【雑記】イラスト系画像生成AIに関するポストへの反応 2024/11/17
上記記事を前提としたおまけです。
ポストへの反応
Xのおすすめにこういったポストが流れてきました。
この方個人を批判したいわけではなく、変に晒す形にもしたくないので敢えて適正な引用の形を取らずに貼ります。
こういうポストを見るにつけ危機感を増すばかりです。
「陰謀論者」「集団ヒステリー」のような強い言葉を使われて不快になるのは分かります。
ただ、それに対して真っ向から反論……つまり「絵師」たちの主張や行動は適切なものだと主張するのではなく、相手にレッテルを貼る方へ進んでいること。
残念ながら、こういう態度それ自体が、冷静さを欠いていることの証明になってしまっているように見えてなりません。
「生成AIユーザー・推進派は敵」
「生成AI否定派は味方」
こうやって全てを敵と味方の対立構造で捉えるようになってしまうと、もう対話も議論も不可能です。
SNSではそれが顕著で、所謂エコーチェンバーが加速していくばかりでしょう。
2024/10/22に、さいとうなおき先生のこのようなポストがありました。
間違ったことや問題のある発言をしたわけではないが、謝罪に追い込まれたというのが実情でしょう。
「問題の解決後の先の未来を仮定して、お話をしてしまった」と書かれていますが、既にAdobe Fireflyなどオプトイン式のクリーンなデータセットでトレーニングされた生成AIは存在していますから、別に未来の話なんてことはないはずです。
(許諾を得ていない、権利的に問題がある画像が含まれているという指摘もあることは承知していますが、これはサービス運用上の問題であって、適宜修正・改善されていくものでしょう。サービスのルールを破る形で混入されたデータの一片さえ許さず、それではクリーンとは言えないと主張するとしたら、流石に暴論が過ぎます。)
この他にも、程近い内容で謝罪に追い込まれた発信者は複数います。
「お前は生成AIを否定しないのか」という踏み絵を踏まされている状況と言っていいでしょう。
業界の第一線を走る超トップクラスのイラストレーターでさえ、「生成AIを否定しないのならば敵」と見做される。
それぞれの人間にそれぞれの立場や意思や主張があり、賛成と反対にもグラデーションがあることを理解してほしいものです。
おまけのおまけ(蛇足)
ここから先は単なる思考実験、頭の体操的なものです。
あんまり考えても意味のないことを考えています。
さて、
「絵師がヒステリーを起こしていると騒いでる人間は生成AI推進派」
という主張にはどれほどの説得力があるでしょうか。
イラストというものに関わる人を大きく分けると「描く人」「見る人」がいます。
生成AIの存在を踏まえると、「絵を描く人」「AIで出力する人」「見る人」と考える必要がありそうです。
「絵を描く人」の中ではAI否定派の割合が高いでしょう。
「AIで出力する人」は確実にAI推進派と言えるでしょう。
「見る人」にとってはどうでしょうか。無関心・中立の人も多いでしょう。
見るだけの立場でもAI生成画像に価値がないと思えばAI否定派になりそうですし、「描く人」の権利を考えて否定派に寄るかもしれません。
見る立場でAI推進派になる理由はそう多くないように思えます。
さて、「絵師がヒステリーを起こしている」というくだりは、真偽不明・不正確な情報に翻弄されている様子、より直接的にはそれに応答する形での行動…作品の削除や非公開化、SNSの移動、AI学習に対する対策(ウォーターマークや学習阻害ノイズ)を指していたものと思います。
前記事でリンクしたような丁寧な言及記事においては、「集団ヒステリー」というのは罵倒を目的とした言葉ではありません。
「冷静さを欠いたパニック状態になってしまっているから、落ち着いた方がいい」という警告です。
まぁ皮肉なことに、実際にパニック・ヒステリー状態に陥っている人に対してなればこそ、そのように声をかけても逆効果ではあるでしょうが…。
では、警告だと捉えたとき、誰が何のためにそれを言っているのでしょうか。
「絵を描く人」は、ここでは警告されている側なので除外しましょう。
「AIで出力する人」からすれば、そんな声をかける義理もないでしょう。
種々の対策行動に実効的な意味があるとしても、現在の生成AIユーザーが痛手を負うことはありません。
AI生成画像で注目や評判を得たい人からすれば、むしろライバルが減るのだから願ったり叶ったりかもしれません。
「見る人」はどうでしょうか。大事なのはここです。
多くの「見る人」はただ普通に好きなイラストが見たいだけです。
余計な争いや主義主張が流れてきたり、作品が消えたり、作者が別のSNSに移動して余計な手間が増えたり、余計なノイズで見づらくなったり…それはまったく望まない事態です。
結局のところ、今の状況に最もうんざりしているのは「見る人」でしょう。
このように考えたとき、
「絵師がヒステリーを起こしていると騒いでる人間は生成AI推進派」
という主張には全く説得力が感じられません。
ではなぜこのように「推進派」と決めつけているのかを推測すると、
①ヒステリー呼ばわりは単なる絵師への罵倒・攻撃である
②生成AI推進派は皆、絵師を罵倒・攻撃する者たちだ
③ヒステリー呼ばわりする者は生成AI推進派だ
のような思考回路を辿っているものと思います。
つまるところ、このような主張が生まれるのは
「生成AIユーザー・AI推進派は敵であり、絵師・AI否定派を攻撃する存在だ」
という煮詰まった対立構造思考によるものだと思われます。
こうやって仮想敵を作り上げて争いを続けても何も生まれることはなく、ただただ消耗していくだけです。
誰のためにもならないこの状況を早く抜け出したいと願うばかりです。
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