SAAS関連銘柄
株式市場ではSaaS関連銘柄の勢いが止まらない。SaaSとは、既に世の中に広く浸透ているがSoftware-as-a-Serviceを表現している。簡単に言ってしまうと、定額課金モデルである。これまでの売り切り型のビジネスモデルとは異なり、このモデルは当初のコストを回収するのに、一定期間を要してしまう。その為、これらの銘柄を見る上で、LTV(Life time value)という概念が大事になる。顧客が契約して最初の売上を計上してから、解約するまでの期間の累積売上というイメージを持つと分かりやすい。これは、ピンで考えるべきものではなく、CAC(customer acquisition cost)と対比して考えるべきものだ。CACとは新規顧客獲得する為に投資したコストで主に広告費や営業などの人的コストを考えるのが一般的だ。詳細は議論は今後にとっておくが、このようなSaaS関連銘柄が直近マザース指数を牽引しているので、今回は俯瞰的を見る為に、簡単にValuationの整理をしたい。
3月16日を境に、どの銘柄も反発しているのが一目で分かる。特に、今回のコロナ問題を超えて、Freeeと弁護士.comの好調さが一際目立つ。ここで、Valuationを考えてみる。株式において一義的に使われるものがPER(株価収益率)で利益予想に対してどの程度の倍数で取引されているかを示すものがあるが、これらのSaaS銘柄は業歴が浅いことや、今はコストを先行させてでも売上を取りに行きたい(そして、投資家もそれを許容している)銘柄が多く、利益水準は非常に低いか若しくは赤字の企業が多い。ここでは、市場コンセンサスではなく東洋経済の5月3日時点での予想値を利用する。そうすると、Freee、マネーフォワードは赤字、その他の銘柄もEPS(1株当たりの利益)の水準が著しく低く、算出されるPERは100倍近くになり、市場全体の15倍と比較して割高さしか残らない。
これらのSaaS銘柄が積極的にコストを積み重ねた結果、利益水準が著しく低く、それを投資家が許容しているならば、代わりにどの指標を使えば良いのだろうか?個人的には、興味深いのはDCF(割引きキャッシュフローモデル)で将来のキャッシュフローを割引いて現在価値を求めて、それを株価と比較するものであるが、比較的難解な上に紙面の都合もあり、それも次回にとっておく。今回は、売上を株価と比較したPSRという指標を使う(株価を1株当たりの売上で除したもの)。投資家が短期的な利益を犠牲にしてでも、売上の伸びを期待しているのであれば、このPSRと売上成長率を使って銘柄を俯瞰するのが妥当だと思う。
足元で弁護士.comやFreeeが堅調なことを考えると、SaaS関連銘柄は安いことが魅力的な訳ではなく、比較的成長率が高く市場でそれなりに評価されている銘柄を素直に買う方が上昇相場では良く見えてしまう。
もちろん、成長率とバリュエーションの回帰線の下にいるマネーフォワードやカオナビなども魅力的と言う議論も成立するのであろう。
(これは個人的な感想でどの銘柄を買うか売るかと言う判断を言っている訳ではありません。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?