23 六分儀句会 霜月の段

気がつくとあと一ヶ月足らずで今年が終わりますね。恐ろしい。


10. 草の花殺した人の訃報くる (岡田朋之)5点
◎ 山本たくや 己が犯した罪を隠している怖さがある。それに加えて、上五ではしれっとした感じで「草の花」を配しているあたりが、さらに怖さを助長している。ある種のサイコパスさを感じてしまう。
◎ 仲田陽子 殺した人とは存在をということだろう。そんな人の訃報を聞いたとて今更…なんだけど、なんとなく胸がざわめく。
◯ 小林少年 「草の花」が、なんとなく殺風景な、それでいてお葬式の花々も連想させる。「殺した人」が、心の中の殺伐とした有様を呼んでくる。

23. 才能が転がり落ちたちんちろりん (美稲しょうこ)4点
◎ 佐々木ふく 転がり落ちるくらい、軽い才能。ちんちろりんは虫の音だけど、転がり落ちた音にも聞こえる。そのせいか、妙に軽やか。ちょっと落っことしたかもしれないけど、また拾って使えそう。
◯ 久留島元 虫の音が、才能のこぼれた音みたい、ちんちろりんがサイコロの喩とすれば意味深。
◯ 髙橋梨華子 ちんちろりん、ころころりん。ちょっと滑稽な感じが楽しいです。
△ 小林少年 溢れている。

52. メンタルに包丁栗羊羹に線 (芳野ヒロユキ)4点
◎ 小林少年 「メンタルに包丁」これ思いついた人天才です。脱帽。
◯ 美稲しょうこ 心配で掬い取らずにいられない句です。しんどい時、きつい時は甘い物を食べてゆっくり休みましょうね。栗羊羹を切ってね。
◯ 髙橋梨華子 組み合わせが好き。少しずつ寒くて鬱っぽい季節になっていく。
△ 久留島元 メンタル、ちょっと切り込みいれたほうがさっぱりするかも。栗羊羹に線、はわかるようなわからんような?

55. 鳥渡る今日も土台の組体操 (佐々木ふく)4点
◎ 黒田さつき 土台で踏ん張っている姿が素敵です。華やかな上はこうやって支えられているんだなぁ。土台の子たちのせつなさも伝わってきて、だけど下を向かずに上を向いて鳥渡る姿を見ている。文句なしの特選です👍👍👍
◯ わたなべじゅんこ いまは組み体操しないらしいですが、その当時の気分としてわかるなあと。こういう読み方は失礼かなあと思いつつ。俳句としてはキマッた感じでいい。
◯ 岡田朋之 組体操で、土台役は練習の時もずっと土台役。ただ耐えるだけで何か面白いわけでもなく、ただ鳥が渡っていくのを眺めているんでしょうか。
△ 小林少年 つらい土台から空を仰ぐと、鳥が飛んでいる。視点の移動が面白いです。
△ 久留島元 今日も組体操の土台、のほうが意味が通りますね

56. さつまいも優しくなるまで焼いたげる (岡田朋之)4点
◯ 黒田さつき いただきま〜す😋
◯ 小林少年 この「焼いたげる」がいいですね。少し狂気もはらんで、じんわりと愛憎が伝わってくるような。
◯ 山本たくや 「優しくなるまで」がよく分からないが、「焼いたげる」というつっけんどんで上から目線の言葉遣いは面白い。この「さつまいも」はM気質なのでしょう。
◯ 芳野ヒロユキ 優しくなるにほくほく感が出ていて美味しそうです。
△ 仲田陽子 何個焼きあがるのだろう。

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