大企業で働く会社員の意識の変化を作りたい!パラレルワーカー高嶋大介さん
大手企業に勤めながら、「100人カイギ」の発起人でもあり、さらに一般社団法人INTO THE FABRICを創業されてパラレルワーカーとして活躍される高嶋さん。華麗な転身の背景にある意識の変化についてお話しを伺いました。
【高嶋大介さんプロフィール】
一般社団法人 INTO THE FABRIC 代表理事
100人カイギ founder/見届け人
富士通株式会社にて、ユーザー・エクスペリエンスデザイン(UX)、デザイン・リサーチ等の軸に、企業や組織のビジョン経営や戦略のデザインを支援。共創の場であるHAB-YUの設立・企画・運営に関わって経験を活かし、共創型人材の育成に従事。
働く人の意識を変えたいと思い、2017年に一般社団法人INTO THE FABRICを設立する。人と人がつながる場つくりを得意とし、コミュニティ創り・イベントの企画運営、人材育成などを行う。ゆるいつながりがこれからの社会を変えと信じ「100人カイギ」をはじめとした働く人に変化を促す活動を行う。
出身地 東京都
座右の銘 立ってるものは親でも使え!
◆日本の企業で働く人たちに対しての問題意識と解決策
記者 高嶋さんが思い描く、夢・ビジョンを教えてください。
高嶋大介さん(以下、高嶋。敬称略) 大企業で働く人たちの意識を変えていきたい。基本的に僕の意識はそこです。
大企業で働いている会社員って下手すると定年まで勤めていても、社内から依頼された仕事をしていれば仕事が完結する人たちが実は結構いるんです。
営業の人たちは外部のお客さんと接点はあるけど、だいたいは決まったお客さんで「○○部署の部長」などの肩書は知っているかもしれないけど、それ以上個人的なところに踏み込みづらかったり、どうしてもフラットな立ち位置で見づらかったりするんですね。
だから、企業で働く人たちは社内ではクリエイティブかもしれないけど、会社の外部を知らずに働き続けることで、ある意味「思考停止」状態に陥ってしまいます。
そんな企業で働く人たちが、社外とのゆるやかなつながりや場作りを通して意識を変化させるきっかけ作りをしていきたいです。
◆世の中の変化に柔軟に対応し、ビジョンに向かってあきらめずに続けること
記者 その夢やビジョンを実現するためにどんな目標や計画を立てていますか?
高嶋 ビジョンに対してロードマップがあるかと言ったら、正直なところ全然ないです。明確な目標を立ててやる必要はどこにもないじゃないですか。世の中はどんどん変化していくので、そこに合わせてやっていけばいいと思っています。
もちろん、根っこは一緒ですよ、根っこは。働く人の意識を変えてきたという根っこは絶対にぶれないんだけど、何をするという手段はその時代に合わせてどんどん変わっていいというか、ニーズに合わせて変わっていけばいいので。「大きく何年後までに何をかなえよう」とか、そういうロードマップは特に持っているわけではないけど、そもそも会社員の意識を変えて行こうっていう活動は何年かかるかわからないので、だからちょっとずつでも変えて行こうと。あきらめずに少しずつでも続けていくことが必要だと思っています。だから、1年やったけど全く駄目だったからあきらめようじゃなくて、そんなにすぐは変わらないとわかっているので、ちょっとずつ僕らに関わった人たちが変わっていけばいい。なので、そこはもう長期的に考えています。
◆人は変わるけど、変えることはできない
記者 会社員の意識を変化させるというビジョンを具現化するためにどのような活動をされていますか?また、大切にしていることは何ですか?
高嶋 2017年に一般社団法人INTO THE FABRICを創業し、会社員の意識や行動を変えるためのイベントやマインドセットの研修を開催しています。スキルセットではなく、マインドセット側ですね。
記者 それはなぜマインド側なんですか?
高嶋 会社員の意識を変えなきゃいけないと思っているのでマインドなんです。
意識を変えるって、こっち側から押して変わる人もいれば、あっち側からもそっち側からも、いろいろ四方八方から押さなきゃいけないと思ってるんですね。
「長期的に計画を立ててこれをしなければならないよね」というところではなくて、「なんか今これ必要じゃない?」ということをやろうとする感じですね。だから小さくいろいろ試してみて、全部達成するわけじゃないんですよ。ダメそうならすぐ引っ込めるし、やりながら考えてる感じですね。だから、常に動きながらやっているし、今これしなきゃと思ったらそっち側に行くし。
大企業で働く会社員の意識を変えていくために、その場づくりをしますという部分は根底で変わりはなく、後はどんなことをするのかは手段のところで、それがイベントだったり研修だったりするわけです。
記者 やり方とか考え方などスキル的な手法は世の中に溢れていますが、本当は在り方とか心の部分を変化させることが一番大切ですよね。そこは難しいけど、やりがいがありますよね。
高嶋 人自体を僕らは変えられると思っていないんですよ。人は変わるんだけど、変えられないんですよね。変わるきっかけって自分が気づかないと変わらないじゃないですか。だから、気づくきっかけを作っているだけなんですよね。僕らがやっていることは。
◆自分が変われたんだったら、誰でも変われる!
記者 高嶋さんの夢・ビジョンを持つようになったきっかけには、どのような出会いや発見があったのですか?
高嶋 2014年に本業の仕事で、共創の場を立ち上げることになったんですよね。
共創の場を通じて僕自身が本業の仕事で外部の人たちの接点が増えるようになって、「純粋に人の話を聞くことの楽しさ」を知ったり、「いかに自分が社内だけにいると当たり前と思っていたことが実は違うんだ」ということに気づき始めたり、「人と人とが知り合うことで人が変わるきっかけになる」という事を非常に強く感じたわけですよ。
そんな中で個人の趣味の延長として始めたのが、港区100人カイギでした。
100人カイギは「会社、組織、地域に“身近な人”同士のゆるやかなつながりを作る」というコンセプトがあり、毎回5人のゲストの話を聞くイベントです。100人カイギを始めてからさらに会社の外とのつながりが増え、色々な働き方を知り、会社以外の「ものさし」が増えることで結果的に自分自身の働き方が変わったんです。
「会社の外部の人たちと知り合うきっかけがあれは、人は変われる。自分が変われたんだったら、誰でも変われるんじゃないか」という原体験に基づいた想いから、会社員の意識を変える活動をしたいと思って一般社団法人を立ち上げました。
◆自分の小さな箱の外に出た時に見えてきた風景
記者 その出会いや発見の背景にはどのような背景がありますか?
高嶋 一歩引いて見ると、自分がその気づきを得るまでの過程というのは、たまたま異動した部署で共創の場を立ち上げなきゃいけない状況だったのでガンガン仕事をしてきたけど、別にそれも最初はただ言われた仕事だから社内の仕事しただけの話で、当時はいかに自分が内向きかっていうことですね。ある意味、思考停止な状態だったと思います。
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』という本、知ってますか?
簡単に言うと、本当は箱はないんだけど自分で箱があると思い込んで勝手に箱の中に入っているという内容で、例えば蟻は黒い線があるとその外に出れないですよね。でも本当は線が書かれているだけでまたげるんだけど、「線から出るの?」って言われても出ないわけじゃないですか。この線の中で最大限頑張ってるわけですよ。でもそれは壁でもなんでもないので、チョンって歩けば外に出れるんですよね。一歩出ると外から見れるようになるんですけどね。
記者 なるほど。それは会社員に当てはまりますよね。高嶋さんは、ご自身の原体験として箱から出たという経験をされて、箱の中にいた時から箱の外に出た時にどんな意識の変化がありましたか?
高嶋 箱の中に入ってる時って箱の中で最大限仕事することが仕事だと思い込んでるから、そこに対して何の疑問もないわけで。だから上から降りてくる指示に対して、「この箱の隅まできっちり線が引けて、俺すげえ」みたいな感じなんですよ。お客さんも喜んでくれるし。
昔は会社に言われたことをすることが仕事かなというところがあって、ビジョンはなかったかもしれません。目標さえあればよくて、目標に向かっていかに最短で達成するかに意識が向いていましたね。でも、箱の外に出て意識がビジョンに行くようになってからはビジョンに対して道がないので、どうやって行くかについて考えるようになったんじゃないかな。
個人が目指したいビジョンと会社のビジョンというのも、別にビジョンが一個じゃなきゃいけないわけじゃないから、個人と会社は別かもしれないけどそれはそれでよくて。個人の方向と所属している会社が目指す方向と、それぞれに対してどうやって歩いて行こうかという感じですね。これはこれで両極でもよくて、でも端と端を歩いているうちに最終的にはぐるっと回って繋がるかもしれないですしね。
本業の仕事では働き方コンサルで他の企業に入ったりするのですが、かつての自分のように「思考停止」状態に陥ってしまっている会社員の人たちに気づくわけですよ。日本の企業って「効率性」を求める割には世界的には生産性が低いことが課題になっていますよね。だから、大企業で働く会社員の人たちが変化していったら、日本の国力も全体的に底上げになるんじゃないかなと思っています。
記者 高嶋さん、今日は、貴重なお話をありがとうございました。
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高嶋さんの活動や連絡先についていはこちら↓
一般社団法人INTO THE FABRIC
100人カイギ
【編集後記】
取材を担当しました、山田、稲垣、三笠です。
インターネットで全世界がつながり、AIやロボットの台頭で変化が激しい現代社会。企業では効率性や目標達成を求められる反面、個性が活かせなかったり、人と人とのつながりが希薄になる傾向にあると思います。そんな中で、本来のその人らしい状態でのつながりから何かが生まれるような新しい形のつながりを模索している高嶋さん。
鋭い視点で日本の会社員に対する問題意識を語りつつも、大企業で働く人たちへの思いや愛情を感じましたし、ご自身の原体験をもってのお話には説得力があると思いました。
高嶋さんのこれからの益々のご活躍をお祈りしています!
ありがとうございました。
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン ”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。