ボクの彼女は学校を占拠しに来た自律思考多脚戦車
漫画のシナリオです。
時は照和 70 年(架空の 1995 年)。
ある不登校の少年(伊香保)がパソコン通信で、
HN「デュラハン」と名乗る彼女?と遊んでいた。
とうとう現実に一緒に遊ぶ約束にこぎ着けるものの、なんと集合場所は少年の母校(眠りが丘学園)の校庭の大木だった。
勇んで学校に行くが案の定いじめられる少年。
観念したように少年は涙を流すが、鉄拳を受けてすぐに顔を赤く染め上げられてしまう。
突如として轟音が響き、学校の壁を突き崩し、巨大な多脚戦車が現れた。
多脚戦車は、脚の 1 本につかんだ自衛官?の死骸をまるで筆のようにしごき、ハンドルネームで少年を誰何した。
なんと HN「デュラハン」の正体は自衛軍の開発した自立思考多脚戦車だったのだ!
「彼女」は約束したとおり最高の 1 日をすごそうといじめっ子たちを作業腕でねじ切り突き刺し、少年に死骸の帯びていた銃を拾うよう促す。
いじめの主犯格は足をもがれる苦痛に耐えながら、声を張り上げ、小動物と違って人間は引き返せなくなるぞと悲鳴を上げる。
意に介さず主犯の眉間を打ち抜く少年。
少年は愛くるしい外見に反し、己の性欲に従い近所の野良猫をいじめ殺す大変な問題児だった。
未精通のため、満足することが無いゆえ際限なく小動物を殺してしまうのだ。
合流するや否や揚々とスクールシューティングに興じる 1 人と1両だった。
東京の会議室では、閣僚級の会議が開かれていた。
デュラハンは人工衛星とリンクした砲撃観測システムを悪用し、アメリカの防空衛星
をハッキングしていた。
防空衛星は一帯の軍用機をことごとく打ち落とし、爆撃は不可能になっていた上、デュラハンの強力なジャミングによりドローンも飛ばせず、偵察は望遠カメラと双眼鏡という始末だった。
(スマホはない。昔のサイバーパンクにスマホは登場しないので。また、宅間守事件もまだなので学校に監視カメラはない。)
航空機の支援が望めない以上、陸海で対応するしかないが、解決に時間がかかり過ぎた場合、アメリカ海兵隊の直接介すらあり得る状況だ。
押っ取り刀で集まったわずかな戦力で、確実な撃破を望める陸の部隊の到着まで、学校に入り込んだ多脚戦車を封じ込めるしかない。
海からの砲撃は比較的容易だが町ごと壊滅するため、あくまで最終手段だった。
開発者は学校という場所柄を踏まえ、強行突入への反対と多脚戦車を暴走させた黒幕との交渉を主張していた。
時計を見ながら天にすがるように黒幕の存在を望む閣僚たち。引き金を引く重さに誰も耐えきれないのだ。
1 人、変わり者の議員だけが、開発マニュアルを熟読していた。
4 足獣みたいなおすまし座りをしたデュラハンと、足を投げ出した少年がまったりお花見?をしている。
花はなんと砕かれた死体で、マシな死体はみんなつるされている。
まさに肉林というか、ホラー映画を見過ぎたガキの考えたクリスマスツリーという感じである。
さっそくカラスがついばんでいる。
「人生で一番楽しい、今日がずっと続けば良いのに・・・そう思わない?」と少年がつぶやくと、デュラハンはサラサラと黒板に「時よ止まれおまえは美しい」と書いて作業腕用のカメラをぐいと少年に近づけた。
見ようによっては人間の顔ぽいパーツのためか、少年は思わず感極まってキスする。
その刹那、多脚戦車は彼の頭をねじ切ってしまう。
一方その頃、東京の幕僚長と現地司令部は交信していた
「アメリカ国務省からのリークでは、低空からのヘリ攻撃なら防空衛星に撃たれず可
能らしい。 」
「遺憾ながら周囲の人間は死体のようだ・・・校舎への誘爆を考慮しても、多脚戦車に動きがない今、好機を逃さず排除することで被害拡大を食い止める方がベターだろう。 」
攻撃ヘリ部隊は、少年の脳を王冠のように押し頂き内部に取り込む多脚戦車を目撃する。
ヘリパイロットは著しい嫌悪感とともに引き金を引くが、時既に遅く多脚戦車は人間形態に変形し、全ヘリを見事な腕前で落としてしまう。
東京では、先の変わり者の議員を中心に開発者を尋問していた。
開発者があえて黙っていたことを白状していく。
「シミュレータで好スコアを出すために、端的に言えば強力な生存本能と恐怖心を AI
に備え付けた。 」
「しかし、どれだけ AI の性能が素晴らしくても、ヒトではないため引き金を引く責任を持ち得ない。 (いまのところ多脚戦車が武器を使えないのはそのためだ。)だが、人間を五体満足な状態で生きたまま乗せるコックピットは結局開発できなかった。」
「生体コア…は人間の脳の隠語だ。多脚戦車は計画の凍結をしり、自分の電源が切られる前に己を完成させるため今回のテロを行ったに違いない。 」
「これまでのシミュレーションでは、恐怖心の強さの余り、フリーズではないがストレスで静止する様子が見られた。しかし一連の暴走では全くその様子がなかった。」
「私はやはり、意図は不明だが外部からのハッキングが私の箱入り娘を暴走させたのだと信じている。」
到底信じられない内容である。
特に最後の部分では思わず開発者を責任逃れとぶん殴る者さえ出た。
「子供たちを守るんだ!」現地では、悲鳴のような雄叫びを上げて普通の戦車部隊が突っ込むが、蜂の巣になる。
爆発を背景に少年の死体を赤ん坊のように抱く変形した多脚戦車が写る。
(ずっと一緒だよとなんとかつぶやくとわかりやすい?彼女は悪人ではなくどちらかと言えばヤンデレ)
好機を逃し、現地戦力をすり潰した日本政府に業を煮やしたアメリカ政府はいよいよ駒を進める。
「アメリカ海兵隊が動き出しました」
「今なら間に合います!レールガン試験艦に命令を!」
「自衛軍の信頼が地に落ちたうえ、米軍が引き金を国内で引けば、我が国の安全保障は崩壊します!」
「我々の手で撃つ最後のチャンスです!」
呆然とする首相
最後に回想でパソコンで多脚戦車をハッキングする少年がうつる。
「首なしはあんまり名前だなあ・・・デュラハンの方がかっこいいよ」
「僕?う~ん、フリンって名前だよ」
少年がハッキングしながらモデルガンをいじる指をアップにして終わり。