私の中銀カプセルタワー滞在記〜NAKAGIN BUSINESS CAPSULE(87)

【入居27日目④】

滞在最後の日曜日は、この「人を呼んでは外食ばっかりしてた月間」の最後を飾る、カプセルタワー訪問数最多の友人Cと外飲みだ。最初の計画では、今日中にだいたいの荷物を自宅に送ってCの部屋でシャワーを借りカプセルタワーにはほぼ身一つで最後の一泊、月曜日の仕事の後はは引き渡しまで自宅にいるつもりだった。

ところが月曜日は仕事がないことが判明。さらにいざ最後となるとにわかにもったいなくなってきて、「最終日までカプセルタワーに泊まる!」と土壇場で計画変更した。シャワーセットと着替えも部屋に残して、洗濯はもう一回穴場のコインランドリーを使えば大丈夫だろう。

「了解!だったらうちに来るのはいつでもできるから、今日はとことん銀座界隈に行っとこう」という優しいCの言葉に思い切り甘えることにした。私の方が年上なのに甘えてばかりだなぁ。ていうか旅行に行くときに計画を立ててもらうわ酔っ払って人生相談をふっかけるわ、よく考えたらなんて手間のかかる私…。少ししっかりせねば。何かで読んだ「大人になると『長女』は腐る」という言葉が、子どもの頃はしっかり者だったはずの私にグサグサ突き刺さる。炭治郎は長男だから頑張れたというのに、どうしてこんなにグダグダの大人になったんだろう(すみません、この1か月、自宅に帰るたびに録画した「鬼滅の刃」をワクワク観ていたもので)。

送る荷物が少なくなったため、夜ごはんの約束まで中途半端に時間があまってしまった。今日は向かいのマンションに人影がないのでカーテン全開で、しばし円窓から景色を眺める。カプセルタワーはいつも海の底にいるみたいに静かだ。土日の午後に見学ツアーの人たちが廊下を歩くときくらいしか物音がしない。水漏れの「ピチャン」という音が聞こえてくる。入居した日、たくさんの買い物をしてヒーヒー言いながら帰ってきたときとよく似た天気。コインランドリーで乾き足りなかったシーツをハンガー2個を使ってアクロバティックに部屋に干してから(お部屋には服を挟むことのできるハンガーがたっぷり置いてあってこれが大変役に立ちました)、散歩をした。1か月前の高揚した気持ちを思い出す。楽しかったなぁ。

夜は東銀座のアナゴ専門店へ。さすがぐるなびより美味しい店の情報を持つ女C、古びた路地の奥にあるのに普段は並んでてなかなか入れないお店をロックオンし、日曜日の夜ということで見事並ばずに入れた。

美味しい…どれを食べても美味しい。ほっぺたがボトボト落ちる。店員さんがシャキッとした粋な風情で、アナゴのことや普段のお店の様子、美味しい食べ方など小気味よく教えてくれた。こぢんまりとした小料理屋の落ち着いた雰囲気のなか、食べたり飲んだり笑ったり、常連さんらしき女性がベロンベロンな感じで店に入ってきて連れの男性に「アタシは熱がひどいのよ、つらいのよ、ゲホンゲホン!」とさんざん騒いで嵐のように出ていったりと、東京の夜はなんだかいつも楽しいのだった。

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だいぶおセンチだったせいか散歩にしてはずいぶん遠くまで来ました。ソニービルの跡地が南の島の夢を見ていた

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