私の中銀カプセルタワー滞在記〜NAKAGIN BUSINESS CAPSULE（89）
【入居29日目】
退去前日だけど普通に仕事の日だ。今日は女性ファッション誌編集部での校正作業。自宅との中間地点くらいの場所で、あまり新橋通勤のお得感がない。どうせなら最後を飾るべく浅草とかとんでもなく東のほうならよかったのに。
薄曇りの朝。いつものように9階渡り廊下のポリバケツにゴミを運ぶ。朝だとたいていはどっちが可燃ゴミだかわからないくらいゴミは少ないのに、今日は「いったい何が起きた？」というくらい、可燃ゴミも不燃ゴミもてんこ盛りだ。たまにこういう日がある。部屋をビジネス利用してる人が仕事で出たゴミを捨てているのだろうか？もうすぐレンタル利用者の退去前だから、みんなが持ち帰れない大物を捨てているのかもしれないな。そう考えるとちょっと寂しい。みんな、帰っちゃうんだね。
結局、同時期にレンタル利用してる人たちとは最初の顔合わせ会以外に会う機会がなかった。「飲み会ができなかった」とかじゃなく、「カプセルタワー内で偶然顔を合わせる」というレベルのことすらないという接点のなさ。私はB棟だったけど、A棟にレンタルルームが多かったのかな？まあ、自宅マンションでも普通に過ごしていて知り合いにバッタリ合うことは少ないから、そんなものか。全部夢だったりして。
部屋から出勤するのも最後だと思うと、ドアを開けるこの静けさがもう懐かしい。最初の頃は鍵かけるのを忘れたりしたなー。9階からいつものように階段で下りていくと、崩壊寸前だった扉の一つがちょっと補修されたようだ。そのほかはどこまで下りてもほとんど廃虚風味（失礼！）なのは変わらない。1階ロビーで管理人さんに会釈して外に出ると、違う世界に出たみたいに空気が変わる、この感じは住んでみないと味わえない。
時間に余裕があったので、出勤前にサラリーマンの聖地、ニュー新橋ビルの「ベジタリアン」にフレッシュ野菜ジュースを飲みにいくことにした。
カプセルタワー生活を始めた頃、友人から「びっくりするくらい種類があって面白いからぜひ行って」とオススメされて張り切って出かけたら、日曜定休で肩を落として帰って以来、あまりのワサワサした生活でその存在をすっかり忘れていたのだ。「基本情報を調べてから行く」という基本ができていない人間は「行ったら休み」現象に遭遇しがちだ。昨晩「やり残したこと探し」で集めたデータを見直していたら（いっぱいあった）、このお店のことを思い出した。たぶん今日が最後のチャンスなので、「一番すごそうなものを飲んだるで」てな決意で行ってみた。
健康に気をつかいつつ不摂生な生活をしているサラリーマンに与えられる免罪符の野菜ジュースは、「すいません、それなんですか」的な野菜と果物のブレンド飲料のオンパレードで、沖縄旅行でゴーヤジュース（超苦い）を飲んだとき以来のよくわかんないジュースを頼んでしまった私は、図らずも朝っぱらからハニワ顔でジュースをすすり込むスタートとなった。初心者としてはもうちょっと「美味しい」にフォーカスしたものを選ぶべきだったが、量が予想以上に少なかったのでヨシとしよう。
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ほぼ無限のメニュー展開に注目。サラリーマンが手慣れた感じで買っていきます
向かいのビルに、別の部屋の窓灯りが映るのを見るのが好きでした。
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