年も前でシーズン2もすでに放映されているのですが、『シグナル』の5年後とは思えない。イ・ジェフン演じるキム・ドギの表の顔はムジゲ運輸の寡黙なタクシードライバー。裏では模範タクシーで極悪人を牢獄へ運ぶ復讐代行人。サングラススタイルが「逃走中」のハンターのようであります。
前半は文句なしに面白い。復讐案件があるたびに依頼人に本当に復讐するかどうかを選ばせる場面があって、ゲームの筐体だったりATMだったりに毎回プログラミングしてんの?という素朴な疑問もありますが、非現実感を強調しているということで、気にしちゃだめだめ。そして扱われる事件、またしても実際に起きた事件がモチーフになっております。しんどい。どれもしんどいけど塩辛工場しんどい。
前半はケースごとにキム・ドギが悪の組織に潜入しては復讐する、というエピソードがテンポよく続きます。この潜入スタイルというのが、あるときは謎の塩辛バイヤー、またあるときは高校の臨時教師、ストレージサービス会社の新入社員…特殊部隊出身の無愛想なドギによる七変化!ちょっとしたコスプレとキャラ変を堪能できるのです。
中でもナンバーワンは、特殊詐欺グループへの潜入エピソードで、組織の女ボスにロマンス詐欺をかますんです。中国出身のワン・ダオジーというブローカーへのなりきり、最高です。声の出し方、笑い方、男らしさをオーバーに出す歩き方や所作まで。ギラギラのオラオラで可笑しいんだけどこれがめっちゃ似合っててセクシー。
とくに何と言ってもカニ剥きシーンです…詐欺の女ボス、眼鏡に出っ歯のリム女史が目の前で自分のためにカニを剥くダウジーにノックアウトされるシーンは、全女子がぎゃー!わたしにもカニ剥いてー!!だったと思います。カニを受け取るときに触れあう指先。豪快に食べる彼の喉元を見てたらリム子じゃなくてもカニむせちゃいます。
そのあとのリム子はもう、ジゴロの思うようにコロコロ転がってくれて騙されたことに気づいても
「あんたを自分の男だと信じたの」
今まで詐欺のことしか頭になかったのに、こんな台詞を言う女になったリム子。恋ってすごい。詐欺グループのアジトがあるのも港町の中華料理店だしリム子とダウジーのスタイリングも独特だし、ここだけ異色の世界観でした。船の窓越しの別れもいにしえの映画調。
「ワン・ダオジー、行かないで!」
リム子を乗せた船はどこまで行ってしまうのか。こんな戦法を使えるキム・ドギがいちばんの詐欺師ですよ。
校内いじめ案件では、いじめグループの主犯を演じたのがすきぴ俳優のひとりチェ・ヒョヌク。人を食ったようなこういう役、似合いますねえ。
ストーリーのほうは後半はまったくサイダードラマではなく(脚本家が降板したそう)、エピソードタイトルに「復讐が復讐を生む」というのもあったように、ムジゲ運輸の復讐チームがピンチに陥ります。前半は報われない被害者や遺族のための復讐、最終的には犯罪者の家族にもスポットをあてた帰着となりました。シーズン2もNetflixにきたらチェックしようと思います。あのカニ越えがあることを期待して。
◆『シグナル』
◆チェ・ヒョヌク