私の中銀カプセルタワー滞在記〜NAKAGIN BUSINESS CAPSULE(86)

【入居27日目③】

こないだ入居したばかりのはずがもう退去?もしや時空の割れ目に落っこちてないか?解せぬまま、他人事のような気分で予想以上に膨れあがった荷物を自宅に送るミッションを開始する。とりあえず大量の布類が詰まったバッグを自宅に強制送還しなければならないが、カプセルタワーすぐ隣りの黒ネコさんは発送を受け付けていないという事実が発覚したため、ワンブロック先のちーさいコンビニにえっちらおっちらとパンパンのバッグを運ぶことにした。

エアコンの音がかすかに響くひんやりとした白い部屋のドアを開けると、夏休みの校舎のように薄暗く人の気配のないの向こうから高速のクルマの音と夏の熱気が感じられる。まだ強い日差しをよけるために裏通りの細い道を抜けて行くと、なぜかこのへんにたくさんあるホルモン焼きのうちの一つであるお店の横を通った。

まだオープンしてない扉には日本酒のラベルがズラリと貼ってあって、きっとお酒の美味しいお店なのだろう。ここも、近くの立ち飲み屋さんも、地下駐車場の中華屋さんも、怪獣酒場も行けなかった。近所だといつでも行けると思ってしまって結局行けずじまいになるのは、どこに住んでいてもやってしまいがちな失敗だ。

海外に移住するわけでもあるまいに自宅に戻ってからだっていつでも行けるわけだが、なんだか住人の顔して行くのと自宅からわざわざ電車に乗って行くのとじゃ気分が全然違うのが、このカプセルタワー生活でよくわかった。ここにいてこそ味わえる空気と時間があるのだ。

昭和通りに面したこのコンビニは、「なぜキミはこの面積でコンビニにしようと考えたのかね?」と問い詰めたいくらいのコンパクトさ加減。最低限必要なものしか買えないし、最低限必要なものは爆安ドンキに全部あるのだった。そんな、近所に住んでいる私ですら数えるほどしか使ったことがないコンビニで、カタカナの名札をつけた若い外国人がテキパキと配送手続きをしてくれた。

さて大物を発送したら部屋がスッキリするかと思いきや、意外に雑然としてて不安がつのる。…どう見ても最終日に持って帰れないなぁ(汗)。スーツケース1個から始まったのにいつのまにか生活必需品が増えてしまった。

このカプセルタワーマンスリーレンタルの利用者は、たいてい退去時の荷物の撤収に苦労するという。私の滞在時には彼らの断末魔だろうか、裏口のゴミ置き場に棚やらプラケースやらの粗大ゴミが山をなしていたが、私にもその罠にハマってしまったのだろうか。ちなみにその山は後日近くを通ったらキレイになくなっていた

************
カプセルタワーのお仕事


#中銀カプセルタワー
#中銀カプセルタワービル


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?