六分儀句会23 如月の段
人数が増えると作風のバリーエションが増え、それだけ点もばらける。そういうなかでの高得点句です。
38. 犬老いた分だけ老いた雪だるま (岡田朋之)5点
◎ 佐伯一馬 人間からすると犬の老いるのは早くて、雪だるまの老いるのはもっと早くて、寂しさを感じます。
◎ 佐々木ふく 犬との暮らしも良いですね。老いた犬は、もう雪をみても、雪だるまをみても、はしゃがなくなったのでしょうか。
◯ 黒田さつき 俺も老いたなぁ〜昔はデカいの作ってたのになぁ(ToT)
△ 小林少年 毎年雪だるまをつくる。そのそばを犬が駆け回っている。その犬も齢を重ねてきた。そして雪だるまも老いて見える、つくる自分も年をとったなあ。雪だるまもつくった人に似るのでしょうか。
4. 俺わりと口固いねん梅つぼみ (黒田さつき)5点
◎ 髙橋梨華子 固い、つぼみ、口、梅、この要素がとても好きでした。分かりやすく、連想も滑らかで面白いです。
◯ わたなべじゅんこ わりと、というところが怪しい(笑)たぶんつぼみとともにペラペラくっちゃべっちまうはず
◯ 小林少年 梅のつぼみは、まだまだと思っていても、あっという間に開いている。「梅つぼみ」ゆーてる段階でばれてますよ。何を言い寄っているのか……。すっとぼけたおかしみに一票。
◯ 仲田陽子 わりと。。。ね。蕾は時がくればほころぶ。
△ 久留島元 つぼみ、が単純な見立てに終わってしまった印象。早春の雰囲気とはよくあってた気がします
44. たこ焼きのやりたい放題春炬燵 (佐々木ふく)5点
◯ 黒田さつき エーッ‼︎それも入れる?もうたこ焼きちゃうで〜笑
◯ 小林少年 みんなで楽しそうに、つくり、食べているたこ焼きパーティの様子が目に浮かびます。「春炬燵」がその場の微笑ましい雰囲気を呼びます。
◯ 佐伯一馬 納得感がありました。なんでたこ焼きを家でやると散らかってしまうんでしょうか。
◯ 久留島元 たこ焼きパーティ、いろんな具材でやり放題、みたいな。にぎやかな春こたつ
◯ 明定朝子 たこ焼きパーティーだね。学生生活も終わりに近づき楽しい仲間と最後の晩餐かな。
△ 髙橋梨華子 おうちでタコパ。楽しそうな様子が目に浮かびます
8. 朝帰りした玄関に雪達磨 (佐伯一馬)5点
◎ 小林少年 胸が痛みます。昨晩帰っていれば、いっしょに雪達磨をつくれたのに。こどもたちはどんな気持ちでつくったのだろう、と。もう、あの雪の降る夜の時間は戻ってこない。
◯ 山本たくや 疲れて帰った朝に、ほっこりとする情景。
◯ 明定朝子 お父さんが大雪で電車も止まりようやく帰宅すると子供達が可愛い雪ダルマを作ってあるのを見てホッとしたのかな。
◯ 仲田陽子 何時に帰ってきたかは雪だるまは知っている。
△ 髙橋梨華子 誰が作ったんでしょう、妻か親か、兄弟か。圧を感じますね
△ 久留島元 ちっとも色っぽくないし、朝になっても帰れませんでしたが、先日の大雪の翌朝、京の町はまさにそんな感じでした。
△ わたなべじゅんこ なんだか罪悪感ある父の顔が見え隠れします(笑)
1. 空つぽの噴水へ子の集ふ春 (佐々木ふく)3点
◎ わたなべじゅんこ 夏になれば噴水の出番ですね。水のない枯れた噴水がうまく季節の予感に立ち会っています。
◯ 小林少年 子どもの好奇心、発想にはいつも驚かされます。そして勇気がわきます。どこでも何でも遊びを見つける。噴水で遊ぶのはわかるが、水の出ていない空の噴水も、それはそれで新たな体験なのです。
△ 久留島元
41. 仲直りせぬまま二月減っていく (髙橋梨華子)3点
◎ 芳野ヒロユキ 時間を量で捉えているのが良かったです。
◯ 久留島元 二月減るは実感ある
46. 空虚って言われたかまくらを掘った (岡田朋之)3点
◎ 久留島元 真ん中で大きく切れる句、面接かなにかできつい一言をいわれたのか。かまくら掘りに熱中できる人柄なら空虚ではなさそう。
◯ わたなべじゅんこ 八つ当たりのようなかまくらづくり。かまくらの中も空虚。あなた自身も空虚。いっそ雪で埋めてしまおうということ?春になったら消えるのに。
△ 芳野ヒロユキ 気になったのですか゛かまくらは掘るものなのかが私にはわからなくて。
51. 福豆の数だけ人であった過去 (久留島元)3点
◎ 仲田陽子 年の数だけ食べる福の豆、それは人として生まれてき現世の記憶の分量。来世は鬼かもしれない。
◯ 佐伯一馬 豆の数だけ歳を重ねているのはある種当たり前ですが、人であった過去と表現したのが面白いです。
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