25 六分儀句会 睦月の段

去年から3句出しの3句選。そのなかでのふくさんの12点はなかなかない高得点句となった。お祝いの気持ちももちろん作用したのだと思うけれど、作者の気持ちを素直に汲んで受けとめられるそういう距離感も育ってきたのかなと嬉しい。

また、六平さんの句もようやく「らしさ」が出た句だったような気がする。今回は読み手が(つまり読者が)これはどうなのかと自省する場面もあって、逆に言えばそういう読みを促す仕組みの生きた句だったと言えるか。
試行錯誤や作りたい句がとって貰えないもどかしさが句会にはあるけれど、投げ出さないで工夫していれば、その試行錯誤が実を結ぶこともあると私自身も作家として確信できた。六平さん、ほんとうはもっとライトバースな作風が持ち味だったのでそういう句柄にも期待値大!



1. 水仙や姉になる子を抱きしめる (佐々木ふく)12点
◎ 黒田さつき 優しいお母さん
◎ 明定朝子 もうすぐ赤ちゃんが生まれてくるんだけど、今までのようにお姉ちゃんを抱っこするのが少なくなってくる事が分かっているので今のうちに抱きしめているんだね。
◎ 久留島元 新しい家族を迎える準備、当人はわかっているのかどうか。「姉」になることの責任をまかせる親側の、応援であったり負託の気持ちか
◎ 仲田陽子 一人っ娘だったのだろう、弟か妹ともうすぐ会えるよ〜
◎ わたなべじゅんこ 自分が姉になったときのことを思い出しました。水仙の凛とした佇まいが、その子の照れくさそうで不安そうな表情と合いますね。なにがあってもこれからはお姉ちゃんだ、そんな覚悟を目の奥に秘めています。
◎ 髙橋梨華子 下の子に親が取られちゃうのが姉の運命。抱きしめる、に優しさがあって好きな句です
△ 岡田朋之 ちょっと狙いすぎかも

10. 狼の匂いの微か風花か (芳野ヒロユキ)5点
◎ 六平 風花と狼の匂いという取り合わせが魅力的
◎ 佐々木ふく 季語としての狼はいない。ただその気配だけがあって、その気配も風花と同時にすぐに消えてしまう。終焉の気配の漂う句だと思いました。
◯ わたなべじゅんこ 狼王ロボを思い出しました。

6. 陳さんもグエンさんもゐて初電車 (六平)5点
◯ 仲田陽子 気がつけば多国籍社会に。
◯ わたなべじゅんこ 国籍超えていろんな国の人が一緒に乗る電車。なぜだろう、仕事帰りの切なさを感じるけど、これはある種の差別になるか?
◯ 小林少年 神戸のお正月に違いない。上五中七の思い切りに祝杯。
◯ 美稲しょうこ 時には日本人より外国人の方が多いのではないかと思える電車内。今の様相がうまく捉えられている。
◯ 髙橋梨華子 元旦の出勤電車かな、という感想には悪意がこもってしまうでしょうか…
△ 佐々木ふく 国際色豊か!国は違っても、なんとなくのお正月気分は共有しているのでしょうか。

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わたなべじゅんこ
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