2度目の海外滞在を前に
二日後に日本を出国する。
前回の交換留学とは打って変わって、修士課程での交換留学は楽しみが勝り、今のところ心の高まりは今後の不安をかき消してくれている。
しかし、冷静に客観的に考えると
前回とは違い、アフターコロナの世界線。アジア人に対するヘイトクライムやコロナやウクライナ危機から来る貧富の差の(コロナ前との)相対的な拡大による治安の悪化、入国制限やワクチン接種に関する出入国の制限。
前回とは異なる原因で情勢が悪化し、前回の欧州渡航の慣れから来る安心感は打ち消されてしまう。
今回の留学(も)正直目標はない。しかしどうせ行くならば目標を定め、達成しない手はないのだろう。
この渡航期間(9月から12月)の第一目標はもちろんのこと、修士論文を書き終えることであるが、それ以外で考えてみる。
最も達成したいこと、留学の1番の目的は、自分本意に物事を考えながら、現地の生活を目一杯楽しむことだ。前回留学ではその両方ができなかった。
当時の彼女とは毎日2時間ほど電話をし、12月には再び会いに日本に一時帰国をした(結果的にはこの帰国は自分の精神的安定にも繋がったし、その後の留学生活が有意義なものになったことに違いないが)。
現地の生活も完全に楽しめたとは言い難かった。多くは家に引きこもり、週末はほぼ海外に行く。計算してみると、6ヶ月のデンマーク滞在で、デンマークにいた期間は想像よりも短いものだった。
これらの考えから、現地での生活を楽しむことは今回の渡航の第一義的目標である。
しかし、やはり定性的な目標だけではなく、もっとわかりやすい達成する目標を設定したいと思っている。
よく、なんちゃって留学生がやりがちのは友達何人作る、とか、TOEIC/TOEFL何点超えるくらい英語を勉強するとか、何ヶ国行く〜とかだろうが、そんなのは子供っぽくて恥ずかしいくらいには自分の精神的年齢は上がってしまっている。
じゃあなんなのだろうか。
わからない。前回の留学もそうだった。
現在、東大で派遣留学生支援のスタッフの仕事も学生スタッフとして本部国際交流課で従事している。そこで、”おそらく”日本の中では意識が高い東大からの交換留学生たちに、留学の意義や目標を数人の学生に聞いてみたことがあった。
スイスに留学する彼は「自分は物理工学が専攻であるが、スイスでは、もう一つ興味があった別の工学を学ぶ機会が与えられるので、留学に行くことにした」と。
イギリスの名門UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)に留学する3年生の彼女は「特に理由はないが、なんとなく」と、少し気まづそうに答えた。
そうすると「実は私も特に」と答える人もでてき、さらには海外旅行に行く機会が欲しい、という人も。
結局、目標は、
そもそも言語化して他者と共有するものでもないのかもしれないと思いながら、目標を見つけて海外に行くことが、東大生の間で主流なのかどうかわからないままであった。そして大事なのかすらもわからない。
親には感謝している。
お盆の大阪帰省から、息子を東京に再び帰すのと同じ気持ちで、オランダに送り出してくれた。
現在、東京に向かっている。
なんとなく海外で過ごして、なんとなく帰ってくるのだけは避けたい。
何を得られるのだろうか。何かを得るべきなのか、それとも、前回感じた海外滞在に対する思いや考えを検証する機会なのか。
行き先はオランダ。
何もわからないけども、行ってきます。
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