【#002】 ヒロシマで生まれて
私は、広島で生まれ育った。
大人になった私は、1980年代から90年代にかけて、あてもなくアメリカ大陸に旅に出かけた。
アメリカ西部フォーコーナーズを旅していた時、旅の途上でふとっ、立ち寄ってみたくなった土地があった。
モノクロ写真の大地は、ヒロシマ型原爆の原料となったウランが採掘された跡地。80年経った今も人は誰も住んでいない。
私は車を止め、手をあわせ 深く深くお祈りをした。
憎しみも悲しみもなかった。。。
不思議と故郷に戻ってきたような落ち着いた感覚になった。
傷つけられた怒りや憎しみや悲しみが、ウランという原料に同情してしまったのである。地下深く眠っていたウランが人の手によって悪魔となってしまったことに同情してしまったのである。
先日10月25日、史上初めて核兵器を違法と定めた核兵器禁止条約(2017年採択)を批准した国・地域が50に達し、2021年1月に発効することになった。しかし核兵器保有国や日本をはじめとした核の傘の下にある国は賛同していない。
史上初めて核兵器を使われた日本は、本来真っ先に批准するべき国。アメリカの核の傘の下で批准できない日本の姿をほんとうに恥ずかしく思う。
ヒロシマで生まれてロック音楽に育てられ、たくさんの国や文化に触れてきた。
ネイティブ・アメリカンにも深く影響を受けてきた。
「正しい人と会っている時には、そこに特有のしるしがあり、暗黙の了解があって、互いに口をきく必要すら感じないことがある」
参照「ローリングサンダー」ダグ・ボイド著 平河出版社刊
すべては繋がっているのだと思う。
そんな積み重ねが、のちにアフリカや東南アジア各国へと私を導いたのかな… とも感じている。
世界の混乱はまだまだ続く。
世界は大きな曲がり角に来ている。
・・・ ヒロシマで生まれて。