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これから何かを新しくはじめようとする皆様へ。『UNLEARN(学びほぐし)』というコンセプトをご存知ですか?

今回のnoteの目的

1)noteで始まった2019年をまったり振り返ってみる、2)Unlearnのコンセプトのご紹介、3)自分なりのUnlearnから得た教訓を書いてみる。

皆様、遅くなりましたが新年あけましておめでとうございます。中村です。1年弱ぶりの更新になります。noteは書いておりませんでしたが、日経クロストレンドさんでの連載やら書籍を書くお手伝いやらしておりました。でも、文字数の制限もないし、リンクも自由に貼れるnoteがいいですね。またよろしくお願いいたします。

参考までにこちら日経クロストレンドさんでの連載になります。インサイトについて色々まとめてみたのでよかったらご覧ください。(最終の6回目も既に編集部にお渡し済みなのでそのうち上がると思います)日経クロストレンドの編集部の皆様には頭が上がらないです。この場を借りて感謝いたします。本当にありがとうございました。

書籍はこちらになります。日本の広告業界にはJIAAというインターネット業界団体があるのですが、そちらの理事を務めさせていただいている関係でその流れで少しだけお手伝いさせていただきました。JIAAは世界の広告業界団体とも密接に連携していますしほぼ全てのパブリッシャーさんと広告代理店さんが加盟されているオフィシャルな団体です。そのメンバーが20周年記念にインターネット広告の歴史から現在抱えるネットの闇まで本質を書き記そうと努力した本になります。個人的にも勉強になりましたし、結構玄人受けも良いので良ければご一読ください。(ちなみに私には印税1銭も入りません笑)

あー、こんな前置き長かったら編集部に怒られるなぁ。。。自由に書けるって素晴らしい笑笑。こういうトーンで書くのが好きですね、私。note万歳。

2019年の振り返り

上記のような活動含め、noteをきっかけにして激動の一年でした。また、社内外の活動で多くの機会と出会いに恵まれた一年だったと思います。数々の”初めて”を体験させていただきました。20代の若手の方から業界の大先輩まで幅広く、数も多く交流させていただきました。

とてもよかったと思うのは、仕事関係者以外の人、特に15年も在籍させてもらったP&Gとは関係のない方々との交流が非常に多かったことです。1年前にComfort Zoneを出ると決め、色々な価値観や過去の学び、P&Gとは違うマーケティング・広告の考え方に触れられた1年だったと思います。言い換えればP&Gで学んだことを本格的にUNLEARNし始めたきっかけの年だったのではないかと思います。

今回のnoteの本題:Unlearnとは?

まずはアンラーン(unlearn)とはどう言うことでしょうか?ネットで検索するとまずはこのような定義で出てきました。

アンラーンとは 何かを学ぶことが「Learn」ですが、それに「Un」が付いていますので、「学ぶ」の反対の意味になるのですが、「何かを学ばない」ということではありません。 「学んだこと、身に付いていること」を「いったんリセットする」というような意味になります

確かにそうなんだけど、なんかちょっと違う。。ということで色々と検索をしていて以下のような定義を見つけました。こちら(↓)の方が肌感覚的に近いです。

人はいろいろな状況において、すでに持っている知識や過去の経験から判断し、自分の行動を決めます。その脳の反応は、無意識に行うことと意識的に行うことの両方あります。そうした自分の「いつものパターン」をいったんリセットするのがアンラーンです。

判断は95%無意識という話は以前のnoteにも書きましたが、脳には過去に学んだ・経験したことをベースにしてしまうクセがありますUnlearnとはその無意識で判断してしまう脳のパターンを一旦リセットし、新たなコンテキストに合わせて構築し直す作業のことです。(イメージで言うとこんな感じ↓↓)。

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自分が経験した感じでは、Unlearnをすることで、まず自分の学びが解像度高く、まるで因数分解されるように、見えるようになります。そうするとその中で状況が変わっても使える知識と自分がいた当時いた状況のみで使えた知識の違いが見えてきます。結果本質的で変わらないことが見えるようになってきます。

これは特に変化のスピードが早い今重要なスキルではないかと思っています。過去の成功や体験をベースに脳がクセを持ったまま決断をし続けてしまうと今の時代には合わない可能性があります。逆に過去の成功や体験からの学び、その学びをなんとなくではなく解像度高く因数分解し、現在に合わせて学びを組み合わせていくことができれば、すなわちUnlearnできれば、いくら世の中が変化しても普遍性がある知恵になるはずです。これができないと老害とか呼ばれてしまうでしょうね、あー怖いw

UNLEARNは日本語で言うと「学ばない」でも「学びを忘れる」でもなく、「学びほぐし」

Unlearnと言う言葉は英語では普通に使われていたりしますが(スターウォーズでも使われていたそうです)、その日本語訳は何なのかと探していた時に出会ったのが以下の文章です。学びほぐしっていい表現ですね。一度紐解いてまた組み直す。昔の知識を捨てるのではなく今の時代に合わせるために組み直す。こういうことを2019年もそして2020年の今も私はしてるんだと思います。

「まなびほぐし(アンラーン unlearn)」というのは、「まなび(learn)」のやり直しである。しかし、「やり直し」と言っても、これまで学んできた知識や技能を「帳消しにする」などということができるわけはない。「一たす一は二である」という知識を、あえて「なかったことにする」わけにはいかない。ここはやはり、これまでの「まなび」。通して身に付けてしまっている「型」としての「まなびの身体技法(まなび方)」について、それをあらためて問い直し、「解体」して、組み替えるということを意味しているのであろう。(『まなびを学ぶ』)

なぜUnlearn(学びほぐし)が重要なのかについてはこの辺読んでも面白いと思います。ご興味あれば是非。

どうやってUNLEARNするか?

Harvard Business Reviewに載っていた論文に書かれていたのでこちらで引用させていただきました。

自分が過去学んだやり方は時代に合っていない、もしくは効果的でないと認識すること。筆者もおっしゃってますが基本無意識で行われている&認知的不協和が起こりますので簡単ではないです。

自分なりの新しいやり方を見つける・作ること。最初は昔のやり方の観点から見てしまいますが、なるべく違った観点で見る。個人的には今のやり方しか知らない人たちと話すのが早いと思っています。だから私はなるべく若い人たちとも交流しています。

新しいやり方での習慣を作ること。例えばダイエットをする時に新たな行動をし始める(炭水化物を取らないとか自転車通勤するとか)。それを習慣化して脳が自動的にONになるまでやり続けるみたいな話です。

私は最近脳科学にハマっているのでそちらだと茂木先生がこんなことをおっしゃっています。

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この辺を読んで自分が何をしていたかを振り返るとこんな感じだったのかなと思います。

⑴自分とは価値観が違う・育った環境が違う、でもマーケティングに関わる人たちに会って話を聞く。P&G以外のマーケターの人たち、特に自分とは世代の違う人たち(上も下も)に会いまくる。例えば#20代マーケピザに顔を出してみたり、#ロマンティックコウコクナイトというイベントに出てみたり。
⑵とにかくいろんなマーケティング系の記事を読み、なるべくTwitterにコメントつけて投げてみる。Twitterはすぐに反応があるのでどういう記事が共感を得るのかがわかればどの辺が主流の考え方なのかわかる。
本を読む。特に論文と原典を読む。あえて自分がP&G時代に学んだ考え方の原点にあたると理解が更に深まるし、コンテキストの違いが分かったりしました。

UNLEARNは守破離で言う「破」→「離」、すなわち自分の型・スタイルを作る時にこそ必要なのではないか?

守破離という考え方をご存知でしょうか?
元々武士の時代にできた日本の考え方ですが私この考え方非常に好きです。
アートの世界でもまずは模倣からと言いますし、でも最終的に自分のスタイル作っていきますよね。同じだと思います。

「守破離(しゅはり)」とは、武道、茶道、芸術、スポーツなどにおける修業の理想的なプロセスを3段階で示したもの。

「守」は、師や流派の教え、型などを忠実に守り、確実に身につける段階。ここから修業がはじます。

次にそれを「破」る時期、否定しなければならないときがやってきます。良いものを取り入れ、自分に合った型をつくることにより既存の型を「破る」段階です。

そして最後は師や流派から「離」れて自分なりの独自の表現をする時期がやってきます。新しいものを生み出し確立させていく段階です。


Unlearn(学びほぐし)ってこの守破離のプロセスの中に入っているんだろうなーと思っています。イメージで言うとこんな感じ。でも、大事なのは学びほぐすために「守」の状態が先にあるってことだと思っています。基本の型をマスターするのってそんなに簡単じゃないですよね。脳が自動的に決断できるまでその型をやり続けるってことですからね。

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何を言いたかったかと言うと、Unlearnして「破」・「離」のステージにいく前にそのために「守」即ちまず今ある仕事をガムシャラにやったり、例えばマーケティングの基本をまずは脳がマスターするまで勉強し続けていくことが大事なのではないかと言うことです。

現在やたらとフレームワークやら考え方があちこちにあるので色々と試したくなるかもしれませんが、まずはこれと決めた型でやり続けて結果を出すことが大事なのではないかと思います。情報量が多すぎたり、表面的でナイスな響きなものに振り回されやすい今の時代だからこそ、逆に我慢してでも愚直に繰り返し続け「守」を身につける機会をあえて作ることが重要だと思っています。

結びに

本日も長い文章を読んでいただきありがとうございました。もしこちらの文章を読んで少しでも共感いただけたら年代で分けるのではなく、Unlearnしようとしている人なのかそうではないかで分けていただけると嬉しいです。最近の若手・ベテランの区切りは正しいのでしょうけどお互いにもったいないなと危惧しています。

2020年初回のnoteということでまずは振り返りというテーマでスタートさせていただきました。今後は1年待たずに更新していく予定です。

次回はUnlearnされたP&Gの学びについて書く予定です(多分)。

それではまた次回。


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Junichi Nakamura
サポートありがとうございます。 何冊か書いてみてわかったのですが、note書くのかなりの熱量と時間がいるのでサポートは励みになります。