六分儀句会如月の段
ほぼ初心者(始めて2,3年)から芸歴四半世紀以上なものまで合計九人でぼつぼつと句会を始めました。とりあえず一年は続けたい。できればもうちょっと先まで続くと嬉しい。その句会の記録です。上位句(今回は4点句と3点句)のものを列記しましたー。
如月の段
28. 小型旅客機が鯨に飲み込まれ (岡田朋之)4点
◎たくや SF的な景があり、大袈裟な表現がまたたまらく素敵です。
破調であるところも、SFチックさや非日常感を表せていて良いと思いました。
◯青に桃々 最後の航行中の旅客機だ。冬の海も鯨も金属めいてきて、ほら、旅客機は見えなくなった。
◯宮川由梨 シンプルでいいなと思いました。鯨が冬の季語って初めて知りました。
30. 山茶花よ恋にも才能がいるぞ (岡田朋之)4点
◯久留島元 才能、足りんかったんでしょう。「よ」のよびかけが切ないですね
◯青に桃々 才能がなくてもいい娘がいるよ、きっと。山茶花の花のような何でもなくてもかわいい女の子。
◯たくや 季語の「山茶花」は動くかなとはおもいますが、最後の「ぞ」にやられました。ここまではっきり強調されると、何となくそんな気にさせられます。
◯高橋梨華子 山茶花は椿と似ているけど、花弁がバラバラに落ちるというイメージがあります。
33. いがいっこたらんまま来る冬将軍 (わたなべじゅんこ)4点
◎青に桃々 大変だ大変だ! いが一個たりひん!アレがないと!‥あぁ、間に合わなかった‥。でもって、いって。なんだっけ? 今年は一層厳しい冬です。
◯冴月 あります、あります。送信してから気づくんですよね〜チョット間抜けな感じが良いです。
◯宮川由梨 いってなんだろ。「さむッ」って言っちゃうなあとしょうもないこと考えました。
△久留島元 いがたらん、てなんでしょうね?
8. 名のみ春赤信号の仁王立ち (久留島元)4点
◎宮川由梨 なかなか春が来なくて留まってるのが感じられて全体的な言葉の流れも好きです。
◯岡田朋之 「名のみ春」がいいですね。調べるまで全く知りませんでした。
寒い中仁王立ちしている人が一人いる風景が頭の中にそのまま浮かびます。その風景がちょっとユーモラスで好きです。
◯川嶋ぱんだ 春は名のみと赤信号を持ってきて、意外な名のみの春を作れそうではあったけど、仁王立ちの光景がヨクワカラナイ。仁王立ちといえば腕組みをして、どっしりと構えているイメージだが、信号機の足元って細くないですか?
10. 珈琲を持って二月の会議室 (久留島元)3点
◎川嶋ぱんだ かるい作り方ではあるし、季語も時候で技巧的ではないが、一番奇を衒っていないので特選。珈琲を持って会議室に入る会社はカジュアルで封建的な社風ではなさそう。
◯わたなべじゅんこ 片手には資料やノート、筆記用具など持っていて危なっかしい。にもかかわらず誰かが配ってくれるのでなく自前で持って行く飲み物。自立しているみたいな、そしてフットワークが軽いような。とてもかっこいい姿だ。
△冴月 冷んやりして緊張感のある会議室と温かいコーヒーの対比が良いです。
「を持って」の所が少し散文的かなぁ‥
3. さう言へば兄貴をさらふなどと北風 (青に桃々)3点
◯久留島元 三段切れに近い強引な展開だが面白い。
◯岡田朋之 兄貴がいなくなった後に詠んだのか、いなくなってないけど詠んだのか。こういう少しだけ諦観っぽさがある句は好きです。
◯高橋梨華子 さう言えば、の一言ではじまるのが斬新だと思いました。そこから兄貴、北風の繋がりの自然さがおもしろいと思いました
37. 猫の恋なんでも意味をつけたがり (冴月)3点
◎岡田朋之 季語との対比なのか、季語への疑問なのか。猫は別に恋していませんものね。
◯久留島元 俳人ですね
5. 一月の火事の続きの二月かな (川嶋ぱんだ)3点
◎高橋梨華子 火事の「続き」の言葉で想像力が広がって、わかりやすい単語なのに、気持ちよく不信感がありました。かっこいい
◯わたなべじゅんこ すごい思い切り振りきれてて楽しいと思った句。勢いだけと言えば勢いだけかも?
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