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【札幌×ミュンヘン】日本ではあまり知られていないミュンヘンのクリスマスの過ごし方
日本でもクリスマスは、大きなイベントであるし、札幌でもミュンヘン・クリスマス市といったイベントが行われていると聞く。
しかし、ミュンヘンに来て、これまで自分が日本で経験してきたクリスマスとは違うクリスマスがあることを知った。
そこで、私がドイツ人から聞いたり、実際に体験したミュンヘンの日本ではあまり知られていないであろうクリスマスについて書いてみようと思う。
1.adventskranz(アドベンツクランツ)
日本でもアドベントカレンダーは知られていると思うが、アドベントクランツなるものをご存じだろうか。
私は、アドベンツクランツの存在すら知らなかったが、ドイツではとてもポピュラーでどこの家庭にも1つ置いてあるそうだ。
このアドベンツクランツとは、写真のようなもので、ロウソクが4本立てられているのが通常である。
一言でいえば、「4週間前から1週間ごとに1本ずつロウソクに火を灯し、クリスマスにキリストが降臨するのを待つ」というものである。
最初の1週間の始まりは11月30日「聖アンデレの日」からもっとも近い日曜日で、2016年は11月27日がこれにあたった。
その後、1週間ごとに1本ずつろうそくの火を点けていく(そのため、写真のようにロウソクの高さも4本とも異なっているアドベンツクランツも多く見かける)。
我が家の食卓にもアドベンツクランツが置かれ、食事のときにはロウソクに火を点けているが、なかなか良いものである。
家族の団欒の中心に置かれるアドベンツクランツは、家族でクリスマスを過ごすドイツならではのアイテムである。
2.weihnachtsbaum(クリスマスツリー)
日本でクリスマスツリーといえば、プラスチック製などの人工的な木が主流である。そして、11月下旬ごろから自宅に飾り、クリスマスの雰囲気を楽しむものである。
しかし、ドイツではまったく違った。
まず、クリスマスツリーは、生の木である。そして、生の木であるため、早く買いすぎると木が傷むという理由からクリスマスツリーを購入するのは一般的にはクリスマスの1週間前。
このように広場やスーパーなどでクリスマスツリーが売られている。価格は、木の大きさにもよるが安いものであれば1メートル80センチで15€(2000円以下)で購入できるものもある。
当然、生の木なので、毎年買い替える必要がある。ドイツでは1月6日までクリスマスツリーを家においておき、その後は市などがゴミとして回収してくれるそうだ。
私もクリスマスツリーを購入したが、ミュンヘンの家の中は暖かく、家の中においておくとみるみる木が弱っていくのがわかるので、止む無くベランダに置いてある。
家に置くとモミの木の香りがしてよいが、普段はベランダに置かなければならないことを考えると少し寂しい気持ちもする。
3.聖ニコラウスとサンタクロース
日本では、クリスマスといえばサンタクロースであるが、ドイツではどうも違うらしい。
サンタクロースではなく聖ニコラウスという人物がいる。
見た目はサンタクロースもニコラウスも同じように見えるが、ニコラウスは12月6日に来るのである。
そして、ニコラウスは同伴者を連れており、その同伴者は各国で名称が異なるが、ドイツではクネヒト・ループレヒトと呼ばれ、子供たちに恐れられている(日本でいう「なまはげ」のような存在)。
子供たちは、12月6日の夜、靴下を用意し、良い子にしていたらお菓子がもらえ、悪い子には木の枝(鞭)が入れられ、ときにクネヒト・ループレヒトに連れていかれてしまうのである。
そのため、11月下旬ごろから、子供が悪さをするとクネヒト・ループレヒトに連れていかれるよ、という話をして子供たちに言うことを聞かせるのである。
ちなみに、ドイツで有名なスーパーREWEでは、子供たちに靴下型の箱を配り、名前を書いて持っていくと12月6日に果物やお菓子を入れて戻してくれるというサービスを無料でやっていたりする。
ニコラウスについては諸説あるが、ドイツの子供たちにはサンタクロースよりもニコラウスの方が有名のように思われる。
4.weihnachtsmarkt(クリスマスマーケット)
日本でも有名であるが、やはりドイツのクリスマスといえばクリスマスマーケットである。普段は静かな街ミュンヘンもクリスマスマーケットのときは至る所で出店が並び街は人々で賑わう。
しかし、ここはミュンヘン。寒い。
そんな寒さを温めてくれるのがグリューワイン(日本では「ホットワイン」と呼ばれているかもしれない)。
このカップはデポジットとして4€程度支払うシステムになっており、デポジットの返還を受けず持ち帰ることができる。
グリューワインは、どうせワインを温めただけだと思っていたが、そうではなくオレンジ、シナモンなどもブレンドされており、とても美味しい。そして温まる。自宅でも簡単に作れるので、いくつかグリューワインのカップを持ち帰り寒い外から帰ってきて自宅でグリューワインという楽しみ方もある。
この他、クリスマスマーケットでは、クリスマスツリーの飾り、地元のデザイナーの工芸品、ホットドック、甘栗など多種多様な出店が並んでおり、ぶらぶらと歩きながら見て回るのもとても楽しく飽きないものである。
【×札幌】
札幌でも「ミュンヘンクリスマス市in Sapporo」というイベントが行われ、今年で15回目となる。
15年前に始まったとすると、ちょうどイベントが始まったときは札幌にいたことになるが、残念ながら、それほど鮮明にイベントのことを覚えていない。
しかし、15回を迎え、イベントの規模も大きくなって、現在では札幌の冬のイベントとして定着しているように思われる。
出店しているお店もドイツゆかりのグリューワイン、ソーセージなどが売られ、ミュンヘンのクリスマスマーケットと似た雰囲気を醸成している。
そして、素晴らしい取り組みとして、地元札幌の企業が出展をしたり、地元のデザイナーの商品が販売されている点である。
デザイナーや美術家が多く住むシュバービング地区にあるミュンヘナーフライハイトでは、こうしたクリエイターが多く参加するクリスマスマーケットが存在する。ここではデザイナー達が、自らの作品を展示し、販売しているだけでなく展覧会もプレハブでやっている。
ミュンヘン・クリスマス市in Sapporoが、札幌、北海道のクリエイターの作品の発表だったり、販売の場に一層なっていくことは「ミュンヘン・クリスマス市」のコンセプトとも合致するものであり、ぜひ地元のクリエイターが出展しやすいように(もうすでにあるのかは不明だが)出店料を減額するなどの優遇措置を設け、より出店しやすい環境づくりを期待したい。
最後に、どうしてもこれは・・・というものとして、なぜ「ミュンヘン・クリスマス市」という名称にもかかわらず、マトリョーシカのショップが3件もあるのだろうか。これは、ミュンヘン、ドイツではなくロシアではなかろうか・・・・。
マトリョーシカに罪はないが、やはり「ミュンヘン・クリスマス市」というコンセプトであれば、例えば、アドベントクランツだったり、くるみ割り人形だったり、もっとミュンヘンのものを、少なくともドイツのものを販売して欲しいという気持ちになってしまうものであり、出店のラインナップについても今後に期待したい。
追記
12月19日ベルリン市内のクリスマスマーケットにおいて悲しい事件が起きました。同じドイツに住む者として亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。