六分儀句会23 水無月の段

ひと月が速い速い……。

わりと飯テロ句も多くて(笑)
「ピーマン切って中を明るくしてあげた 池田澄子」と真逆のベクトル句?なども。


26. ピーマンの中へ本音を詰めてやる (仲田陽子)5点
◎ 明定朝子 本音って言えない事あるのよね。ピーマンの肉詰めの中に入れて食べるしかないね。
◯ 黒田さつき どんな本音やねん🤣
◯ 髙橋梨華子 怒りかもしれないけど、深刻な感じではなくかわいらしさも。
◯ 岡田朋之 ある種のリアリティがある句。主婦か主夫の気持ちなのか、あるいは母か父親か、何にしても家事仕事をしている方の句ですね。個人的には「詰めてやる」のやるがちょっと気になりました。
△ わたなべじゅんこ 肉じゃなくて?と思わず笑った。美味しい肉詰めピーマン食べたい。
△ 久留島元 たくさん詰められそう。
△ 佐々木ふく 例えば、誰かのためのピーマン料理で、その人への本音。ここでの本音は、あんまり良いものではないのでしょう…

30. 妻の死を食べて一人の夏の昼 (岡田朋之)5点
◎ 久留島元 妻の死を食べる。妻の没後にひとりで昼食したという意味だろうが、この書き出しがすごい。死を食べて生活しているという虚無感。
◯ わたなべじゅんこ 現実としての「死」か、何かの象徴としての死か。そしてその死を食べるとはそれをエネルギーにかえる、乗り越えるということか?「妻を食べる」風に読めばスプラッタ風味のホラー。素直に読めばひとり残されてのお昼ごはんが切なくて寂しい。これはその感情を隠したいのか?
◯ 佐々木ふく 「食べる」という表現に迫力があります。ギラギラしているけど、まだまだ立ち直っていないのだろう、そんな簡単には飲み込めないのだろうと想像しました。夏の庭はエネルギーに満ちていそうで、だからこその危うさを感じました。
◯ 髙橋梨華子 少しホラー。先立たれた妻を偲んでいるのか
△ 小林少年 「死を食べて」がうまくて、寂寥感が伝わってきます。

38. すべり台VSカタツムリ5号 (久留島元)5点
◎ 黒田さつき 5号がいいですね👍👍👍ガンバレ〜
◎ 小林少年 何故かわからないけど、思わず「がんばれ」と声をかけたくなる。5号ということは、1号、2号などがいて、果敢にチャレンジしたのだろうなあ、すべり台登り。ひょっとしたら、すべり台はカタツムリの形をしているのかもしれない。「5号」という言葉だけで意志と連続性までも生み出した。
◯ 山本たくや よくわからない。ただ、カタツムリの「5号」という言い方に、ユーモアを感じ、マンガ的な世界を思い浮かべました。

15. また夏かノーズアートの光る朝 (小林少年)4点
◎ 芳野ヒロユキ 「また夏か」に作者の思いが出すぎてる。ここは再考してほしい。中7下5で特選にしました。
◎ 佐々木ふく 「ノーズアート」、知らなかったので調べたところ、主に軍用機の機体に描かれたものを指すとありました。
「夏」の軍用機からは、私はやはり先の大戦を連想します(そしてもちろん、現在進行形の戦争も…)
その上での「また夏か」という、うんざりしているとも取れる言い回し。
一方で、「ノーズアート」は光っていて、しかも「朝」という、美しさや希望すら感じさせる描写。
おもしろいバランスだと思いました。
△ わたなべじゅんこ 日の丸でなければいいな、などと。

59. 雨粒がくねくね流れ夜の車窓 (明定朝子)4点
◎ 山本たくや 中七途中の「くねくね流れ」まで、ちょっとした気持ち悪さを感じたものの、その理由が「車窓」と分かると変に納得させられました。ある種の情緒も感じます。無季の俳句ですが、6月の俳句としては正解でしょう。
◯ 黒田さつき 窓を伝う雨粒🩵新幹線🚅かな❓
◯ 佐伯一馬 窓についた水滴はまっすぐ降りてくれないですね
思考もくねくねするのにちょうどいい気がします
△ わたなべじゅんこ 雰囲気のある句。どこか理屈っぽさがある?

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