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マルチワークデー

都内に大雪予報が出た今朝、住まいが職場からさほど遠くない私は、鉄道運行の影響も少ないとみて、いつもどおり出社することにした。

昨日からほとんどの役職員が在宅勤務に切り替える話をしていたため、きっと今日は誰もいないはず、広いデスクで書類を広げ、集中して仕事ができるはず!と期待していた。(当社では執行役員未満はフリーアドレスになっている)

事務フロアに入ると、出社具合は思ったとおり数えられるほどの社員数。やった!とばかりに目星を付けたデスクを占領し、始業チャイム前から今日やるべきことに着手した。

——ところが。

始業後、電話鳴る鳴る頻繁に。いつもなら誰かが必ず取ってくれる外線も、振り向けば誰もいない。中年男性は基本的に取る素振りも見せない(怒)。私が取るしかない…。

そうしているうちに、来客受付からの内線も鳴る。受付の契約社員には休みを取らせたらしい。社員に優しい会社だが、休業日ではないことが組織として完全に抜けている。

受付からの内線は、レンタルプランツサービスは観葉植物の定期メンテナンスに。郵便局員は書留を届けに。生保レディは営業許可を得るために。アポイントの来客はないものの、午前中からいろいろと来るものだ。

総務部の後輩くんもできるだけ私とともに電話を取ってくれており、先輩(私)に取らせて申し訳ないと思ったのか、「すみません、ありがとうございます」とていねいにお礼を言ってきた。

そうして電話を取るたびに仕事を中断することとなり、ちっとも集中できる状況ではなかった。

さらには、朝イチから役員会議室に閉じこもっていた某執行役員が会議休憩中に部屋から出てきて、「Juniper Berryさんさぁ、今日の昼ごはん、買ってきてくれないかなぁ。あそこのタイ料理屋のグリーンカレーが食べたいんだけど」と、まさかのパシリ。

いつもなら秘書席にテイクアウトメニューを頼んでいるが、その秘書席も本日は在宅勤務。おもむろに小銭入れを渡された私は、悔しいから「いいですよ」と思い切りにこやかに受け入れた。加えて、どうせならサービスの良さをアピールしようという強かさが湧き、彼のデスクが汚れないよう紙ナプキンを広げ、その上に買ってきたグリーンカレーを置いておいた。

昼休み、会議室から出てきた彼は、デスクの上のグリーンカレーを手に取り何度もお礼を言ってきた。食べ終わった後には「ナプキンがあって助かったよ〜!」と狙いどおりのリアクション。心の中でガッツポーズした。

昼下がりの時間帯になり、FedExさんとOCSさんからそれぞれ電話があった。今日は交通網に影響が出ることを想定して集荷時間を早めるという。すかさず集荷室の担当と国際貨物を扱う部門に伝え、彼らが営業部門にもアナウンスしてくれた。

今日は少ない人数だからこそ、誰かに代わってやらなければならないことが多かった。おかげで、普段は関わらないことにも “へぇ、こういう仕組みでやっているのか” とか “こういうときにはこうすればよいのか” などといった対応力が身に付いた。新入社員でもあるまいし、あまり自分の業務以外の雑務を習得したくはないのだけれど、たいていは経験値で捌くことができてしまう。

まぁそれも仕方がない。こういうときは何でもこなしつつ、自己満足として消化していこうじゃないか。