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午前、雨

所感    2


背中の視線が気になった 
50メートルぐらい歩いただろうか
彼女がいた

申し訳なさそうに丸くなってベンチに座ってた 
「あのー隣りのクラスの子だよね」
「うん」
国道の音に書き消されるような声だ
「場所移動しない?」「この先に静かな公園あるから」
「うぅん」彼女は小さくうなづいた
僕はみんなからの視線と喧騒から逃れたかった

2人で歩きだした
何をしゃべったらいいのか言葉が出てこない
数学の数式のように段階を踏めない
予習や準備ができない問題が発生すると 
フリーズしてしまう
つくづく自分を恨んだ。

長く感じた道を歩き終え
2人でベンチに座った
「あのー隣りのクラスの子だよね」
さっきと同じセリフだ

「そうだよ」明らかに音量が上がった 
「なんかキャラ違うよねーー緊張してる?」

「うぅん」こっちの音量が下がった      

常に彼女からしゃべってきた

部活って陸上やってるんでしょ?駅伝とか長距離走るじゃん。意味わかんないんだけど さやかは無理かな」

「みんなの絆が高まるとかさ、いいなあと思う」
そう答えると

「うぅーん そうなんだ この間の駅伝大会に
さやかがスタンドで応援してたのわかった?」

「あー知ってたよアレ嬉しかったよ」
1000人くらいスタンドに来てて分かるはずは
なかったけど そう答えた

「うぅーん そうなんだ さやかその日は
図書館で自習してたから 応援行ってないんだーーーん?ん?」

見透かれた

「・・・あのーそっか見間違いかな・・」
それしか答えられなかった 顔は真っ赤になってるだろうと鏡を見なくてもわかった

彼女を見ると にっこりと笑顔でこちらを見てきた

主導権は完全に彼女だ

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