J1来場者数を調べてみた

2022年J1は横浜F・マリノスが優勝し、11月5日(土)に34節306試合が終了となりました。2023年シーズン日程が今週発表見込みのため、来場者数などを振り返りたいと思い観客動員数など調べてみました。
※当記事では国立競技場開催のFC東京(4/29及び9/18)、清水エスパルス(7/2)の計3試合を除外し、数字を算出している箇所があります。

コロナ前との比較

総来場者数は、4,384千人となり回復傾向にあるものの、コロナ禍以前の2019シーズン比では、31.0%減となりました。

ワールドカップの影響で、2022シーズンは早く終了したため、単純比較はできませんが、2019年同月比で平均来場者数は最終月付近では上回り、また声出し応援が(一部)可能となり22シーズンの後半から徐々に回復傾向にはありますが、それでも多くの減少が見られています。
チーム別に比較すると以下になります。

今期一番来場したホームチームは?

浦和レッズがホーム17試合で来場者数唯一の40万越え(平均2万人越)を達成しました。
浦和レッズの動員力はケチをつけるところはないのですが、他クラブにとって、スタジアム自体のキャパシティや相手・状況に対する熱量も違うのではないかと思いJ1 18クラブの総来場者数と上位3つの来場試合をまとめてみました。

各クラブのサポーターの皆さんは、第一位の対戦相手を見て思い当たるものがございますでしょうか?
ダービーなどありますが、川崎Fの神戸戦や、神戸の横浜FMは優勝が懸かった試合でしたので、来場者数増につながった試合です。
ちなみに対戦相手として出てくるチームで多かったのは、一位3回(神戸・川崎F)、二位3回(神戸・G大阪)、三位5回(鹿島)となりました。合計では神戸がダントツの9回、続いてG大阪7回、浦和と鹿島が6回上記表に出てきます。
神戸戦は認識どおりの凄さですね。
(※国立開催を除いているため、平均来場者数を降順で記載しています。)
2019年と比較すると、浦和においては平均来場者数は30.9%の下落となっています。また2019年ではJ2のカテゴリーであった京都・柏・福岡においては、平均来場者数がプラスに転じてますので、今回のコロナ禍における動員ダメージが甚大であるのはJ1クラブであるのが数字からも見てわかるとおりとなります。

今期一番来場したアウェイチームは?

ホームチームと同様の計算方法で、アウェイチームを算出してみました。それがこちらになります。
上記と同じ計算方法のため、国立競技場開催を除外しています。(G大阪(4/29)、横浜FM(7/2)、京都(9/18))

この計算方法だとホームスタジアムのキャパシティは平準化されるはずで、単純にこのチームとの試合があるとき、人が呼べるか?の指標になると思います。
それでも浦和が一位となりました。全国に浦和ファンがいる、もしくは遠征に駆けつける浦和ファンが多いとの想像どおりの結果となりました。下位に着目すると、鳥栖・札幌については、佐賀・北海道と移動に距離があるため駆けつけにくいデータとなるのかなと思います。
ただし、Home別の順位ではスタジアムのキャパシティを勘案できていないこと(大型のスタジアムを持っているクラブは有利)、Away順位では平日開催(コロナや台風による代替開催)を加味できていないことが思い当たりますので、キャパシティ率で見てみたいと思います。

Homeスタジアムのキャパシティを勘案すれば

Jリーグでは緩衝帯を設けており、各スタジアムの最大の来場座席数は不明ですが、Jリーグ公式サイトによる座席数を入場者数で割ると以下の集客率になりました。
(こちらも国立開催は除外しています。)また横浜F・Mのように、2スタジアムを利用している場合は試合ごとに合計して割合を出しています。
(計算式:総来場者数/スタジアム入場可能数(Jリーグ公式より)総計)
コロナ禍前では約6割が入っていたところ、今シーズンでは約4割の来場者数になっております。

この結果を出す前は、柏が強いと想像していましたが、川崎フロンターレが1位となりました。一方で、大型スタジアムを持つクラブ(浦和や横浜FM)はやはり、下位になりました。ちなみに2019年は以下の結果となっていますが、それでも川崎Fが1位となっております。

散布図で縦軸を集客率、横軸をスタジアム入場可能数でポイントすると以下になります。今回の入場可能数は一番多く使っているスタジアムにしております(横浜FM=日産スタジアム。磐田=ヤマハスタジアム)。

ざっくり分けると、赤枠(最大3万人以下)のスタジアムは入場者数70%(に戻すのが)目標、青枠(4万人~5万人以下)は入場者数50%(に戻すのが)目標程度でしょうか。
2019年(点線で表示)も併せて記載すると、以下になります。

ただし、2020年から2022年は、新型コロナや東京オリンピック、W杯と過密日程が続き平日開催がありましたので、2023シーズンは赤枠も青枠も目標値に届くクラブがあると想定しています。

日付の優位性は?

来場者数の傾向はどうなのか、最終節付近か大型連休(GW等)に多いのか、各クラブ来場者の上位試合を日付別に分けると下記になりました。

ホーム最終戦(33節、34節)の優勝争い、残留争いの佳境を迎える時期は人が呼びやすい他、GWやお盆のアウェイサポーターの移動がしやすい時期は伸びる傾向にあります。
ここまでのデータを見る限り、対戦相手は浦和・神戸戦は人が入りやすい(相手要因)×大型連休や最終節には人が入りやすい(時期要因)ので、時期要因が下のときに、相手要因が上だと来場者数は、相対的に増加するのではないかと思います。
時期要因が上かつ相手要因が上だと来場者が固まりすぎるので、クラブとしてはシーズン通して平準化したいと考えているのかと思います。(満席は満席でクラブとしてはうれしいと思いますが、)
スタジアムごとに偏差値を出し、(平日、国立開催、ACLによる代替、コロナと台風による延期)を除外すると以下となりました。

この表をみると後半のほうが盛り上がっていますので(声出しの影響もあり)ゆったりみたい人はシーズン序盤のほうが人は少なく、ゆったり見れる傾向にあります。(時期的に家族で行きやすいなど。)
来場者数1位の浦和、来場率1位の川崎、22シーズン首位の横浜F・M、最下位であったジュビロをスタジアムごとの偏差値で表すと以下になります。

ホームチーム来場者平均ではなく、スタジアムごとの偏差値ですので、スタジアム来場者数がスタジアム平均と比べてどれだけズレがあったのか、ニッパツ開催はニッパツだけで合わせてゼロとなり、エコパ開催はエコパだけでゼロとなります。また平日開催は点線で区切っております。
浦和は序盤の凹みがリーグ全体と同じ傾向である一方、川崎はブレが少ない、横浜F・Mは優勝の瞬間の最後に一気に人が来ている一方、ジュビロは前半の方がリーグ全体の傾向と比較すると入っている結果となりました。
23シーズンの日程が発表された際には、その点も注目すると面白いのかと思います。

平日と土日の入場差は?

今シーズン計国立開催含む306試合のうち、平日開催は54試合でしたので入場率差を出してみると、以下のとおりとなりました。

全クラブ平均となりますので概ね1.5倍の差があったということは、新型コロナ感染拡大や台風の影響により順延となった場合、試合のチケット収入が約3割減となるデータとなります。
またアウェイ来場者数が多かったクラブ(浦和、神戸、G大阪)が平日開催で、アウェイであった場合、ホームクラブのチケット売上では損をしており、アウェイ来場者上位3クラブ(浦和、神戸、G大阪)において、22シーズン損をしたクラブは、7クラブが該当しております。
ホーム来場者数最多の浦和レッズを例に、エリアごとのホーム開催試合の入場者数は以下になります。

このデータをみると、同一エリアの方が有利な結果となると想定していましたが、意外に同一エリア(関東等)チーム戦において入場者数が有利とは必ずしも言えない結果となりました。

終わりに

時期的な要因はデータ上あり、対戦相手の要因もデータ上あり、ただし対戦相手の地区には大きく影響しない結果となりました。
23シーズンの日程が公表されると、いつアウェイに行くか、いつ仕事を休むか、楽しくもあり辛くもあるシーズンがもう間もなく始まりますね。まだスタジアムに来ていない友人や家族を呼ぶ時期など今回の記事を少しでも参考になれば幸いです。


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