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REBECCA @昭和女子大学人見記念講堂(20240923)
懐古と旬を携えた、連綿と続く王道のグルーヴ。
懐かしくも新しい、そんな想いを込めたタイトルを冠して7月13日より開幕したREBECCAの7年ぶりのツアー〈NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024〉は、2ヵ月強を経てスタートした昭和女子大学人見記念講堂へ再び帰ってきた。40年前のメジャー・デビュー日の4月21日に発表された本ツアーは、その後に10月15日の東京ガーデンシアター公演が追加公演として発表されたが、全国7都市13公演を巡る本ツアーとしては9月23日がファイナル。思い思いの感情を胸に抱いた新旧のREBECCAファンが東京・三軒茶屋にある昭和女子大学へ集結し、熱い視線と歓声をメンバーへ届けるとともに、REBECCAが現在進行形のバンドだということを再認識したステージとなった。
2015年に再結成を果たしてツアーを行なうと、同年の『NHK紅白歌合戦』へ初出場し、2017年には活動休止前ラストとなった日本武道館公演を含む全国ツアーを28年ぶりに開催。2022年に行なった東京、横浜、大阪でのビルボードライブツアーは全公演ソールドアウトと、再結成以来も耳目を集めてやまないREBECCAだが、2024年の本ツアーでもライヴバンドとしての輝きを放っていた。
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ライヴメンバーは、ヴォーカルのNOKKO、キーボードの土橋安騎夫、ベースの高橋教之、ドラムの小田原豊に、ギターの是永巧一とパーカッションの中島オバヲと、再結成以来不動の6名。80年代から90年代にかけてリアルタイムでREBECCAに触れてきたミドル世代が多くを占めることもあってか、開演前からヴォルテージが高まることはなかったが、暗転の中でメンバーが位置につき、イントロダクションとともにサイドに広がりがある金髪に、燕尾服風の黒ジャケット、白のブラウスシャツに黒のナロータイ、黒のショートパンツという出で立ちのNOKKOが登場すると、一瞬にしてフロアは総立ちに。「Hot Spice」から旧き佳きREBECCAスタンダードを繰り広げていった。
本格的に再始動したとはいえ、新たにオリジナル・アルバムをリリースしている訳ではないので、楽曲構成はオールタイムベスト&ヒッツといった内容が中心。自身初のアルバム・チャート1位を獲得し、人気を確実なものとした4thアルバム『REBECCA IV 〜Maybe Tomorrow〜』収録曲「Hot Spice」「76th Star」「London Boy」や、バックに大きなフルムーンが輝くなかで紡いだ「MOON」を皮切りに、往年のファンであれば知らずと口ずさめる佳曲のオンパレードとなった。
しかしながら、そんなオールタイムベストな構成に、7月7日に配信リリースした新曲「Daisy Chain」「アシデケトバセ」を汲み入れて、ノスタルジーに浸るだけではない、2024年にもライヴバンドとして躍動する姿を投影。前半に披露した「アシデケトバセ」では、ミラーボールが煌めくなかで、ステージ奥のスクリーンに「アシデケトバセ」「kick out all the fools」というフックの歌詞が映し出されていく。作詞したNOKKOがどのような意図でリリックを書いたのかは解かりかねるが、土橋とともに手掛けた決して尖らず、行き急ぐような切迫感もないメロディの上で、大人ならではの懐の深さを見せながら「kick out all the fools」(愚かなものすべてを蹴散らしてやれ)と歌い紡ぐ姿は、外野がREBECCAに着せていた固定観念やイメージを払拭するようなアクトにも感じた。
今でこそレジェンド・バンドの一つとして数えられる存在となっているREBECCAだが、当時は「ロックではない」とかマドンナやシンディ・ローパーらを想起させるNOKKOのダンスやシンセポップを駆使したサウンドが商業的だなどと酷評するメディアも少なくなく、解散まで事あるごとにさまざまな“憶測”を呼び起こしていたが、そんな老いぼれたメディアは蹴散らして、鳥かごから放たれた鳥のように自由に、やりたいようにやるんだという強い意志を表明しているようでもあった。キャッチーではない、プログレッシヴなアプローチによるサウンドをバックに、噛み締めるように歌うNOKKOを眼前にして、“ロック”足り得る心意気を示していたような気がした。
自身たちが熱狂の中に放り込まれていた時期なのか、日本にヒッピーブームが訪れた60年代なのかは判断できなかったが、空から(おそらく渋谷か新宿)の街並みをスクリーンに映し出しながら歌った「CHEAP HIPPIES」、是永のギターイントロが掻き鳴らされた瞬間に歓声が沸き起こり、ヴォルテージが一躍上昇したキラー・チューン「RASPBERRY DREAM」、フロア一面が幾千の星々が輝く天空へと様変わりするなかで、イントロや歌い終わりに自然と拍手が沸き起こった「Maybe Tomorrow」とそれぞれに印象深い楽曲群を重ねていくなかで、一旦NOKKOが衣装チェンジも兼ねてステージアウト。土橋のキーボードを軸とした、壮大な音響空間をもたらすプログレッシヴかつエレクトロニックなサウンドによるインタールードを経て届けられたのが、「WILD EYES」「ラブ パッション」という3rdアルバム『WILD & HONEY』からのナンバー。フュージョン・プログレから是永のギターに切り替わり、ニューウェイヴなモードへと突入した「WILD EYES」への展開に痺れると同時に、音楽性を変え、“土橋REBECCA”の端緒となったアルバム曲を連ねることで、REBECCAの現在までを俯瞰的に結ぶことにも成功。小田原と中島のドラム&パーカッションが跳ねるように響く「ラブ パッション」で、さらに熱量と興奮を高めていった。
甘酸っぱくセンチメンタルな「Cotton Time」「LONELY BUTTERFLY」や、ミラーボールの煌めきがフロアいっぱいに広がるなかでNOKKOがハイトーンで歌い綴った「One More Kiss」で、ビタースウィートな世界観を演出すると、是永の嘶くようなギターソロから中島のアーシーかつリズミカルなパーカッションへと繋がり始まった「MONOTONE BOY」では、メンバー紹介を加えながら、さらにパッションが上昇。NOKKOは震えるようなハイトーン・ファルセットを遺憾なく繰り出したかと思えば、代名詞ともなったREBECCAクラシックス「フレンズ」では、NOKKOがステージを降りて客席を疾走。ライヴ前半に「このメイクと衣装になってステージに立つとREBECCAになってしまう」みたいなことを言っていたが、お茶目でお転婆なトランジスターグラマーなNOKKOをここぞとばかりに発露させた姿に、観客が熱狂しない訳はない。青春を蘇らせるだけではなく、日常では影を潜めているものの、実は今も宿る生命力を奮い立たせるかのような刺激を与えていく。「フレンズ」から雪崩れ込むように突入した「プライベイト・ヒロイン」では、四方八方で拳を突き上げ、頭上でクラップが鳴り響き、歓声がこだまする、文字通りの熱気が渦巻いていた。
前述したように、“NOSTALGIC NEW WORLD”と銘打ったツアーの鍵となるのが新曲の「Daisy Chain」と「アシデケトバセ」。アンコールでは、土橋のシンセポップ/ハウスなアティテュードをREBECCAに落とし込み、中島や小田原のパーカッシヴなビートが体躯を躍らせる「OLIVE」で終わると思いきや、アンコールラストに「Daisy Chain」を配して、これからのREBECCAを指し示していく。思い返してみれば、2017年の28年ぶりのツアーの際には、新曲の「恋に堕ちたら」を組み込み、それ以前にも断続的に再結成した2000年にはシングル「神様と仲なおり/HELLO TEENAGE」をリリースするなど、単なる懐古に終わらず、常に先へ進む礎を築いてきた。ヒナギクの花輪、数珠繋ぎの意味も持つタイトルの「Daisy Chain」は、往年のREBECCAサウンドを基調としながら、酸いも甘いも嚙み分け、紆余曲折を辿ったからこそ得られた大人の貫禄も滲ませた新機軸のグルーヴで、REBECCAの希望を抱かせるもの。「OLIVE」での熱量を欠くことなく、熱情が横溢したフロアがそれを証明していたのではないだろうか。
残念ながら、追加公演のチケットを手にすることはできず、本ツアーの集大成をその目で体感することは叶わなかった。だが、MCで高橋が「まだ行ったことのない場所にも行きたい」とも発言していたから、またそれほど遠くないうちに全国ツアーも行ないそうだ。ノスタルジーに浸る暇など与えない、加速度を高めたREBECCAへの再会に期待しながら、いましばらくはステージの余韻に浸りたいと思う。
◇◇◇
<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 Hot Spice (*4)
02 76th Star (*4)
03 MOON (*P)
04 London Boy (*4)
05 真夏の雨(2015 ver.)/ WALKING THE WARM RAIN (*T)
06 アシデケトバセ (New Song)
07 CHEAP HIPPIES (*T)
08 RASPBERRY DREAM
09 Maybe Tomorrow (*4)
10 Band Interlude
11 WILD EYES (*W)
12 ラブ パッション (*W)
13 Cotton Time (*4)
14 LONELY BUTTERFLY (*T)
15 One More Kiss
16 guitar solo intro ~ MONOTONE BOY(include Members Introduction)
17 フレンズ (*4)
18 プライベイト・ヒロイン (*4)
《ENCORE》
19 OLIVE (*P)
20 Daisy Chain (New Song)
21 OUTRO
(*W): song from album “WILD & HONEY”
(*4): song from album “REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~”
(*T): song from album “TIME”
(*P): song from album “Poison”
<MEMBERS>
NOKKO(vo)
土橋安騎夫(key)
高橋教之(b)
小田原豊(ds)
是永巧一(g)
中島オバヲ(perc)
![](https://assets.st-note.com/img/1727186580-xZIADS0KLNVt6dFqMoecWBUC.jpg?width=1200)
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【REBECCAに関する記事】
2010/09/19 レベッカとの再会
2015/04/21 REBECCA 20年ぶりに再結成!!
2015/08/13 REBECCA@横浜アリーナ
2015/11/29 REBECCA@さいたまスーパーアリーナ
2017/09/01 REBECCA@日本武道館
2022/07/14 REBECCA @Billboard Live TOKYO
2024/09/23 REBECCA @昭和女子大学人見記念講堂(20240923)(本記事)
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