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MISIA @横浜アリーナ(20250201)
※ ネタバレを含むため、予めご了承の上、ご自身のご判断で閲覧ください。
再び針を進めたTHE TOUR OF MISIA、感謝と希望の祭典。
THE TOUR OF MISIAが帰ってきた。2025年1月11日の愛知公演を皮切りに、福井、大阪、神奈川、東京、香川、兵庫、北海道、広島、宮城、福岡を巡るツアー〈STARTS presents THE TOUR OF MISIA 2025 LOVE NEVER DIES〉が開催。追加公演として6月に3日間、日本武道館公演を行なうことも発表された。近年はバラードを中心とした〈星空のライヴ〉や幻想的なコンセプトによる〈Candle Night〉、ジャズ・ミュージシャンとのセッションで届ける〈SOUL JAZZ〉といったライヴを展開してきたが、MISIAの本家本元のライヴ〈THE TOUR OF MISIA〉が、新たな息吹とともにカムバック。MISIAのエンタテイメントの真髄を凝縮した、活動の核となるライヴツアーが再び横浜アリーナで花開くこととなった。
1999年12月の三重・三重県営サンアリーナからスタートしたMISIA初となるアリーナツアー〈LOVE IS THE MESSAGE THE TOUR OF MISIA 1999-2000〉のファイナルとなったのが、2000年1月29日・30日の神奈川・横浜アリーナ。以来、各ツアーのファイナル公演が行なわれることも多かった横浜アリーナだが、25年(!)前に初のアリーナツアーのラストを飾った同地でのスペシャルなステージを観るべく、寒さが募る新横浜へ足を運んだ。
〈THE TOUR OF MISIA〉は2017年の〈LAWSON Presents THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead to you〉(記事→「MISIA@横浜アリーナ」)で終止符を打っていたから、約8年ぶりとなる。記念すべき復活を祝して、〈LOVE BEBOP〉ツアーのグッズだったパーカーを着て、ほぼ満員に埋め尽くされたフロアでその時を待った。MISIAのライヴとしては、25周年を記念したツアー〈Yakult presents 25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE〉(記事→「MISIA @横浜アリーナ(20230219)」)以来の観賞となる。
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MISIAをマトリョーシカ風にデフォルメした巨大な白いエアバルーンが鎮座するステージに、弦一徹ストリングスをはじめ、バンドメンバーが位置につくと、フロアから拍手が響き渡る。暗転を経て、バンドによる壮大なオーヴァーチュアから、ふわりと白い布が揺れるバレエダンサーを従えてMISIAが登場。パリオリンピックの日本テレビ系アスリート応援ソングにも起用された、仏語で“情熱の花たち”を意味する「フルール・ドゥ・ラ・パシオン」という、まさに祭典のオープニングに相応しい楽曲から〈THE TOUR OF MISIA〉復活の祝典が幕を開けた。
これまでMISIAはツアー開催中にアルバムをリリースすることが多く、ツアー中にセットリストに楽曲の入れ替えがあるのも特色なのだが、本ツアーも同様に、先日、15thアルバム『LOVE NEVER DIES』が5月28日にリリースとなることを告知。オープナーとなった「フルール・ドゥ・ラ・パシオン」をはじめ、「CHANGE MY WORLD」「ゆびきりげんまん」「愛をありがとう」のほか、新曲として披露された「Be KIND」や「LOVE NEVER DIES」などが収録予定曲となるが、本ツアーではそれらを軸に、紅白歌合戦でも披露した「希望のうた」「明日へ」といった近年定着しているMISIAスタンダードなどを織り交ぜた構成に。バンドは、ステージ奥から「ハ」の字型に並べられ、ストリングス、ホーンセクション、コーラス、DJを加えた大所帯に。そこへ、バレエダンサー5名、キッズダンサー6名、HossyとRachel D'Amourのドラァグクイーン(Hossyは1999年の初ツアーにも出演)が彩りを添え、ボーダーレスで極上のライヴエンタテインメントを展開していく。
『LOVE NEVER DIES』収録予定曲のなかでは、「CHANGE MY WORLD」が耳を惹いたか。近年オーセンティックなポップ・バラードが主流となり、現在のファンもMISIAにそのイメージを重ねている人が少なくないのかもしれないが、R&B/ソウル出自のMISIAに魅了された初期ファンとしては、仄かな色香とセンチメンタリズムを帯びたミディアムR&B作風の同曲には、しっかりとMISIAのソウル・ヴァイブスが感じられた。哀切のなかに希望の光が見え隠れするメロディは、派手なインパクトこそないが、ジワジワと沁み込んでいく浸透力を持っていて、R&Bラヴァーならリピートして欲しくなる(他のR&B曲と連ねた構成で演じてほしいと思う)楽曲ではないだろうか。
「Be KIND」の際には、両サイドのスクリーンに歌詞が表示されたが、MISIAのライヴではなかなか珍しい。新曲ということだからなのか、詞のメッセージを視覚的にも受け取って欲しいという想いなのか。あともう1曲、歌詞表示の楽曲があったが、それらを限定して表示しているということは、何かの意図があるはずだ。
「Be KIND」はソウル/ゴスペルを下敷きにしている感じもあって、“Be Kind”のリフレインが優しくも力感を帯びたメッセージとなって響く、MISIAならではのメッセージ・ミディアムといったところだ。
相変わらず歌唱時とMC時の声のギャップがキュートなMISIAだが、ペンライトの話になった際、「手元で好きな色に変えられるんですよね」とのフリから「青!」というと、フロアが一斉に青色のライトで埋まる光景は圧巻。通常はファンそれぞれが思い思いのカラーを輝かせてペンライトを振っているが、「希望のうた」でバンドメンバーの一部が黄色のライトをかざすと、フロア一面が黄色に、アンコールの最初にMISIAが真っ赤なドレスを着て登場すれば、一面が赤に染まったりと、声とはまた異なるレスポンスが展開されるのも、長きにわたってファンに愛されてきた、MISIAという存在の大きさを示した例の一つともいえそうだ。
個人的に身体を前へと突き動かしたのが、久々に聴いた序盤の「Escape」。〈THE TOUR OF MISIA〉用としてのスペシャルなアレンジではなかったと思うが、重低音のボトムが響くヒップホップ・トラックを体感出来るのが〈THE TOUR OF MISIA〉たるゆえんだと考えているので(近年にその手の楽曲があればそれでもいいのだが)、復活の〈THE TOUR OF MISIA〉で選曲されたことに意義がある。「つつみ込むように…」への流れは“ベタ”とも言えるが、このMISIAを輝かせたヒップホップ/R&B路線のMISIAクラシックスから前述の新作R&B「CHANGE MY WORLD」へ繋がる展開は、ブラック・ミュージック・ラヴァーにとっては見どころ。もちろんホイッスルヴォイスや(肺活量お化け)ロングトーンも繰り出して、ヴォーカリストとしての力量をまざまざと見せつけるパフォーマンスも健在だ。
もう一つの注目ポイントは、やはり中盤からのハウス・リミックス・メドレー。〈THE TOUR OF MISIA〉といえば(個人的にはMISIAのライヴなら)、当初からMISIAの楽曲にはさまざまなリミックスが生まれたこともあり、ハウス・リミックス・メドレーはその歴史を辿り、今後も連綿と続いていく上で欠かせないパートだ。MISIAの衣装チェンジを兼ねたDJ EMMAによるハウス・メドレーのイントロダクションとなるDJプレイは、やや変化に乏しいビートとトラックで、冗長なきらいもあったが、高台のセットでプレイするDJ EMMAの両脇を陣取ったHossyとRachel D'Amourのドラァグクイーンが圧倒的な派手やかな画力で存在感を示すと、“INTO THE LIGHT~”のフレーズが聴こえてオーディエンスから歓声が上がる。
だが、そのままライヴ定番曲「INTO THE LIGHT」へ移らずに、新作アルバムのタイトル曲「LOVE NEVER DIES」へ。DJプレイとパーカッションが交差する心地よいビートのなかで、バンドメンバーたちがペンライトで四角形や8の字を描くなど、遊び心とヴォルテージが高まっていく。クラシックスな全編英語詞の「Never gonna cry!」から定番ミディアム/バラードの「忘れない日々」「逢いたくていま」「Everything」がイーヴンキックのリズムで加速度をつけ、ドラァグクイーンが優雅かつ絢爛なダンスでゴージャスな輝きを横溢させるなか、MISIAの「スタンド、アリーナ、準備はいい~?」との声から「INTO THE LIGHT」へ。恒例の金のテープが放たれると、ひらひらと落下していくなかでダイナミックな演奏と歌唱がヴォルテージを最高潮へと引き上げていく。
その「INTO THE LIGHT」では、間奏に入って、MISIAがステージの下へ。
ステージ上はバンドとドラァグクィーンになるなかで、スクリーンに映し出されたのは、ステージの下でヤクルトを飲み、湖池屋「アイノポテチ」を食べる“モグモグタイム”を経て、スタッフにメイクや衣装直しをしてもらうMISIAの姿。ヤクルトを飲む際にはヤクルトがズームアップされるなど、スポンサーのアピールも忘れずに、衣装直しを終えるとワクワクしながらせり上がりに乗って、再びステージに登場するという演出に、オーディエンスから驚きと笑いの声も。歌唱・演奏中にMISIAのお茶目な一面が見られるとあって、ライヴ終盤の大きなトピックになりそうな演出で楽しませてくれた。
本編ラストは、再び「フルール・ドゥ・ラ・パシオン」をリミックスで披露しながら、バレエダンサーと同乗した縦型の人力ゴンドラカートで、センター(横浜アリーナは通常アリーナ部分をを“センター”、その周囲の傾斜がある席を“アリーナ”、その一段上を“スタンド”と呼ぶ)の周りを動きながら、クライマックスへ。後方の観客も近くでMISIAが見られるとあって、その姿を追いながら盛んに手を振る姿が、波を打つように連なっていった。
アンコールは前述の赤いドレスを身に纏ったMISIAの登場とともに、ステージを照らすライトも、ファンが掲げるペンライトも赤に染まった「Higher Love」から、オルガンの音色で一気にゴスペル&祝祭感が満ち溢れる「THE GLORY DAY」へ。コール&レスポンスを繰り返しながら、ハピネスなグルーヴをフロアを覆い尽くしていくと、「大好きだよ」のフレーズにファンへの感謝を乗せた「アイノカタチ」で、希望溢れるヴァイブスと喝采が包み込んだエンディングとなった。
『LOVE NEVER DIES』収録曲やハウス・リミックス・メドレーなどヴァラエティに富みながら、MISIAの計り知れない歌唱力と資質を堪能した2時間強。本音を言えば、〈THE TOUR OF MISIA〉としては、他のツアーとの区別化をより濃いものとすべく、定番曲以外にもう少し攻めたラインナップも味わいたかった気もするが、〈THE TOUR OF MISIA〉復活の狼煙を上げるステージとしては、コアからライトまで幅広いファン層に応えるという意味で、納得の構成だといえよう。さらに変化を重ねながら展開していくだろうツアーは、6月の日本武道館まで希望と感謝を伝える旅を続けることになる。
◇◇◇
<SET LIST>
00 INTRODUCTION ~ THE TOUR OF MISIA 2025 LOVE NEVER DIES Overture
01 フルール・ドゥ・ラ・パシオン
02 Escape
03 つつみ込むように…
04 CHANGE MY WORLD
05 ゆびきりげんまん(SEIKO ver.)
06 愛をありがとう
07 Be KIND
08 希望のうた
09 明日へ
10 DJ Section by DJ EMMA
11 LOVE NEVER DIES
12 Never gonna cry!(JUNIOR VASQUEZ REMIX)
13 忘れない日々(HEX HECTOR'S RADIO MIX)
14 逢いたくていま(Gomi Remix)
15 Everything(Junior+Gomi Club Extended Mix)
16 INTO THE LIGHT(David Dub Mix)
17 フルール・ドゥ・ラ・パシオン(Dimitri From Paris Remix)
《ENCORE》
18 Higher Love
19 THE GLORY DAY
20 アイノカタチ
<MEMBERS>
MISIA(vo)
吉田サトシ(g)
Zak Croxall(b)
Tomo(菅野知明 / ds)
Yui Arakawa(荒川結 / per)
大林武司(p,key)
村田千紘(tp)
池本茂貴(tb)
鈴木明男(sax,fl)
弦一徹ストリングス(弦一徹、黒木薫、藤田クリスティーナ、カメルーン真希、三木章子、内田麒麟 / str)
渡辺麿裕美(cho)
佐々木詩織(cho)
土屋飛鳥(cho)
DJ EMMA(DJ)
Hossy(Drag Queen)
Rachel D'Amour(Drag Queen)
YOSHIE(dancer)
CanDoo(dancer)
ballet dancer(5)
kids dancer(6)
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