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証券会社③(投信は株より難しい)

9.11のNYトレードセンター自爆テロで日経平均がストップ安になるという異常事態が発生して以降、会社では以前にも増して投資信託を売ることが正義となっていた。

投資信託は売った金額に対して信託報酬(利子みたいなもの)が会社に入ってくるからだ。既に株式相場は悪く、テロ、戦争と続いて株価が上がらずに多くの人が買い控える為、株の売買手数料では食べていけないと判断した会社の方針である。

投資信託の新商品は基準価格1万円からスタートする。運用成績次第で株と同様に預けたお金が増えたり減ったりする。当時は20~30ページもある目論見書さえ渡しておけば、良い事ばかり伝えてとにかく売りつければどうにでもなるという風潮だった。

専門用語が網羅された目論見書に運用方針は記載されているから、自分で良いか悪いか考えさせろ。くらいな感じです。ネットサービスの同意事項を読むのが楽勝になる程の難易度。この当時の悪い風習により、現在は店頭で投資信託を購入する際、目論見書の内容を説明する義務ができました。

そして、ある投資信託の新商品を売らなくてはいけなくなるのですが、運用する株の値上がり材料は出尽くしていて、株式相場も依然として悪いまま。基準価格が下がる可能性は極めて高いと判断して、私、全く売りませんでした。

実際に1カ月で基準価格は2000円程下がっていました。1000万円購入したら1カ月で200万円消えた事になります。これくらいの額を購入した人はたくさんいます。

投資信託は運用成績が悪ければ、運用を終えて繰上償還(購入者に現在の基準価格で返金)する事もあります。

「最初から下がると分かっている商品なんか売れない!」

課長に新商品を売らないことで怒られ、抵抗した時の一言です。この後、ケンカした課長に23時頃に車で山奥へ連れて行かれ、説教を30分ほど聞く事になります。

「わしらはこれでおマンマ食っとんねん!キレイ事ちゃうわアホが!」
今でも一言一句、覚えている山奥で放った課長の言葉です。

※約20年前の話しです。

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