煮ても揚げても美味。中秋の名月と深い関わりのある「衣被(きぬかづき)」って?
9月17日は「中秋の名月」を愛でる十五夜。今夜の空模様は、雲り空が広がる地域があるものの、九州などではお月見のチャンスがありそうです。今回は、中秋の名月や十五夜に縁のある、あの食べ物についてまとめてみました。
室町女性の身だしなみ「衣被」になぞらえた野菜
和装の歴史をみてみると、室町時代頃には小袖を頭の上から被る「衣被(きぬかづき、かづき)」が登場します。衣被は、公家や武家の夫人が外出をする際に小袖で顔を隠すために用いたスタイル。
これになぞらえて「衣被」と呼ばれるようになったのは里芋。茹でた里芋の皮をむくと白肌があらわれることから、里芋や茹でた里芋料理の一部がそう呼ばれるようになったそうです。
お米よりも先に渡来。縁起物でもある里芋
里芋は日本で稲作が始まるよりも前に渡来し、江戸時代までは「いも」といえば里芋のことを指していました。種いもから小いもと増えていくことから、子孫繁栄の象徴にもなっています。
日本人の生活に深く根付いてきた里芋は、豊作を祈る風習として十五夜が庶民の間に広まってからは団子と並んでお供えされるようになりました。里芋が美味しく収穫される時期も相まって、十五夜は「芋名月」とも呼ばれています。
そんな里芋、令和元年における作付面積上位3県は千葉県、宮崎県、埼玉県。出荷量上位3件は埼玉県、千葉県、宮崎県となっていました。
あなたが食べているのは「子いも」「親いも」?
スーパーなどにおいてある里芋は丸い状態で売られているため、なかなか見かけることがありませんが、里芋の食用部分は、茎が変形したもの。種いもに親いもができ、そこから子いも、孫いも、ひ孫いもが派生するというなんとも面白い見た目をしています。
いもが「子」なのか「親」なのかでその味わいや品種も異なるそうです。代表的なものはこちら。
子いも系…ぬめりが強くねっとりとした食感。「石川早生」や「宮崎さといも」などがこれにあたります。
親いも系…粉質でほっくりした食感。「たけのこいも(京芋)」が。
更には「親子兼用系」というものもあり、こちらは親いも、子いも、孫いも共に増えるもので、「八つ頭」「セレベス」「唐芋(えびいも)」などがあるそうです。
日本国内全ての里芋農家さんの豊作を願って。今夜は中秋の名月を愛でたいと思います。
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