医事課でやってみる分析作業
なんとなくですが、簡単なレベルのデータ分析みたいなものが、探しても情報としてあんまり見当たらなかったので、作り始めてみています。
というわけで、まずは「査定減の分析」についてまとめてみました。
はじめに…今では査定対策として、レセプトチェックシステムの普及によって、ここまでする必要は正直言って無いかもしれません。
ただ、医事課に配属されて、入院や外来担当者レベルで、データに触れて問題を抽出し解決策を考える、という問題解決の基本の流れをおさえるには、使いやすいデータだったりします。
扱うデータは査定のデータです。
病院によっては査定項目を一つ一つACCESSやEXCEL等の集計ツールに入力していたり、レセプト伝送ツールからダウンロードしたデータを使っていたりと、色々あるかもしれません。
また、分析の切り口は目的によって異なりますし、何を見たいのかによって集めるデータも変わってきます。なので、今回は私が内科外来に配属された時(入職1〜2年目)にやったことを紹介したいと思います。
私は、まず自院の査定の傾向をなんとなく把握したかったのと、労力が少なく済んで効果も出そうなトコを探したかったので、以下のデータを過去1年間分、Excelで用意しました。
・患者ID
・診療科、入外区分
・算定項目、診療区分
・査定事由(ABCDのやつ)
・査定点数
・実際の査定理由
・診療月
この中で自分で作らなきゃいけなかったデータは実際のとこの査定理由です。病名漏れ、過剰、病名から認められない等色々ありますが、ABCD…だけではわからんものもあったので。当院は毎月レセプト検証会みたいなものを医事課内で行っており、その資料があったのでそこまで大変な作業ではなかったです。
データの見方はそんなに難しく考える必要はありませんが、いきなりこの項目が…とかでみるよりも、大きなグループから見ていきます。これくらいのボリュームなら切り口のスタートは、自分が気になるところからで大丈夫です。入外科別、診療区分別、査定事由や査定理由別…等、まずはピボットテーブルを使って各区分ごとに比べていきます。
そうすると当院は、医薬品の査定が多い…検査の査定が多い…内科の査定が多い…などなんとなくの特徴が見えてきます。
さらに、医薬品の査定の中でも病名漏れが多い…検査の査定の中でも月2回とかの過剰が多い…というように査定の傾向が見えてきます。
こんな感じで掘り下げていくと、こんなことがわかりました。
・全体では医薬品が6割、検査・画像が3割という感じ
・医薬品の査定は病名漏れが多かった
・病名漏れは維持療法が必要な逆食が金額としては大きかった
・検査・画像の査定は同日他科との兼ね合い(違う医師による2重オーダー等)による過剰が多かった。特にエコーと生化のスクリーニング、CT。
※当院は科ブロック制で、各科で各科の会計を入力する運用
査定減対策自体はレセプトチェックシステムのカスタマイズを強化することで対応できますが、過剰査定についてはチェック強化とかの対策しても会計が変わるケースが多く、これはチェック時点で判明するよりも日々の業務で気づけた方が、会計修正や返金追加の連絡等色んな手間がなくなるなぁ‥と考えました。一応、レセプト等点検時の会計修正には何が多いかを調べると、同日他科受診に関連するものが多いことがわかりました。
こんな感じで、データから見た結果、チェックシステムのカスタマイズ強化で防げそうなものが多いのでそこはやっていくけど、同日他科との兼ね合いによる過剰請求について何とかすれば、日々の業務がもっと色々捗るだろうということがわかり、問題解決をスタートしました。
複数科に受診する患者のアラートや、医事システム内のポップアップコメントを活用することである程度防ぐことができます。システムベンダーに他科受診アラートをもう少しわかりやすい形で表示できないか相談したり、各外来担当者と打合せしてみたり…といった感じで、同日他科受診の把握を徹底することで、レセ点検時の会計修正も査定減もある程度減少させることができた、という感じです。
本当はその時のデータとかまとめた資料があれば良かったんですが…
ただ、はじめにも申し上げたとおり、医事課職員にとって査定データは触れやすいものだと思いますので、データ分析や問題解決の勉強・実習にはおススメだと思っています。