農業課題を解決するための手段としてのソーシャルビジネス
AIを活用した自動収穫ロボットの導入で、農業課題を解決するAGRIST株式会社。
設立から2年を迎えたAGRISTでは、事業成長を加速すべくさまざまな職種でメンバーを募集しています。
代表取締役兼最高経営責任者の齋藤潤一氏に、求人情報やプレスリリースでは語り切れない、よりコアな内容をお話していただきました。
その内容を『深堀りAGRIST』というタイトルで連載していきます。
記念すべき1回目では、会社設立のきっかけやビジョン・ミッション・バリューについてインタビューしました。
AGRISTは社会的課題を解決するための手段の一つ
会社設立の決め手は何ですか?
「社会的課題を解決したい」という気持ちが一番大きいです。
数ある社会的課題の中でも、農業は世界規模の問題。人生の、命の時間をかけて取り組む価値があると思っています。
ずっと一緒に勉強会や街づくりを行ってきた福山さん(AGRISTアドバイザー)や猪俣さん(協力農家様)が困っていることを解決したい、困っている彼らのために自分ができることは何だろうと考えました。そのための手段が『会社の設立』だった、という背景です。
『社会的課題を解決する』というゴールに対しての手段として会社を設立したんですね。
そうです。会社を作るのもプロセスの一環。まずは農業課題を解決して、学校を作って、その学校を卒業した人がAGRISTに入って、また新しい技術を生み出す。そのようにして、ビジョンである『100年先も続く持続可能な農業を実現』するプロセスを実現していきたいです。
齋藤さんが『社会的課題を解決したい』と思ったきっかけを教えて下さい。
いろいろな要素がありますが、超資本主義を経験したことと、東日本大震災が大きなきっかけですね。シリコンバレーで経験した超資本主義がゆえに起こる問題に直面して。その時に、「こんなの人間のウェルビーイングから離れている」と思いました。
そんなことを思っていた時に、東日本大震災が日本で起こって。まだ覚えていますね、ヘドロの匂いや崩れた家屋、道も何もかもめちゃくちゃで。「これって日本なのか?」と愕然としました。
でも、世界中でそのようなできごとは大なり小なり発生していて。日本みたいな恵まれた環境でも社会的課題は溢れている、その社会的課題を解決したい。解決したい社会的課題が農業の担い手不足だった、という経緯です。
未来を表すプロダクトを作る会社へ
齋藤さんから見て、現在のAGRISTはどのような集団に見えますか?
ワチャワチャしている集団かな。皆でアイデアを出し合って試行錯誤しながら、協力して前に進めている状態。ベンチャーとして突き抜けてモノを作っていくには、和気あいあいとしているだけでなく、グイっと推進することも重要。
そのような推進力が増すと、ワチャワチャした集団から脱却できるんじゃないかなと思っています。
創業当時と比べると、いかがでしょうか?
創業当時は4人しかいなかったから、比べようがないですね(笑)
仲間が増え、いろんな凹凸が出てきていることが良いなと思っています。また、いきなりドン!っと拡大したのではなく、徐々に人が増えていったのが良かったです。
これから、一人一人がどのように変化していくか楽しみです。
将来的にどのような集団になっているのが理想ですか?
技術の会社として成長していきたいですね。「あそこに行くと最高の技術が揃っていて、そこから生まれてくるプロダクトは未来を表している」と言っていただけるようになっていたいです。
「最高の製品を作る」「テクノロジーで農業課題を解決する」ということを重要視しているので、技術に対する投資は惜しみたくないです。エンジニアだけでなく、経営陣もそこが重要なんだというところを示していければ良いと思っています。
ゴールが似ている会社で働くという幸せ
どのような働き方が『幸せ』だと思いますか?
友人の嘉村賢州さんから、現代社会の幸せは物質的価値ではなくなってきたというお話を聞いて。
『パーソナライズ:個人の幸せ』『リアライズ:自己実現としての幸せ』『ソーシャライズ:社会との接点としての幸せ』が幸せの要素になっていると。
自分はまさに、社会的課題を解決するということが自己実現や社会との接点となっているので、幸せな働き方ができていると思っています。
確かに「この組織で自分が何を成しえたいのか」という部分と、会社の向かっている先が似ていることって重要ですよね。
そうですね。それで言うと自分のゴールと会社のゴールが似通っているか、共通しているコアの部分があるかってすごく重要。
ビジョン・ミッション・バリューに共感している人を採用したいのは、そのような背景があります。AGRISTのビジョン・ミッション・バリューに共感している人と働きたいし、社員一人一人のパーソナライズな幸せを実現する場でもありたいです。
AGRISTのビジョンは『100年先も続く持続可能な農業を実現する』ですが、『持続可能な農業』とはどのような農業ですか?
儲かる農業研究会で何度も出てきたワードがそのままビジョンになっています。
研究会に参加している農家さんのほとんどが2代目3代目、つまり大体30年の単位で引き継いでいる事業継承の農家さんなんです。
ビジョンにおける持続可能な農業とは、現代の農家さんが『3世代先にも引き継がせたい』って思えるのかどうか。「農業を子どもに継がせたくない」と思ってしまうとそこで止まってしまうし、それって持続可能じゃないですよね。「継がせたい」と思える産業であること、そのような思いを込めて『持続可能な農業を実現する』というビジョンを掲げています。
すごくしっくりきました!次に『テクノロジーで農業課題を解決する』というミッションについて、なぜ“テクノロジーで”なのかを教えて下さい。
農家さんの一歩先ではなく半歩先を意識している。実際にロボットを作って「使ってください」というのは一歩先とか十歩先。そうではなくて、自分たちで農場を作って実際にロボットを動かして収穫して見せて、「本当に稼げるんだ」というのを見せるのが半歩先。
半歩先に進むためには、農家さんと全く同じ視点や技術だけではなく、テクノロジーを手段として使う必要があります。そして、テクノロジーを手段として農業課題を解決することがAGRISTのミッションだと思っています。
精神論ではなく、精神を大事にするということ
最後に、コアバリューの『YES, We Can』について教えて下さい。これだけ見ると精神論かなと感じるのですが実際いかがでしょうか?
『YES, We Can』を因数分解すると面白いかもしれないです。
YES:良い方向から考える。
We:「自分たちのチームだったらできる」「チームでやっていこう」「チームを信じよう」「リスペクトし合おう」「凹凸を把握しよう」とうところで、『I』ではなく『We』。
Can:shouldやhave to、mustではなくcanであることが重要。可能性を表す言葉。
強制的に「やりきるべき」ということではなく「自分たちにはきっとやり遂げる可能性がある」という意味でのcanの解像度を上げていけると精神論じゃないことがわかると思います。
精神論ではなく、そのような精神を大事にしていくということですね。
コアバリューを因数分解!面白いですね。今のお話を聞くと、精神論ではないことがわかりました。
仕事の8割程度はコミュニケーションで決まり、関係性の質は行動の質に影響します。関係性が良ければコミュニケーションの量が増えてより良いものができると思っています。
共通のゴールで『自分たちはできる』という考え方を持って、それをいかにわかりやすくイメージできるように伝えていくことが重要です。
精神論だと精神それだけが大事になってしまいます。そうではなくて、『自分たちはできる』という精神を大事にしていきたいですね。
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