純セレブスピーカーで聴く!音源マガジン 創刊号
はじめに
純セレブスピーカーで聴く素晴らしい音楽の数々。これらを選び、これから記事にしていきます。 今回はその事始めです。
私が知り得た素晴らしい音楽とその素晴らしい音楽を純セレブスピーカーを通じてお伝えしようと思います。それらをこのnoteで順次公開していきます。
純セレブスピーカーとは?
音楽家片岡祐介さんと東京大学教授安冨歩さんの開発した純セレブスピーカーの理論に基づいて、私もスピーカーで自作しています。
2019年1月10日、東京大学のイベントにも行きました。
東京大学東京文化研究所からのライブ配信に出演させていただきました。(緊張と寒さで体が震えています)
では純セレブスピーカーってそもそもなんだろう。
【純セレブスピーカーとは】
片岡 祐介
「純セレブスピーカー」とは、大雑把に言えば、ダンボール箱にスピーカーユニットを差し込んだだけの簡素なスピーカーのことです。箱内にクシャクシャにした紙類を入れて、空洞の形を複雑化し、余分な箱鳴りを抑えているのも特徴です。
使用するスピーカーユニットや箱の種類よって、音にさまざまな個性が出ますが、けっこうテキトーに作っても、驚くほど音楽的な音が出るのが特徴です。運が良ければ(あるい製作者の感覚が良ければ)数百万もする高級スピーカーの音を軽く超えてしまったりします。なかなか信じてもらえないんですが、実際に作られたり、現物を聴いてみたことのある多くの方々に、驚きをもって納得していただいています。
わたし片岡祐介は、十歳頃から、既成の楽器だけではなく、日用品や手作り楽器を日常習慣として演奏してきました。また、子どもたちや障害児者と共演する即興音楽の活動を二十年以上続けています。音楽が「文化」として定着する前の根源的なものを探り続けてきたともいえます。「ロック系が好き」とか「この歌、知ってる歌だ」という記号化された音楽のありようではなく、乳児もおもわず踊り出すような音は、どんな「出方」をする音かを、僕自身(まだ途上ではありますが)かなり身体化していると思っています。そんな片岡の経験と、安冨歩さんの膨大な研究(おもに複雑系科学や東洋思想)が出会った結実のひとつが「純セレブスピーカー」といえるかもしれません。「音波を発生する機器」ではなく、音楽そのもののような、生き物としてのスピーカーを実現させました。そしてまだまだ探求中です。
「重さ」よりも「軽さ」、「安定」よりも「不安定」、「固定」よりも「動き」…
【純セレブスピーカーとはなにか?】
安冨 歩
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「庭先のダンボール箱。」
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「あなた自身の耳。」
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「あなた自身の耳と言っておるではないか。」
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「ただ、あなたの耳の法として、備わらざる無きを識取せよ」
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「あなたがその耳を投げ捨てるところ。」
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「しーっ!大きな声で答えられないから近くに来て、耳を貸したまえ。」
その人が近づくと、耳元でムフフと笑った。
問「純セレブスピーカーとは何か?」
教祖曰く「喝!」
純セレブスピーカーの作り方
こちらのリンクをご覧ください。
純セレブスピーカーの素材は主に紙です。段ボールや和菓子の箱が良い音がするようです。
作者の意図しない方が良い音になることも多いし、意図を超えて新たな発見もあります。そういったことが純セレブスピーカーを作ると体験的にわかります。
なぜか音を制御しようとすればするほど、全然良い音になりません。 逆に、テキトーに作ると意外に良い音が出たりする。計画性よりも思いつきや即興的に作り変えることで大きな変化があり楽しめます。
お金は少し。でも夢はたくさんある。
私、いとうは12歳の頃にラジオから流れる音楽に惹かれて今まで様々な音楽体験をしてきました。もう40年近く時が流れました。素晴らしい音楽がこの世界にはたくさんあります。
高校の合格を引き換えに、親からオーディオセットを買ってもらいました。予算15万円ほどでした。
当時のオーディオは高価で15万円でもレコードプレーヤーとアンプだけで12万円を超えました。これではスピーカーに3万円しかかけられない。しかも3万円ではいい音のスピーカーは買えませんでした。
そうか、自分で作ればいいじゃないか。
当時長岡鉄男さんというオーディオ評論家で自作スピーカー設計者がいました。月刊ステレオや週間FM、FMFanなどで自作スピーカーを設計・公開しておられました。
そこで早速長岡鉄男さん設計のスピーカーを作りました。ユニットは1万5千円、箱は叔父が営んでいた木工所でタダで作らせてもらいました。
お金をそんなにかけず、いい音で音楽を楽しめる。それが自分で作るということです。
それから30年以上が経ち、今。その流れで純セレブスピーカーを知りました。これは間違いなくいい音がするだろう。
しかし最初に作ったものは、正直言うと、いい音だけどそこまでではないなと感じました。
しかしおそらく音はもっと追い込んで行けるはずという直観もありました。それから10台以上作りました。
私の純セレブスピーカーの紹介
現在メインで聴いているものは以下の4台です。
↑10センチ口径NFJスピーカーユニットで作りました。箱はゆうパックの100円の箱です。長い突っ張り棒に天井に吊るして聴いています。音質はおおらかでスケールが大きい。オーケストラやジャズ、ロックも良い。少しだけ緻密さが欲しいかな。
↑折り紙好きな妻との共同作成。唯一無二の折り紙スピーカー。ダイソーのユニットで作りました。現在はみかんのネットに入れて宙吊りをしています。音は緻密で繊細。低音も豊かではないがバランスが良い。歌声や楽器のソロには抜群。
絵で描くとこんなの↓
↑紙器会社を営んでいた友人からいただいた和菓子の箱で制作。ユニットはダイソー。音が気に入ったので紙を貼ったらポップな雰囲気になった。カワイイと思います。
↑現時点での最高傑作にしてメインスピーカー。見た目も音質も文句ない。
これも10センチNFJのユニット。箱はワイン瓶2本入るゆうパックのもの。制作費は2台1組2000円もかかっていない。
アンプはこちら。4000円ほどの安価なものです。
おそらくアンプを変えれば音は間違いなく変わります。こだわればいくらでもこだわることができるでしょう。実際私もアンプ沼(!)にはまりました。しかし、何事もほどほどに。
CDプレーヤーは2万円くらいで買いました。なんでもいいと思います。
あとはiPhone、iPad miniをアンプにつないで聴いています。この辺りはお好みで。
以上、システムはシンプルです。
純セレブスピーカーに向いている音源とは
純セレブスピーカーに向いている音は、素材の音の鮮度が高いもの、演奏している人の息吹が聞こえるものだと感じています。
人工着色料や保存料が入っていると良くないように、素材の音源にも鮮度や混じりっ気の少ない素材が必要になります。もちろん今時人工着色料や保存料のない食べ物が皆無なように、音楽録音も(そしてライブでさえも)混じりっ気のない音楽だけが入っているものはないと思います。そもそも混じりっ気のない音楽とはなんなのか。
純セレブスピーカーはそういう本来の音、音楽とはなんなのかを気づくきっかけになるのではないか。
純セレブスピーカーで音楽を聴くことにより、本来の感性を取り戻せると私は考えています。それにはまず、いい音楽の入っているものを聴いた方が良いはずです。
私が大切にしているのはまずは「感性」です。理屈は感性を合理的に説明できるものであれば良いと思っています。感性が磨かれれば、それを説明する表現力を必要とします。
その力は感性をベースにしていくことで徐々に磨かれるはずです。どんな理屈でもその人の感じていることから始めなければ単なる空論です。ですから感性を蔑ろにして自分自身の表現は育まれないのです。
ごちゃごちゃ書きましたが、自分の感性を探究し磨いていくことは楽しいことです。皆さんもそれぞれに楽しく探求をしていきませんか。
具体的な紹介は次号からです。お楽しみに。
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次号からは一部有料コンテンツ化します。これは継続して私が音源を聴き、死なない程度に生きていく原資になります。死なずに音楽を聴くことができればこの記事を書き続けられますのでよろしくお願いいたします。
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