【環境】リサイクルに関する国際ルール
こんにちは。新小樽少年です。
去年「新聞記者」という映画を観たのですが、
内閣官房には情報操作機関があるみたいですよ。
原作は東京新聞の記者、望月衣塑子さん。
これは事実なんですかね?よくわからないですけど(笑)
さて今回で「リサイクルと世界経済」の連載も第5回になりました。
前回は中古品貿易がもたらす弊害、環境問題にフォーカスいたしました。
今回の記事ではこれらの問題を防ぐルールやガイドラインを紹介します。
1.前回のまとめ
国際リサイクルに伴う問題は以下の通りです。
・中古品の輸入は産業の発展を阻害する可能性がある
・中古品の輸入は安全面や衛生面を侵す可能性がある
これらへの対応策としては、
・関税を重くする
・輸入までの条件を設ける
などがある。
2.貿易規制に関するルールGATT
「GATT」とは貿易や関税に関するルールを取りまとめたことのことを指す。そしてGATTは中古品や再生資源にも同様に適用される。
ここで少し用語説明をする。国内で中古品や再生資源の流通が禁止されていない状態で、他国から、これらの輸入を禁止することはGATT違反になる。これを「内国民待遇」と呼ぶ。
また産業廃棄物や中古品の輸入を禁止することもGATT違反になる。これを「数量制限の一般的廃止」と呼ぶ。
しかし貿易措置には「一般的例外」も存在する。第一にそれは人類の健康状態に影響を及ぼすケースである。もう一つが環境被害の拡大が懸念されるようなものである。前回の記事で書いたバングラデシュのようなケースである。
GATT・WTOには加盟国の提訴を受けて、各国の貿易措置が正当性を有するものかを判断する機関が存在する。過去にはブラジルの更生タイヤの輸入禁止を、EUが訴えた事例が存在する。
ブラジルはなぜこのような措置を取ったのか。
その原因は更生タイヤを輸入すると結果的に廃タイヤが増加するからだ。
廃タイヤは蚊の温床となり、その結果、マラリアやデング熱などの蚊を媒介する伝染病が拡大したからだ。
これは「一般的例外」に該当する。現在ブラジルでは更生タイヤと中古タイヤの輸入は禁止されている。また輸入禁止によって、ブラジル国内の産業を強化した。
3.有害廃棄物の越境移動に関する規制
有害廃棄物の越境移動を規制する代表的な条約として、「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約」がある。
バーゼル条約では規制される有害廃棄物が定められており、その上で輸入国にはその輸入の同意が求められる。中でも発展途上国ではその輸入を全面的に禁止することができる。
またバーゼル条約では、輸入国までに通過する国々へ通過申請をしなくてはならない。これは有害廃棄物等の不法投棄を防ぐためである。
4.船舶リサイクルに関する香港条約
近年、バーゼル条約に関する議論で船舶に関する議論が上がっている。前回の記事で取り上げたバングラデシュのように、船舶の解体には環境汚染や労働環境などの問題が残されている。
これに加えて、内陸国が船を所有している場合、海に面していないため、その処理が難しくなる。そこで船舶の解体処理に関して、新たな条約を設ける動きがある。
それが「二〇〇九年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約」である。通称「シップリサイクル条約」が2009年に採択された。
シップリサイクル条約では船の製造からその処理・リサイクルまでにかけて、その関係者に様々な責任を負わせる形になっている。
例えば船の解体処理業者にはその解体プランの設計をする必要が求められたり、輸出からそのリサイクルまでを旗国が監査する義務がある。
しかし未だに発行は進められておらず、15か国以上の加盟が必要なため、日本もその国内法制化への取り組みが本格化すると考えられる。
5.まとめ
国際貿易は自由貿易を基準としており、「最恵国待遇」や「数量制限の禁止」といった原則を含有している。一方で環境問題を引き起こす材の輸出入を禁止したり、一定の手続きを通過したモノのみ貿易を出来る、バーゼル条約が存在する。
バーゼル条約発効に伴って、先進国含め発展途上国にも有害廃棄物を処理するための施設や法整備が整ってきた。
マレーシアでは有害廃棄物の輸入を禁止しているが、生産からその回収、そしてリサイクルまで行うという「拡大生産者責任」という考え方の下で、経済活動を行っている。
今後は先進国から発展途上国への輸出という構図ではなく、先進国の廃棄物を国内で処理する、有害廃棄物の越境移動の是非を問うといったことが求められる。
新小樽少年
6.参考文献
この記事は小島道一(2018)「リサイクルと世界経済」中公新書、p91-132を基に書いています。