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【6.水曜映画れびゅ~】"Gone Girl"~真実が見失われていく…~
Gone Girlは、2014年公開の映画。
ハリウッドの"鬼才" デビッド・フィンチャー監督作です。
【2024年5月20日 追記】
この記事は、もともと『ゴーン・ガール』と『白ゆき姫殺人事件』の2作品のレビューとして当初公開していました。しかし公開から数年経って読み返すと、あまりにも読みにくいことに気づきました。なので、より読みやすい構成を考えた結果、『ゴーン・ガール』をメインとした記事として再編集いたしました。なお、内容に関してはほとんど変わっていません。
あらすじ
幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる
ある日本映画を彷彿とさせる…
本作の監督は、デヴィッド・フィンチャー。『ファイト・クラブ』(1999)や『ソーシャル・ネットワーク』(2010)、また2021年アカデミー賞で最多ノミネートを獲得したNetFlixオリジナル映画『Mank/マンク』(2020)などでも監督を務めたヒットメーカーです。また、本作の主演はベン・アフレックとロザムンド・パイク。
物語は、ある日に失踪した妻エイミーを探す夫ニックの話。しかし妻の痕跡を辿っていくと、不思議なほどにニックがエイミーを殺害したように見えてきます。それに喰いついたメディアは、あたかもニックを殺人犯のように報道し、最終的にニックは警察に家宅捜索を受け…
そこから話は急展開していきます。
この映画は、とある日本の映画とかなり既視感があります。その映画は、『白ゆき姫殺人事件』(2014)。
湊かなえ原作の作品。こちらも、メディアによって、とある殺人事件の犯人に仕立て上げられた城野美城の物語が描かれます。しかしその真相は、単に偶然が重なり合っていただけでした。
2作の共通点:「真実が
見失われていく」怖さ
この2つの映画の中心的なテーマは、「真実が見失われていく」怖さにあると思っています。
『ゴーン・ガール』では、失踪した妻エイミーについて夫のニックが一貫して無実を主張します。しかし、警察を含め世論はその主張を全く受け付けつけず、メディアもニックを犯人と断定するようになっていきます。
『白ゆき姫殺人事件』でも、城野が何の確証もないまま欠席裁判のような形でメディアに「殺人事件の犯人だ」と仕立て上げられていきます。
このようにアメリカ/日本という違いを超えて。この2作は「真実が見失われている」状態を描いているのです。さらに言えば、「世間の同情を集まるのが完璧な女性である」というルッキズム的な側面も、この2作では共通して強調している点です。
このように「真実が見失われる」怖さと「真実を見失わせる」メディアに対する怖さを、両作品を通じて感じました。
また、偶然にも『ゴーン・ガール』と『白ゆき姫殺人事件』はどちらも2014年に公開されているんですよね。作品の内容から構成まで、めっちゃ似てるんですが…。この共通点、何か意味ありげに思えてきますね(笑)。
他の映画でも…
このように「真実が見失われている」ことを表現する映画は、もっと最近の作品では『リチャード・ジュエル』(2019)なんかが当てはまりますね。しかも、これは実話です。
これらの映画は、誤った情報を発信するメディアの責任を追及するとともに、情報を鵜呑みにする世論のメディア・リテラシーにも問題提起をしています。SNSが日常となった現代社会。情報を発信する側だけでなく受け取る側にも必要とされる”大切な意識”を伝える映画たちです。
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の記事では、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む10冠を達成した名作『八日目の蟬』(2011)について語っています。