ペーサーとして参加した信越五岳トレイルランニングレース100mile
こんにちは!
SNSフォロワーの半分がアンチでしょ?ってよく言われる ジュンG です。
9月16~18日にかけて長野県、新潟県に広がる信越高原で開催された信越五岳トレイルランニングレースの100mileに出場するオリエちゃんのペーサーとして参加してきました。
ペーサーをするきっかけは3月4日にオリエちゃんから送られてきたDMでした。多分レース開催の概要が発表された翌日ですね。(翌日とか気合い入りすぎだろw)
最初は違うジュンジさんとお間違えでは?と思いました。
その時の僕は腹もぶよぶよで体重は過去最高70k台だったし、走力はというと毎年レースに出てるのに6年3ヶ月フィニッシュから遠ざかっていて、
皆さんご存じのITRAのPerformance Indexですけどまさかの 0 です。
(自分でもびびる)
そんな僕がペーサーとはいえ60km近く走ってきた信越五岳トレイルランニングレースのフィニッシュまでのオリエちゃんとの会話や表情から読み取って感じたドキュメント的な備忘録です。なので来年ペーサーを考えてる人とかには参考にならないと思います。ごめんなさい。
尚、オリエちゃんもレースを振り返ってるのでこちらからどうぞ!
受付 ➡ スタート ➡黒姫での合流
大会当日、本来であれば一緒の車で会場入りする予定だったのですが、僕の仕事の都合もあり別々に会場入りをして受付を済ませました。
受付・スタート会場は馴染みの顔もあり、近況を報告しあったり何か楽しいやっぱり大会いいなぁ。オリエちゃんは早々に仮眠所へ移動しているようなのでコンビニでお菓子や頼まれた物を購入したり、会場周りをぷらぷら、メロンソーダとか飲んじゃったり楽しいw
なんだかんだでスタートまで2時間前となり、約束した場所でオリエちゃんとアッちゃんと合流しスタート会場へ向かいます。しっかり仮眠できたようです。諸々の準備をしスタート直前まで車で待機します。口数少なめで緊張MAXって感じがビシビシと伝わってきます。目標タイムのプランABCの確認と忘れ物が無いか確認をしていざスタートゲートへ
(因みにプランAがsub31、Bがsub32、Cがsub33という具合です)
そしてカウントダウンが始まり100mileのスタート!!花火とか打ち上げちゃってカッコよすぎる (T T) 信越100mileのスタートは本当に震えるな。
選手を送り出したのでお風呂入って夕飯を摂り仮眠をします。
選手と合流する黒姫エイドへはバスでの移動となります。指定された無料の駐車場で仮眠をとることに。6時間くらいかな熟睡ではないけど、うつらうつらと寝られた感じです。朝方、黒姫行きのバスに乗り出発。外を眺めてると関川沿いにエイドのような場所がありました。朝5時過ぎだったけどそこにいた人たちが動き始めていた。後からわかったけど宴会隊エイドだったようだ。たぶん誰かわからない僕らにも手を振ってくれていた。こういうのいいなw
黒姫エイド近くのホテルに到着。ここで選手が来るまで時間があるのでペーサーは待機することになる。少ししてペーサー陣の情報で自然の家エイドでレースを止める選手が出てきてると聞こえてきた。夜間を越えてきた選手だけれども思った以上に暑さに苦しめられているようだ。しかもこちらの天気もほぼ快晴に近い。これから黒姫に到着まで半端ない暑さが容易に想像できた。ペーサー陣たちの中でも去年より暑そうだというと会話がちらほらと。ホテルの外に出てみると既に蒸し暑・・・。(まじかよ。)オリエちゃんの速報をみると自然の家エイドではAプランのペースを上回っている!!これ余裕なんじゃないのか!と一気に楽勝ムードになった浮かれポンチの僕がいた。
合流時間もそろそろなのでエイドへ向けて出発、歩いて6分位。黒姫エイドにつくと100kの選手もちらほらとエイドに到着しているようだ。100mile、100kの選手ともに顔をゆがめて入ってきている。中にはふらついて救護に助けられた人も・・・。
黒姫 ➡ 笹ヶ峰
オリエちゃんがエイドに入ってきた!(12:55頃到着)関門の約一時間前。
少し疲れているようだけど元気だ。『順調だね』と声をかけると驚愕な一言が返ってきた。
『太腿がもう終わった下りが走れない・・』(オリエ)
『・・・・・・』(ジュンG)
(えっ!!!!ちょっと痛いとかじゃなく終わっちゃったの?)腰抜けそうだったけど、テーピングステーションがあったので後半走れる区間を走るために足裏のマメの処置を兼ねて急遽テーピング処置をしてもらうことに。
少しでも早くエイドを出たいところだけど補給をしっかり、それとリフレッシュかねて少し時間を割いたエイドだった。
ついにペーサースタート!!必ずフィニッシュするぜ!!!(かなり興奮していた)
幸いに太陽も雲に隠れて少し心地いい。笹ヶ峰までは登り基調なので無理をせずに林道もラン+ウォークを繰り返しながら淡々と進んだ。途中知り合いの応援を受け元気をもらう。一方トレイルのちょっとした急な下りはかなりキツそうだった。そこは『気にしなくていいし、タイムにまったく問題ない』と伝えながらゆっくりと下った。
笹ヶ峰エイドの手前で雨が降り出し、レインを着るように促す。会話の反応やしぐさを見ながら熱中症の症状や眠気や吐気がないか聞く。今のところ大丈夫そう。少し時間を気にしてる様子だった、でもこの区間は無理をさせないよう歩きを多用したので全く問題なかった。
笹ヶ峰 ➡ 西登山道
笹ヶ峰に16:00頃に到着、プランB(sub32)の予定から5分遅れくらいなので全く問題ない予定通り。
ここではバナナとオレンジ、カレーを補給、なんとか食べれている。仲間に顔を見せて激励してもらいエイドを出発した。
(笹ヶ峰のカレーは少しスパイシーで本当に美味しかったな)
雨が相変わらず強く降っているので下のレインも履くかと尋ねた。エイドで雨雲レーダーを見たけどすぐに止みそうだったので強くは勧めず、このまま行くとのこと。身体が冷えたので走って温まろうといったのだが少し気持ち悪いと・・。早歩きを多めに入れながら様子を見ることにした。走れる林道はラン多め+ウォークでいい感じだった。ひとつ気になっていたのは雨でトレイルが滑りやすくなっていたこと、オリエちゃんは去年のKOUMIで一緒に走っていた時間があったんだけど、その時もかなりの雨でどろどろのサーフェスにかなり手こずり、苦い思いをしたのです。そう彼女はどろどろの滑るトレイルが大の苦手なのです。
西登山道 ➡ 大橋林道
西登山道に18:10頃に到着、プランB(sub32)からは30分遅れ、プランC(sub33)では6分早い到着になっていた。とりいそぎ水とお湯があったので白湯にして口にしてジェルを補給。疲れも隠せなくネガティブな言葉が出てきたのもこのころか。少し遅れているけどをこのペースでも次までに無理なく巻き返せると伝える。このエイドはすぐに出発。トレイルに入り嫌な予感が的中する。どろどろで結構滑る。
雨は少し落ち着いてきたけどオリエちゃんは疲れもあり滑る登りに手こずってる様子で辛抱どころが続く区間だった。登りは僕の足を置く位置を見せることを意識して近い距離でペースメイク。しかしふと心が折れたように『やっぱり難しいな100mileって』『こんなんで瑪瑙山登れるかな?』という言葉が聞こえてしまった・・・。ここまでの疲労や、この先のトレイルの具合も想像し、タイム的にもいよいよ厳しい。完走するという意思が一気に流されてしまったようだった。
しかし100mile難しいなって…。僕が年上ということもあり、ここまで『疲れた』とか余り愚痴を口にしてこなかったので我慢していた感情が一気に溢れたのだろうか僕も軽く動揺した。
(ペーサーとしての準備)
オリエちゃんに言ってはいなかったのですが
ワンミスも許されないチャレンジに真剣に向き合わないとの思いで、
二週間ほど前に僕はこの黒姫から飯綱林道入口まで試走を行っていた。
試走の時間もレースと同じ夜中の時間帯にして、ペース表をなぞるように時計を見ながら、ここは走れそうだ、ここは歩くのやっとだろうと想像しながら割と深く掘り下げて試走を行ったつもりだった。
それと彼女が心折れかかったときに掛ける言葉としてアッちゃんとコーチの
田中さんにお願いをしてハートに響く言葉をもらっていました。
(僕のテキトーな言葉は響かないと思ったのでw)
試走を行っていたおかげでペースやタイムが著しく遅れていないと確信をもてていたのと、これからの後半に彼女が粘って走れる区間があり、その踏ん張り所でアッちゃんと田中さんに預かった言葉で復活し必ず巻き返せると信じていた。
大橋林道 ➡ 戸隠スキー場
大橋林道に19:35に到着、プランC(sub33)より7分早い到着になった。
Patagoniaエイドだ!ただのんびりとしていられないのでスープとシャリ玉とバナナと麦茶を素早く補給した。エイドの手前から林道だったので少し前向きな感じでエイドに入れたかな?と思っていたら。エイドを出る寸前にオリエちゃんは知り合いを見つけて『もう間に合わないよね?ねっ?』ってクレーマーみたいに泣きついていたw。『いいから行くよ!』っと無理やりエイドを出発。しっかりと補給できたのと雨が止みかけてきたことが好材料だった。戸隠まで走れる区間も多いので少しでも走れるといいなと思いでいた。とはいえ流石に疲労もピークのようだ足も痛いとは口にしないけれど緩やかな下りも歩きを入れなければ進めない状態だった。僕も掛けてあげる言葉も見つからず彼女も口を閉ざす時間帯が増えていった。それと同時に『もう瑪瑙山登れないな』『sub33のタイム通りだと戸隠に入っても恐らく間に合わないんです…』という痺れる言葉が・・・。
戸隠で間違いなく止めるなと感じられた言葉だった…。足もかなり痛そうだし、少し前を走り引っ張っているつもりでも自然と間が空いて彼女が歩いてしまう時間も多くなってきていた。戸隠牧場の中を進んでいるときだったか予定外にアッちゃんからオリエちゃんに電話が入った。誤情報で電話をしてきたようだ。なにを会話したのかは定かではないが彼女の表情が良くなった感じがした。
『かれこれ7年近くレースでゴール出来ていないんだよね。俺を連れてってくれよフィニッシュゲートまで・・・。』と冗談交じりに伝えたのはこの辺りだったかな。
アッちゃんと田中さんが揃えていうオリエちゃんの強み
戸隠までの少しでも多く走っておきたかったのとオリエちゃんがメンタル的にもやさぐれそうだったので
アッちゃんと田中さんから預かっていた彼女の強みをここで伝えることにした。
『アッちゃんと田中さんから辛いときにと言葉を預かってんだよね。二人が口を揃えて同じような言葉を俺に預けてくれたよ。何かというとあなたの強みは疲れていても平地を走れること、そして遅くても粘って淡々と走り続けられることだって、キツく走れなくなったときにこの言葉で鼓舞してほしいと頼まれたよ』と伝えた。彼女は『ううううう・・』ってうなってたw。どう感じたかはわからないけど一段ギアがあがり走る時間帯も少し多くなった。
戸隠スキー場 ➡ 飯綱林道
戸隠に22:22に到着、オリエちゃんの間に合わないと意識していたプランC(sub33)から15分遅れの到着になってしまった…。僕が試走して感じていたリミットは戸隠を22:30に出発すること。とはいえ恐らく時計を見て絶望的になっているだろうと思い彼女には余計なことは言わず。僕は関門のカットオフでもないしまだいけると確信していたので補給を摂ってすぐに出発のつもりでわざとらしくいそいそと装っていた。
幸いにも厚木大学の仲間や友人もいてくれたので『あと少しだよ!いけるよ!』と力強い後押しをしてくれ、彼女はここでレースを止めるという行動に移せなかったという感じだった。
(僕的にはマジで助かった)ここ戸隠で僕が一人で対応していたらレース止めさせた可能性が極めて高かったかな。それくらい彼女は戸隠まででフィジカルもメンタルも使い果たし、口軽く頑張ろうって言い難くボロボロの状態だった。
ただ仲間の後押しもあり8分くらいでなんとかエイドを出発できた。
すぐにトレイルに入って『あまりどろどろ荒れていないね』と会話しながら瑪瑙山を目指している時に彼女がしみじみと達成感に浸るように
『ああよく頑張ったな、ここまで来られるとまさか思わなかったよ…』『瑪瑙山の頂上で記念写真でも撮ろう…』って呟いた・・・。
これ頂上着いた途端に止めちゃうかもしれないな。
(そんなところで止められてかける慰めの言葉も用意してねえし思いつかねえよ)なんと会話を返していいのかわからずに時間が止まったように少し間、沈黙が続いた。捻りも気持ちも込めることができずに『瑪瑙山超えて飯綱林道入口から続く林道を走ればギリギリ間に合うよ』と普通に伝えてしまった。『どうかな間に合うかな…』と完走という文字など存在しないかのように、かなり弱気になってしまっている。
このままだと瑪瑙山もだらだらと登り、頂上でレースを終えてしまうと思い、少し考えてから最後にとっておいたコーチの田中さんの言葉を伝えることにした。
田中さんからの言葉
おもむろに田中さんから預かっている言葉があるよと僕は切り出しました。
オリエちゃんはびっくりしていました。
『精神は肉体を凌駕することが出来る』
望んだ結果にとどかなかったけど、きつくつらい中、自分も何とかスイッチを入れてこの言葉を体感できたレースがあります。
きつくつらいとは思いますが、是非オリエさんも何とかスイッチを入れてみるチャレンジをしてほしい。
緩い上りを歩きながら
顔を合わせることなく伝えました。オリエちゃんは黙ったままです。
なんとなく察しがつくのであえて後ろは振り返りませんでした。
それを境に腹括ったのか言葉が響いたのか弱気な言葉も少なくなり、瑪瑙山の山頂に到着して『本当にここまで来られるとは思っていなかった』と言ってたかな。
瑪瑙山からの下りも含め飯綱林道までは今まで以上に走れた区間となった。
飯綱林道 ➡ プラザオーロラ(Finish)
飯綱林道に01:24に到着した。プランC(sub33)から12分遅れだ。
水とコーラを口にしてジェルを補給してすぐに出発した。
残り13kを2時間、この区間は試走が出来なかったけどスーパー地形と高低差を見返し、昨年走った友人にも気持ち悪いほど、どんなトレイルの状況なのかを聞いておいた。少しの登りはあるにせよ林道が8,9k続く走れる区間のはず。それを伝えてもくもく長く続く林道を走った。オリエちゃんは150km以上走って来たのにちょっと信じられないスピードで走っていた。確か彼女に『ペースもっと上げてください』とまで言われたなw 幸いなことにこの時間帯、この区間を共にしたランナーの多くがしっかりと走っていた。みんなで引っ張りあっているような感覚だった。もういろいろと限界を超えてるはずなのに皆んな凄い・・・。少し感情的になり涙目になる。
我慢できず周りの知らないランナーにハッパを掛ける!
『皆んなもう最後だぞ!あとの心配なんかするなよ!今日と明日を捨てるつもりで行けよ!!』(えらそう他人事ですw)
160kmの看板が見えた残り33分。
『気が抜けないけど絶対いけるぞ』と声を掛ける
『間に合うかな?』彼女はまだ半信半疑ですw
最後のトレイルを順調に下り抜けてゲレンデのロードに出た!
ついについにフィニッシュゲートが視界に飛び込んできた。
彼女もようやくゴールだと理解をして、顔をくしゃくしゃにしながら『ジュンジさん疑ってごめんなさい…』『ほんとに間に合わないと思ってた…』と。ゴール前でそんなに顔をくしゃくしゃにしないでw
ゴール直前、道中の多くの困難が思い出されグッとくるものがありました。
猛暑、時には雷雨の中
距離は160km以上、走らなければ間に合わない制限時間とコース設定。
累積も6500mを超え、10000kcal以上を消費し
30時間以上も寝ずに動き続け、内臓、消化器官にいたっては正常に機能しなくなり
それこそ脚は痛みがないところなどはほぼ無いって言うくらいの状態になり
それでもそれでも目の前の一歩一歩を進み続けて
オリエちゃんは強く、美しく、最高の笑顔でフィニッシュしました!!カッコいいぜ!!
オリエちゃんおめでとう!!!
【リザルト 32:48:19 女子35位(37人中)】
(ゴールまで連れていってくれてありがとうw)
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