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ジョブ型組織への転換は組織や人の考え方を天動説から地動説に転換するほどの根本的変化が必要

ジョブ型の話はClubhouseでも盛り上がっていますね。

ジョブ型組織運用なのかジョブ型採用なのか、ジョブ型人事制度なのか、そもそも論点すらそろってないケースもよく見ます。ジョブ型そのものについては、人材コンサルタント山本紳也の記事が非常に参考になりますのでそちらをご覧ください。私もよく山本さんのClubhouseのRoomにお邪魔させていただいています

さて、ジョブ型組織を模索している企業が増えているという話をよく耳にしますが、外資FMCGでゴリゴリのジョブ型を生身で経験している私の個人的な見解として、組織崩壊する副作用を覚悟できなければやめておいたほうがよい、と言いたいです

ジョブ型は無機質に「箱」で考える

ジョブ型組織を考えているのであれば、組織を考えるときに、人の名前や顔を思い浮かべている時点でダメです

ジョブ型は冷徹に「何をする仕事か」という箱ありきで考えます。その箱の要件を満たせれば、誰だって良いのです。逆に、●●さんじゃないとできない、というような属人性が入ってはならないのです

個々人の能力や年次や経験で給与を考えるのではなく、あくまでその「箱」がもたらす価値が給与の大前提としてあります。

報酬は人ではなく「箱の仕事の価値」で算定される

例えばタクシーの例が分かりやすいです。「A地点からB地点まで人を運ぶ」という「ジョブ=箱」があり、運転手は誰でも良いのです。元F1チャンピオンの運転手が、フェラーリやベントレーで送迎してくれたとしても、支払う運賃は新人運転手が運転するクラウンコンフォートのタクシーでの運賃と同じです。

あなたの組織でそれと同じことを徹底してできると思いますか?

ほとんどの企業ではNOでしょう。なぜなら、考え方が天動説と地動説ぐらい異なるからです。そして天動説と地動説は並存が非常に難しい(レイヤーで分ける方法もありますが)。できたとしてもジョブ型のような見せかけの中、実際にはメンバーシップ的な考え方で運用するくらいが関の山でしょう

ジョブ型組織において必要な考え方と前提

ジョブ型組織考えるなら、「どんな人がいる組織でどのように配置するか」という発想から、「どんな仕事をする人が今、何人必要なのか」。「何をやっているのかよくわからない潤滑油的人は辞めてもらう」という、考え方のコペルニクス転換が求められます

そもそも特に米国など、人を簡単に解雇することもできますし、それ以上に人材流動性が高いため、採用するための人材プールが非常に大きいです。また、業務は極力標準化されており、企業ごとの特殊性は非効率の元凶として避けられています。ですので、「この人でないとできない」というジョブ型組織の天敵である「属人性」が非常に少ない環境の上に成り立っていることも注意する必要があります

ジョブ型に切り替えたときに想定される副作用

箱を作ったところで、そこに誰も人が入ってこなければビジネスは回りません。Job Descriptionを基に採用や社内公募を掛けること自体は、無いよりはよい事ですが、それはジョブ型・メンバーシップ型とは無関係です

謎の年次や影の貢献、潤滑油的な動きに対して増加する人件費を抑えたいというのであれば、給与が個人ではなく「箱」に紐づいているジョブ型のメリットはあるかもしれません。問題は、その「箱」がどれだけ魅力的に見えるかどうかです。競争力の低い企業は誰も来ないでしょう。人材流動性の低い日本においてはそのリスクは米国の比にならないでしょう。

その「箱」の魅力を高めようと給与・報酬を高く見せることも一つです。社外からの採用には効果が出るでしょうが、社内における給与格差はよりシビアになっていきます。良い悪いではなく、箱の価値は市場価値ベースで変動していきますので、そういうものです。

「自分より10歳も若いやつが自分の2倍の給料をもらっている・・・」なんてこともザラに出てくるでしょう。それでもその組織が健全に成長できるようなマインドを持った人達であれば問題はないでしょうし、そうでなければ妬み嫉妬ひがみ不信が渦巻いてしまう非常に不健全な組織になるでしょう

あなたの組織はどちらでしょうか?ジョブ型に挑戦する組織的なReadynessはありますか?

ジョブ型組織を考えようとしているなら、よく考えてみてください

ご参考になれば幸いです

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