最適PERを考える

前回に続き、“市場で評価される=バリュエーションが拡大する“には業績の安定感が大切だということを数字的に説明してみる。

PERは色々な会社を加えることが可能であるが、DCFの変形版としてCFの代わりに利益で代替して数字をいじくってみる。

マーケットリスクを8%とする。

変数を分子については今後10年間の利益成長率(CAGR)、分母については割引率を構成するβとする。この2変数を基にしたマトリックスは以下のようになる。

ここでの過程では負債は考慮してない!

例えば、β=1.0のTopix代替の最適PERを考えると、今後10年に平均成長率が0%だと12.5倍となる。これが10%に成長すると26.1倍まで跳ね上がる。
成長率が高まるほど、最適PERは高くなるのでイメージの通り。

昨今のPER12倍前後というのは、今後10年間の利益成長がフラットを織り込んでいるといえる。

逆に、例えばβが1.4で、今後10年の利益成長率が10%の銘柄については最適PERは17.8倍となる。ただ、この銘柄が業績安定化することによってβが1.0まで下がると、実は利益成長が不変でも最適PERは17.8倍から、26.1倍まで50%弱のバリュエーション拡大を恩恵を受けることになる。

例えば、A社の長期利益目標を20%と資本市場に発表しているとする。株式βを1.4だとする。この会社のPERが現在25倍で取引されていると考える場合は、どう捉えるか?
20%の利益成長がフルに織り込まれているβ1.4のPERは負債なしベースで35.6倍である。25倍というのは利益成長15%程度の織り込みでしかなく、会社が発表している20%の利益成長がまだまだ市場に織り込まれてないと言える。

あーだ、こーだ理屈をつけることは誰でもできるのであるが、シンプルに数字を動かして、大局的に物事を考えることは本当に大切。

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